「痴漢されたくない人は後ろの車両を利用して」JR新宿駅の案内が物議 JR東日本「適切な表現ではなかった」と謝罪(1/2 ページ)
「不適切なご案内がないように指導を徹底します」とのこと。
「防犯カメラは多く設置しておりますが、痴漢は多くいらっしゃいます。痴漢をされたくないお客様は後ろの車両をぜひご利用ください」――。JR埼京線・新宿駅での駅員によるアナウンスを写した動画がSNS上で拡散され、物議を醸しています。編集部ではJR東日本に話を聞きました。
拡散している動画では、ホーム上で列車の到着や乗降について案内する駅員が拡声器を使い、痴漢をする人は「多くいらっしゃいます」として、「痴漢をされたくない」乗客には混み合っていない後ろの車両を利用するように呼びかけています。投稿によると、何度も同じアナウンスが繰り返されており、他の駅員もそれを止める様子がなかったとのこと。
SNS上では、「痴漢に『いらっしゃいます』とか敬語使うの」「多くいらっしゃいますとか何痴漢の存在肯定してんだよ」「まずは『痴漢はやめろ』でしょうが」「前の車両乗ってたら痴漢されてもしょうがないみたいな物言い止めろ」「車両を移らなかったら、痴漢されても仕方ないとでも?」など、批判が相次いでいます。
JR東日本の担当者は「今回、ご案内をしたのはアルバイト従業員です。従業員には着任時に勉強会という形で教育していますが、混雑状況に応じて比較的空いている車両にご案内するように指導しています。今回ご案内したようなマニュアルはありません」とコメント。本来、マニュアルには「痴漢」については含まれておらず、該当のアルバイト従業員が独自に実施したものだとしています。
担当者は「繰り返し同様のご案内をしていたかどうかという確認は取れていません」としつつも、「適切な表現ではありませんでした。ご案内を聞いて不快に感じられたお客様にはおわびを申し上げます。該当従業員には今後このような不適切なご案内がないように指導を徹底します」と謝罪しました。
性犯罪や依存症の専門家である精神保健福祉士・社会福祉士の斉藤章佳さんの著書『男が痴漢になる理由』では、痴漢をはじめとする性犯罪者は「肌の露出が多い女性は、性欲が強い」「この沿線はそもそも痴漢が多いと聞くから、自分もやっていいだろう」など、「認知の歪み」を抱えているケースがあると指摘されています。物議を醸した案内は痴漢を誘発する危険性があるものだと考えられます。JR東日本の今後の対応が注視されます。
動画提供:KUB◯+@世界史とかさん
※記事内に駅員によるアナウンスを写した動画に関するツイートを追加しました【9月8日20時10分追記】
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