abcdef=a+b+c+d+e+fを満たす自然数a〜fの組は何通り? シンプルなのにめちゃくちゃ難しい……難関大学レベルの数学に挑戦!(8/8 ページ)
整数問題は奥が深い。
解説
まずは、考えやすくなるように(a,b,c,d,e,f)の大小をa≦b≦c≦d≦e≦fとおきます(条件1)。
次に式の等号が成立する条件を、最小であるaの値に着目して考えます。しかし、等号が成立する条件をそのまま求めることは大変です。そこで、等号が成立しないのはどういう場合かを考えてみます。
自然数a,bにおいて「a+b」と「ab」のどちらが大きくなりやすいかというと、aとbがそれぞれ「1,2,3……」と数を大きくしていった場合、「ab」の方がより大きくなりやすいといえます。同じように考えると「abcdef=a+b+c+d+e+f」において、より大きくなりやすいのは左辺の「abcdef」となります。
よって、「abcdef>a+b+c+d+e+f」となってしまうような最小のaの値を求めれば、等号が成立するaの範囲も確定できそうです。それを示すために、一番厳しい条件である「(abcdefの最小値)>(a+b+c+d+e+fの最大値)」となるaの範囲を調べましょう。
「a+b+c+d+e+f」の最大値は条件1「a≦b≦c≦d≦e≦f」より「a+b+c+d+e+f≦a+b+c+d+2f≦a+b+c+3f≦a+b+4f≦a+5f≦6f」となります。次に、「abcdef」の最小値を求めます。その際、右辺の最大値と比較したいので、fを残した形で最小値を求めましょう。同じく条件1より、左辺の最小値は「abcdef≧a2cdef≧a3def≧a4ef≧a5f」となります。つまり、「abcdef>a+b+c+d+e+f」となってしまうのは、「a5f>6f」の場合というわけです。これを満たす自然数aを調べてみると次のようになります。
- a=1のとき「f>6f」となり適さない(つまり、等号成立条件になる)
- a=2のとき、「25>6f」すなわち「32f>6f」になり適す
よって、「(abcdefの最小値)>(a+b+c+d+e+fの最大値)」となるのは「a≧2」のときだと分かりました。さらに、aは自然数であるため「a=1」で確定します。よって、条件1は「1≦b≦c≦d≦e≦f」(条件2)だと分かります。
他の文字についても、「(abcdefの最小値)>(a+b+c+d+e+fの最大値)」を利用して、範囲を確定していきましょう。大小関係は(左辺)−(右辺)>0で確かめられます。条件2において、b=2のとき「16f>5f+1」すなわち「11f−1>0」となるので、b≧2は不適になります。同じくc=2のときを考えると「8f>4f+2」すなわち「4f−2>0」(f≧2なので)となり、c≧2も不適だと分かります。よって、「b=c=1」だと分かるのです。
続いて、dについても同じ操作を行うと、d=2のとき(左辺)−(右辺)は「4f−(3f+3)=f−3」となりますが、この時点では「f≧2」という条件しか分かっていないので、「f−3>0」とは確定できません。すなわち、「d=1」とも確定できないのです。
一方、d=3のときは「9f>3f+3」すなわち「6f−3>0」となるので、「d≧3でないこと」は確定します。あとは、d=1またはd=2の場合を調べてみることにします。
d=1のとき、式は「ef=e+f+4」となり、この式は「(e−1)(f−1)=5」と変形できるので(※1)、あとはこれを満たす(e−1)と(f−1)の組み合わせを見つければOK。「5=1×5」なので「1≦e≦f」すなわち「0≦e−1≦f−1」から「e−1=1、f−1=5」だと分かります。よって、d=1のとき、eとfの値は「e=2、f=6」となります。
※1「ef−e−f=4」→「e(f−1)−f=4」→「e(f−1)−(f−1)−1=4」→「(e−1)(f−1)−1=4」→「(e−1)(f−1)=5」という流れ。共通項をうまく作り出すことがポイント
次にd=2のときを考えましょう。このとき、式は「2ef=e+f+5」。これを変形すると、「(2e−1)(2f−1)=11」となりますが(※2)、これを満たすためには(2e−1)か(2f−1)のいずれかが1である必要があり、e≦fの関係から「2e−1=1」すなわち「e=1」となります(※3)。
※2「2ef=e+f+5」→「2ef−e−f=5」→「e(2f−1)−f=5」→「2e(2f−1)−2f=10」→「2e(2f−1)−(2f−1)−1=10」→「2e(2f−1)−(2f−1)=11」→「(2e−1)(2f−1)=11」という流れ。(2f−1)を作るために両辺を2倍するのが難しい
※3 eとfは自然数なので「2e−1」「2f−1」も自然数となります。右辺は11ですが、「11=1×11」なので、どっちかが1にならないといけないというわけです
しかし、「d=2」かつ「e=1」というのは、条件1「a≦b≦c≦d≦e≦f」を満たしません。さらに、d≧3でもないため「d=1」だと確定します。よって、答えは「(a,b,c,d,e,f)=(1,1,1,1,2,6)」となります 。
……としたいところですが、実はこれでは不十分。アルファベットどうしの大小関係を示す条件1「a≦b≦c≦d≦e≦f」は、私たちが考えやすいように勝手に設定したことを忘れてはいけません。つまり、本当は(a,b,c,d,e,f)間の大小は決まっていないのです。
したがって、この条件を取り払い(1,1,1,1,2,6)を並べかえてできる並び方の総数を数えることが必要となります。6つの数字のうち4つは1ということに注目して、2と6が(a,b,c,d,e,f)どこに入るかを考えます(2と6の場所が決まったら残りには全て1が入る)。
(a,b,c,d,e,f)のどこに2と6が入るかの組み合わせは「6C2=(6×5)/(2×1)=15」通り。また、そのそれぞれについて2と6の並べ方が2通りずつあるので、答えは「30通り」となります。
(問題制作/執筆:「PASSLABO」、編集:石関隆景)
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