中の人の目が動く → 着ぐるみの目も連動してぎょろっ!? リアルに視線を再現するアイトラッキングシステム開発者に仕組みを聞いた(1/2 ページ)
リアルタイムで目の動きを再現。
着ぐるみの目が、着用者の目と連動して動くアイトラッキング機能がすごいと話題になっています。開発者に完成までの苦労や始めたきっかけについて聞きました。
lutamesta(るためすた/@lutamesta)さんが制作した、着ぐるみで目の動きを再現できるアイトラッキング機能。着ぐるみを着用している人の目線を読み取り、着ぐるみの目で動きを再現します。動画では、左側に着ぐるみ、右側に中の人が目を動かしている様子が確認できます。
中の人が横を向くと、着ぐるみの目も同じように端へ寄ります。目線だけでなく、まばたきも再現。目をうっすらと閉じると、着ぐるみも同じように目を細めます。
編集部では、開発を始めたきっかけや、完成に至るまでの経緯をlutamestaさんに詳しく聞きました。
――このシステムを作ったきっかけは何かありますか。
lutamestaさん:昔からギミックの類が大好きで、元々はアナログギミック(まぶたが可動して瞬きする目や、閉じたり開いたりできる大型の翼など)を搭載した着ぐるみを作っていました。
2020年に電子工作を始めて、電子目(小型のディスプレイにきぐるみの目を表示するもの)を作成し、目の柄のチェンジや目の動きの自動運転など改良を重ねていました。が、やはり自分の目の動きで着ぐるみの目を動かしたいなと思い、アイトラッキング機構の作成に至りました。
――どのような仕組みになっているのでしょうか。
lutamestaさん:着ぐるみの頭部内部に搭載されたカメラに中の人の目を映して、プログラム制御で目の動きを読み取らせるという仕組みです。そのデータをもとに、着ぐるみの目として搭載されている2枚のディスプレイに中の人の目の動きと連動した目を表示させています。
着ぐるみの頭部の中には着ぐるみの電子目とは別にもう1枚ディスプレイが搭載されており、映像がリアルタイムで表示されています。それにより、中の人はカメラの動作に問題がないかとか、今きぐるみの目がどちらを向いているかを大体把握できます。ちなみに、開発中の様子ですが、実物の目と比較した動画もあります
――現在のような完成度の高さに至るまでには、費用も制作時間も相当必要だったのではないかと思います。
lutamestaさん:具体的な金額を言うことは難しいのですが、「このシステムを思いついてから完成までにかかった費用すべて」です。
アイトラッキング自体はさほど珍しい技術ではなく、公開されている先例もあります。ですが、“きぐるみの内部でも使えるアイトラッキングシステム“となると、自分が知る限り、現在公開されている決定的なハウツーは存在しません。
とにかく試行錯誤を繰り返してシステムを作りました。部品選びひとつ取っても正解がない状態なので、あれこれ調べては使えそうなものを買って失敗してを繰り返しています。当然ながら結構な額の費用ロスが発生していますが、現状の最適解に至るには必要な過程だったと思います。
「ハウツーがないことをやろうとすると、ハウツーがあることの何十倍の費用と手間がかかる」ということを知っていただければ幸いです。
目の見た目や動きにこだわり、アイトラッキング機構の作成にまで至る、lutamestaさんの情熱が伝わってきます。着ぐるみとアイトラッキング機能を組み合わせた創意工夫がとてもすてきです。
Twitterでは約1万5000件のいいねが寄せられ、「スゲ〜〜!!!ただただスゲ〜〜!!!」と感嘆する声や、「異世界から来た生き物なのではないかと思ってしまう」と完成度の高さに驚いた感想が飛び交っています。
画像提供:lutamesta(るためすた)(@lutamesta)さん
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