旅行先で大切なものをなくしたら、まず何をするのがいい? 20年来の相棒のぬいぐるみを無事見つけた人に、捜索のステップを聞いてみた(1/2 ページ)
まずは冷静に記憶をたどるのが重要。
旅行先で大切なぬいぐるみをなくしてしまったある女性。無事にぬいぐるみが見つかるまでの経緯をTwitterに投稿し、大きな注目が集まっています。なくしものを見つけるためにやるべきこと、大切なポイントは何なのでしょうか。実際にやった対策について、詳しい話を聞きました。
一連のツイートが投稿されたのは、まじろー(@majilow_chang)さんのアカウント。このアカウントはもともと、20年以上の歳月を一緒に過ごしてきた大切なぬいぐるみ「まじろー」の写真などを持ち主さんが投稿しているものでした。
まじろーは手を入れて動かすパペットタイプの茶色いぬいぐるみ。アルマジロのような見た目ですが、ねずみや犬のようにも見えるふしぎでかわいい生き物です。持ち主さんは、これまで綿の詰め替えなどのお直しを重ねながら、まじろーを家族のように大切にしてきました。
まじろーをなくした経緯
3月4日、持ち主さんはバンド「THE BOHEMIANS(ザ・ボヘミアンズ)」のライブを見るために東京を訪れていました。最後にまじろーの姿を確認したのは、夕方に下北沢のドーナッツショップで写真を撮ったときです。
その後、持ち主さんはまじろーを持ち運び用のポーチに収納してリュックにしまい、下北沢のライブハウスに向かいます。ライブハウスでリュックをクロークに預け、終演後は荷物を受け取り、そのまま居酒屋へ。食後は夜行バスで帰るため東京駅に向かい、そこでトイレを利用しました。
翌朝、持ち主さんは大阪でまじろーがいなくなったことに初めて気付いたといいます。
まじろーを見つけるためにやったこと
持ち主さんはまず、最後にまじろーを見てから、なくしたことに気付くまでに移動した東京・大阪間の全ての場所と行動を詳細に思い出すことにしました。状況を整理して、立ち寄ったお店や施設、利用した交通機関などに、1つ1つ問い合わせをします。関東在住のザ・ボヘミアンズのファンの友人たちの協力を仰ぎながら、合計10カ所〜15カ所に問い合わせをしたそうです。
この時点では、持ち主さんはまじろーの写真を撮影した下北沢のドーナッツショップでなくした可能性が高いと考えていました。そこで、友人の協力を得て、まじろーが届けられる可能性のある下北沢の警察署に遺失物届を提出。大阪府警察にも問い合わせましたが、電話での受付はしていないと言われ、直接大阪まで行って遺失物届を出しました。なお、大阪府以外の都道府県の警察では、電話で遺失物届が出せるとのことです。
さらに、拡散性の高いSNSであるTwitterにまじろーの写真とともになくした経緯を投稿。これまでの状況と、見つからなかったことを伝えた上で、「今、まじろーが無事でいてほしい、元気に帰って来てほしい。それだけを心から願っています。まじろーを見かけた方はご連絡頂けましたら幸いです」と目撃情報の提供を呼びかけました。
この投稿は、多くの人がリツイートで拡散。これをみた見ず知らずの人が捜索を申し出てくれた他、実際に現場を探してくれた人もいたそうです。
意外な場所でまじろーが見つかった!
持ち主さんがまじろーがいなくなったことに気付いてから4日目の3月9日。ついにまじろーが見つかりました! 見つかった場所は八重洲のバスセンター。ここには、友人が一度問い合わせをしていました。最初の問い合わせの時点では発見されていなかったものの、時間を置いて再度問い合わせた際に、まじろーは誰かに拾われ、無事に届けられていることが確認できたのです。
ひとまず、まじろーは近くに勤めている友人に引き取ってもらうことに。持ち主さんは11日に東京へ向かい、無事にまじろーと再会することができました。本当に良かった……!!
持ち主さんの予想とは全く違う場所で見つかったまじろー。なくしものをしたときは行動をくまなく思い出し、しっかりと問い合わせをすることの重要さがよく分かります。
また、持ち主さんによると、今回の捜索では、ザ・ボヘミアンズファンの友人の協力があったことも大きな力になったとのこと。持ち主さんはまじろーをいつもライブに連れて行っており、友人たちがまじろーを知っていたことから、行方不明のツイートしてからすぐに動いてくれる人が多かったのだとか。持ち主さんは、バンドがつないだ縁と友人たちのやさしさを「私ひとりではなく、たくさんの方の協力の元発見に繋がったので感謝しかない」と振り返っているそうです。
大切なものをなくしてしまったときにやるべきことが時系列にまとまった一連の投稿には、大きな注目があつまりました。まじろーのようなぬいぐるみの他、アイドルなどの推しのグッズと旅行先で写真を撮る人も増えている昨今。まじろーをなくしてしまった持ち主さんの心情や状況が、他人事ではないと感じる人も多いのではなないでしょうか。
まじろーとの再会をつづった投稿には、「行方不明になったぬいぐるみが無事に見つかるのはすごい。しかも東京という広大な土地で。よかったなあ」「大事な大事な親友、相棒……! 見つかって良かったです」など、持ち主さんと共に喜ぶ声が次々と寄せられました。
持ち主さんに詳しい話を聞いてみた
「いつも一緒にいた家族が居なくなった時こんなにも心乱されるとは思いませんでした。それくらいまじろーは私の生活の一部でした」という持ち主さん。ねとらぼGirlSide編集部では、持ち主さんに詳しい話を聞きました。
−−まじろーがいなくなったことが分かったときの心境と、見つかったときの心境を教えてください
持ち主さん:いなくなったと分かったきは全身の血の気が引いて頭が真っ白になりました。一体どこで?とハテナマークが飛びまくっていました。見つかったとき、私は営業の仕事中だったのですが手と声がずっと震えていました。多分ちょっと泣いていました。
−−今回、まじろーが発見される決め手になった行動はなんだったと考えていますか?
持ち主さん:友人が、一度問い合わせをした箇所に、時間を置いて複数回問い合わせをしてくれたことが、発見に繋がったと思います。問い合わせした時に「有り無し」の回答がある場合と、発見時に保管場所から連絡して下さる場合ではこちらの動きも変わりますので、後者のようにアフターフォローをして下さる八重洲バスセンターさんに届けられたというのも運が良かったと思っています。
−−ツイートには、今後まじろーをなくさないようための紛失防止アドバイスも多数寄せられました。なかでも印象的なもの、取り入れたいと思うものがあれば教えてください。
持ち主さん:音の鳴るものを付けるというのはすぐに実行しました。ポーチとカバンをつなぐ紐などもなるほどと思いましたし、GPSタグは導入したいと思いました。
−−一連のツイートに大きな反響が寄せられていますが、反響への感想を教えてください
持ち主さん:人生初のバズでしたが、はじめは全くうれしくありませんでした。バズっててもまじろーは戻って来ない……と心折れそうになりましたが、とても多くの人からの応援や心配のリプライやDMを頂き勇気付けられたのは貴重な経験でした。
同じようにぬいぐるみを家族同様大切にしている人は老若男女問わず多くいるのも今回の件がなければ知れなかったと思います。私と同じような方は日本や世界にはたくさんいるんですね。皆さんのおかげでまじろーとまた会えました。本当に本当にありがとうございました。これからもたくさんまじろーと日々を過ごしていきます。
東京・大阪間という広大な範囲でも諦めずに探すことで、無事にまじろーを発見できた持ち主さん。大切なものをなくしてしまったときは、まずは冷静に行動を思い出してみること、そして時間を置いて問い合わせをすることが大切ですね。また、ぬいぐるみなど大事なものを持ち歩くときは、悲しい思いをしなくて済むよう紛失防止策もぬかりなくしておきましょう。
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