“男子でも着やすいセーラー服”がTwitterで拡散され「私も着たい」「すごく素敵」と注目を集めています。なんというカッコいいセーラー服!
投稿したのは、一般社団法人日本障がい者ファッション協会(JP∞FA)代表理事を務める平林景さん(@tottolink)です。
セーラー服と聞くと、かの有名な「セーラー服と機関銃」や「セーラー服を脱がさないで」から連想される“かわいらしい”スカート姿を思い浮かべがちかもしれません。ですが、平林さんが投稿したセーラー服は武士や戦士のような勇ましさを感じられるいでたち。セーラー服のニュアンスを残しつつカッコいいデザインに仕上がっています。
投稿には、「刀剣男士みたいでカッコいいと思います!」「ゲームに出てくる魔法使いみたいでかっこいい」「舞台衣裳みたいで物凄くかっこいいです」と称賛のコメントが寄せられていました。
平林さんは、「全員がアクセスできるファッション」をテーマに、障害の有無や性別など関係なく誰もが楽しめるファッション「bottom'all」(ボトモール)を展開しています。編集部では、今回の投稿について平林さんに話を聞きました。
「それはおかしいんじゃないか」
――今回の投稿に至った理由や経緯について教えてください。
平林さん:数年前から「ジェンダーレス制服」の話題を聞くようになりましたが、この「男子でも着やすいセーラー服」を作ったのは2021年のことです。当時はそもそも制服を選べる学校がほとんどなくて、「それはおかしいんじゃないか」という問題提起として作りました。
あれから1年経って、女子はスラックスかスカートかを選べる学校が増えてきました。でも同時に「女子はスラックスを選べるのに、なぜ男子はスカートを選べない場合が多いんだろう」と疑問を感じるようになりました。そんな現状へのさらなる問題提起として、今回、再度の投稿をしたという感じです。
――男子でも着やすいセーラー服を作るにあたり、ポイントやこだわった点はどこでしょうか?
平林さん:そもそもスコットランドでは男性の正装がスカート(編集部注:キルトと呼ばれるスカート状の民族衣装)ですよね。「男性がスカートを履くのは変」との考え自体が偏見なんじゃないかという思いから、男子が選ぶもの女子が選ぶものではなく、ユニセックスで全員が着やすい制服を作ることにしました。
セーラー服は「ポパイ」という水兵のキャラクターが着ているように、もともとは男性の服です。それが今なぜか、日本では女性の服として認知されてしまっている。この違和感をひっくり返せるという点も、面白いなあと。
こだわったのは、男女どちらが着たとしても「かわいらしさ」よりも「カッコよさ」を感じられるデザインにした点です。
トップスの丈を短くして足が長く見えることや、座ったときにプリーツの中がきれいに見える所もこだわりです。私は「全ての人がアクセスできるオシャレ」というテーマで服を作っているので、プリーツは車いすの人が着たとしてもカッコよく見せられるデザインにしたいという意図があります。
――平林さんご自身もスカートをはいてその姿をSNSで発信されています。周囲の反応はいかがでしょうか?
平林さん:街では、女性から声をかけられることが多いですね。ほぼほぼ良い反応ですよ。「オシャレね」とか。もちろん中にはネガティブな反応をする人もいますが……。若い人で声をかけてくれる人は、ジェンダーで悩みをかかえておられる場合が多い印象です。「勇気をもらってます」なんて声をかけてもらえますよ。
今の日本には変なバイアス(先入観や偏り)が多いと思う。「スカートは女性が履くものだ」もそうだし、私は福祉関連の活動をしているので、障害がある人と接する機会も多いのですが、障害者を「かわいそうな人」と思っている人が本当に多い。そういう話を聞くたびに、「そんなことないと思うけど」って言いたくなります。
9月27日にはパリで「車いすの人だけのファッションショー」を開催する平林さん。立ち上げたクラウドファンディングには現在700万円近い支援が集まっています。
画像提供:平林景さん(@tottolink)
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