人気ハイブランドが美術館と1400万円の賠償巡る法廷闘争へ 名画「ヴィーナスの誕生」を服に無断コピー、使用料請求は無視
イタリアの法律では使用料を払わなければならないとのこと。
伊フィレンツェにあるウフィツィ美術館が10月10日(現地時間)、仏ファッションブランドのジャン=ポール・ゴルチエに対し“無断使用”の名目で法的措置をとると発表しました。問題となったのは4月に同ブランドが発表したコレクション「ル・ミュゼ」で、発表/販売されSNSでも公開されたアパレル商品には名画が「不正に」コピーされていると主張しています。
ゴルチエが4月に発表した「ル・ミュゼ」は、トップス、Tシャツ、ボトムス、ワンピースなどの多様なコレクション。これにボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」、ミケランジェロの「アダムの創造」、ルーベンスの「三美神」が全体的にプリントされています。
このうちウフィツィ美術館が問題としたのは、同館所蔵の「ヴィーナスの誕生」。あまりに有名なこの絵画の使用料は販売量や販売価格に左右されるものの、今回ゴルチエが支払うべき使用料は10万ユーロ(約1400万円)にものぼる可能性があるとして、損害賠償を求めています。
アイケ・シュミット館長は、ゴルチエの絵画使用は「完全に違法であり、無許可」とし、「誰であれこの絵画を使いたいのなら、まず許可を申請し、これが認められれば使用料を払わなければならない」と声明で述べています。また館長はコレクションが発表された4月の時点で、同ブランドへ手紙を出し、アパレルを全て市場から撤退させるか支払いに応じるよう求めたものの無視され、今回の法的措置に踏み切ったとのこと。
今回の美術館側の主張にはイタリアの文化財と景観の法典が関係しており、これは広い範囲での文化的財産に保護を求めるもの。この法典は著作権法とは別に独立しているため、パブリックドメインとなった作品についても有効となります。また、法典は個人での研究や芸術的表現などは除外されるため、ゴルチエ側は「芸術的表現」側面を強調することが予想されますが、すでにオンラインで販売し利益を得ていることが争点となりそうです。
館長はまた、多くのブランドが古典絵画をアパレルに使用していることを指摘しつつも「ほとんどのブランドはイタリアの法律を熟知している」としており、イタリアに店舗がありまたWebサイトで商品を販売しているゴルチエは「ほかの全ての人と同じように、イタリアの法を尊重する必要がある」と主張しています。
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