「泉へのお賽銭投げ入れやめて」 茨城県の泉神社が注意喚起 「投げ銭をして運気が上がることはない」と明言(1/2 ページ)
水質悪化や環境破壊につながるとして参拝者に理解を求めていました。
茨城県日立市にある泉神社が、神社内の泉にお賽銭を投げ入れるのをやめるようX(旧Twitter)で呼び掛けています。お賽銭の投げ入れは境内にも禁止事項として明記しており、自然を守るためにもやめてほしいとアナウンス。「皆様のご協力を願います」と参拝者に理解を求めています。
お賽銭投げ入れの現状
泉神社は、紀元前42年に鎮祀されたとされる歴史ある神社。天速玉姫命を祀っており、商工繁盛や交通安全、縁結びなどを祈願する神社として親しまれてきました。境内には清水が湧き出る泉があり、透明度の高い泉に包まれるような形で厳島神社(弁財天)がおかれています。神社としてはもちろん、写真映えするスポットとしてもSNSなどで注目を集めていました。
しかし、近年参拝者が増えるのに合わせてお賽銭の投げ入れも増加。年末年始に神社がメディアに出演したことでより多くの参拝者が訪れるようになり、1月13日に神社の公式X(旧Twitter)アカウントで「泉にお賽銭を投げ入れないでください」と注意するに至りました。
神社からの注意喚起を受け、SNSでは「本当にやめてほしい」「これは酷い」などの意見が出ていたほか、他の神社や川、観光スポットなどでも同様の行為が行われていることや、「お金を投げ入れると運気が上がる」といった俗信の影響を指摘する声も相次いでいました。
泉神社によると、数年前から参拝客の増加に伴いお賽銭の投げ入れも増加。「硬貨の投げ入れは景観悪化の他、水質汚染にもつながりかねない状況」と言います。また、泉の水深は深い場所で約2メートルあり、水中に異物が投げ入れられた場合、回収が困難だという問題もあるそうです。
お賽銭投げ入れで「運気が上がることはない」
では、なぜ参拝客は泉にお賽銭を投げ入れてしまうのでしょうか。泉神社は原因について、「他の参拝客がやっている姿を真似た」「ローマの人気観光地『トレビの泉』(※1)の影響」といった可能性を指摘。泉神社はトレビの泉と異なり、「泉に硬貨を投げ入れる等、特殊な神事や、まじないはありません」と説明した上で、「泉にお金を投げ入れると運気が上がる」といった俗信については「決して、投げ銭をして運気が上がることもありません」と否定しました。
また、泉神社は、お賽銭の投げ入れについて「自然への尊敬の念を持たず、不敬となります」ともコメント。「この場所には地域の人々の想いが詰まっています。この大切な場所を守り、未来へ残し伝えるため、どうか環境を破壊しないでいただきたいです」と、改めてお賽銭の投げ入れをやめるよう呼び掛けました。
泉の近くにお賽銭を入れたい場合は「厳島神社前に賽銭箱を設置しております。こちらに入れていただければ」とのことです。
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