妊娠中に捻挫してしまい、周りの人の優しさに何度も助けられて…… 心温まるエピソードに「泣いてしまいました」「世の中捨てたもんじゃない」(1/2 ページ)
自分もこうありたい。
妊娠中の女性が捻挫(ねんざ)をしてしまい、周囲のやさしさに何度も助けられて……。そんな心あたたまるエピソードを描いた漫画がTwitterに投稿され、記事作成時点で1万3000件の“いいね”を集めるなど話題になっています。
2月28日に厚生労働省が発表した最新の人口動態統計速報では、2022年の国内での出生数は79万9728人で、統計開始以来初めて80万人を下回ったことが明らかに。少子化が進むなか、政府はその対策を検討しており、厚生労働省は「次代の社会を担うこども一人ひとりの育ちを社会全体で応援するため、子育てにかかる経済的負担の軽減や安心して子育てができる環境整備のための施策など、総合的な子ども・子育て支援を推進しています」と方針を打ち出しています。
そんな中、偶然出会った人々のやさしさを描き、子育てにあたたかい社会のありかたを感じさせる漫画に注目が集まりました。漫画の作者ははみだしみゆき(@HamidashiMiyuki)さん。みゆきさんは、保育園に通う男の子を育てており、現在第2子を妊娠中です。今回の漫画は、みゆきさんが捻挫をしてしまったときのエピソードを描いたものです。
ある朝、息子くんを保育園に連れて行こうとすると、いつもは歩いて登園している息子くんが「ベビーカーでホイクエンいく」と言い出しました。みゆきさんは「ええ〜。しょうがないな……」と言いながら準備をします。大きなおなかで右手にはベビーカーを持ち、左手には息子くんを抱っこして、慎重に階段を下りるみゆきさん。
しかし、途中で足がすべり、左足を大きくひねって転んでしまったのです。みゆきさんは真っ先に、息子くんがケガをしていないこととお腹の子どもの安全を確認。ただ、左足が強く痛んで全く動けなくなってしまいます。
みゆきさんが座り込んでいると、同じマンションの見知らぬ女性が「大変っ。大丈夫!? 転んじゃった?」と駆け下りてきてくれました。そして一人では歩けなさそうなみゆきさんの様子を見て、代わりに荷物を持ち、一緒に保育園まで付き添ってくれたのです。同じマンションに住んでいるとはいえ、見ず知らず自分に親切にしてくれた女性のやさしさに触れ、みゆきさんは本当に救われた気持ちになります。
なんとか息子くんを保育園に送り届けたみゆきさんは、その足で整形外科に行き、捻挫の診断を受けました。左足を固定し、初めて松葉づえを使うことになったみゆきさん。運の悪いことに帰り道ではふいの雨が降り、傘もさせずトボトボと歩いていると、「あのっ」と誰かに声をかけられました。
みゆきさんが振り向くと、知らない女性が「おうち近くですか? 荷物持ちましょうか」と言ってくれたのです。おしゃれをした女性はきっとこれからお出かけだろうに、どこの誰かも分からないのに声をかけてくれるなんて……。女性のやさしさに感動したみゆきさんは、涙ぐみながらお礼を言い、「お気持ちだけで充分うれしいです」と伝えました。
結局、その日の息子くんのお迎えはみゆきさんの両親にお願いし、翌日からは夫が仕事を調整して保育園の送迎をしてくれることに。家族の支えのおかけで、みゆきさんは数日後には少し左足をひきずりながらも松葉づえなしで歩けるようになりました。
そしてまた別の日。みゆきさんは少し足を引きずりながら、買い物の荷物を持って息子くんと歩いていました。すると「あのう、すみません!」と誰かに声をかけられました。そこには中学生くらいの女の子がいて、「え……駅からずっと大変そうだなって見てて……荷物持ちます」と言ってくれたのです。
女の子のやさしさにまたしても感動したみゆきさんですが、「ありがとう……! でももう暗いし……大丈夫だよ!」と辞退しました。しかし女の子は「うちもこっちなので持ちます!!」となおも申し出てくれます。
みゆきさんは、女の子が声をかけるのにどれだけ勇気をふりしぼってくれたんだろう……と心を打たれ、「ありがとう。じゃあおねがいする!」と言い、荷物を持ってもらうことにしました。
転んだときに保育園まで付き添ってくれた女性、病院の帰り道に声をかけてくれた女性、保育園の送迎を手伝ってくれた両親と夫、そして帰り道に荷物を持ってくれた中学生の女の子……。妊娠中に思わぬケガをしてしまい落ち込む反面、この経験を通して、周りの人達のやさしさや思いやりに何度も心を打たれたみゆきさんなのでした。
「こういうの嬉しいですね。世の中捨てたもんじゃない」「作者様と同じタイミングでポロポロ泣いてしまいました。お怪我は大変でしたが、優しい方々のサポートに心が温まりました」など感動の声や、「涙出てきた。私も優しく在りたい」「いいお話です。自分も同じことできるようにしなくては」など、自分も困っている人を助けたいという声が寄せられているこの漫画。
ねとらぼGirlSide編集部では、作者のはみだしみゆきさんに反響を受けての話を聞きました。
−漫画が反響を呼んでいますが、寄せられたコメントで印象的なものはありましたか。
はみだしみゆきさん:勇気を振り絞って声をかけてくれた中学生が、私(はみだしみゆき)が頼ったことでまた困った人に声をかけてくれるのではないか、というコメントが印象的でした。声をかけられると咄嗟に「大丈夫です」と言いがちなのですが、困ったときは相手の気持ちに感謝して頼ることも大事だなぁとしみじみ感じました。
−捻挫が治るまで、育児や家事で大変だったことがあれば教えてください。
はみだしみゆきさん:病院で固定をしてもらい、ある程度は動けるようになったのですが、動くスピードが遅くなるのと、左足をかばいながら動かねばならなかったので、全体的に大変でした。保育園の送り迎えと息子とのお風呂を夫がやってくれたのがとても助かりました。
−今回の体験を踏まえ、子育てに「こんな支援があったらいいな」と思うことがあれば教えてください。
はみだしみゆきさん:今回のようなトラブルの際に、近隣に住んでいる人や、通りすがりの人が助けてくれることは本当にありがたかったです。皆さんに助けてもらえなかったら暗い気持ちで鬱々と過ごす時間が長かったのではないかと思いますが、声をかけて手助けしてもらって、心も元気を取り戻せたと思います。私も困っている人がいたら勇気を出して助けようと思いました。
知らない人に声をかけるのは勇気がいることですが、みゆきさんが出会った女性たちのように、困っている人を見かけたら積極的に声をかけられるようにしたいものですね。
はみだしみゆきさんはこの他にも、Twitterアカウント(@HamidashiMiyuki)やInstagramアカウント(@hamidashimiyuki)で育児漫画を公開中です。
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