8月頃から各地の小売店で欠品が続出している米。その一方、フリマサイトでは米が出品されるケースが目立ち、また禁止出品物に該当するとみられる商品が含まれていることから、SNS上では疑問の声も聞かれています。
開封した米を袋に入れて販売するケースも
2023年産の米をめぐっては、猛暑による流通量の減少やインバウンドの増加に伴う消費量の増加などを背景に、市場での在庫が減少。さらに、8月上旬に出された南海トラフ地震臨時情報や、8月下旬の台風10号を受けて「買いだめ」に走る消費者が相次ぎ、各地の小売店から米が消える状況になっています。
8月29日、東京都内のスーパーを訪れると、米売り場からは米が消え、品不足のため商品がない状況を伝える張り紙が掲示されていました。そして、本来米が売られている棚で代わりに並べられていたのは、米を使ったカレーなどのレトルト食品でした。
小売店から米が消える一方、フリマサイトでは国産米が販売されているケースが目立ちます。「メルカリ」では、「農家直送」と書かれた米や、店頭で袋売りされているような米が販売され、8月精米の山形県産「つや姫」合計10キロ分が1万1500円程度で売り切れたというケースもありました。
ただ、こうした商品の中にはサービスのルールに違反しているとみられる商品も含まれています。メルカリでは安全性や衛生面の観点から「開封済みの食品」「消費(賞味)期限および食品表示が確認できない食品」といった出品物の出品を禁止しています。
しかし、メルカリでは、開封した米をフリーザーバッグなどの袋に入れた商品や、掲載されている写真だけでは消費(賞味)期限表示が確認できない商品などが販売され、売り切れているケースが複数みられます。
こうした米が販売されていることに、SNS上では「よくこんな米が売れてるなあ」「知らない人が小分けしたものなんて食べれない」「ほんま腹立つ」といった疑問の声も聞かれています。
メルカリ側の見解は
こうした状況を運営側はどう捉えているのでしょうか。
メルカリの広報担当者は8月28日、ねとらぼ編集部の取材に「出品物に関しましては、多様な価値観によるさまざまなご意見がある」としつつ、「(出品された商品が)禁止出品物に該当する場合には、商品の削除等の対応を行っている」と説明。一度開封した米を袋詰めの上で販売している米については、禁止出品物「開封済みの食品」に該当するとして、「確認次第然るべき対応を行っている」としました。
一方で、「メルカリ上で販売されている米価については大きく高騰している事実は確認されていない」と説明。コロナ禍では、感染対策の必需品となったマスクの出品が規制されたという事例がありましたが、今回の米に同様の対策を取るかについては「個別の出品物に対する対応方針等については、本件に関わらずコメントは差し控えさせていただく」としています。
米の品薄と市場での高騰が続く中、米の安定供給のために国の「備蓄米」を放出すべきだという議論もあり、大阪府の吉村洋文知事は8月28日までに、政府に対して備蓄米の放出を要望。ただ、政府は米の価格に影響を及ぼす可能性があるとして、備蓄米の放出には慎重な見方を示しています。
9月は新米の出荷が本格的に始まることから、供給面での回復が期待される一方で、価格面では高騰が見込まれることも伝えられています。「令和の米騒動」が収まるのはいつになるのでしょうか。
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