米国で行われたIDF Spring 2005でも、さまざまなセッションや製品展示が行われている今年の主要なキーワード「マルチコア」であるが、IDF Japan 2005にあわせて来日したスティーヴ・パウロスキ氏(インテル シニアフェロー兼デジタル・エンタープライズ事業本部CTO兼プラットドーム・プランニング、アーキテクチャ&テクノロジ担当ディレクタ)は、マルチコアCPUの存在意義について「処理能力の大幅な向上」と明解に説明。
ハイエンドサーバーだけでなく、デスクトップ、モバイルといったコンシューマー向けCPUもふくめた全セグメントにおいて現在15以上のマルチコア・プロジェクトを推進しているインテルは、コンシューマー向けとなる「デスクトップ・クライアント・ホーム」「モバイル・クライアント」それぞれでマルチコアCPUやチップセットで構成される「プラットフォーム」ブランドを定義している。
これは、現行の「Centrino」と同じ統括的な呼び名で、デスクトップ・クライアント・ホームでは「Anchor Creek」、モバイル・クライアントでは「Napa」という名称がすでに明らかにされている(このほか、個人ユーザーに関係するものとしてデスクトップ・クライアント・オフィス向けの「Lyndon」がある)。
Anchor CreekはマルチコアのPentium Extreme Edition(Pentium 4 Extreme Editionでないことに注意)と開発コード名「SmithField」「Presler」コアのPentium Dと対応するチップセット「Intel 955X」「Intel 945」の組み合わせとなる。
Napaは2006年に登場する予定で、開発コード名「Yonah」コアCPUに同じく開発コード名「Calistoga」チップセットと「Golan」無線LANで構成されるモバイル向けプラットフォーム。
最初に登場するPentium Extreme Edition(Pentium XE)はプロセッサナンバ「840」をつけた製品になる。動作クロックは3.20GHz、FSBも800MHzと現行のPentium 4 XEよりも低い値となる。L2キャッシュは2Mバイト搭載するが、それぞれのコアで利用できるのは1Mバイトとなり、こちらも現行より少なくなる。
ダイサイズは206平方ミリでトランジスタ数は約2億3000万個。90ナノプロセスでハイパースレッディング、EMT64、エグゼキュート・ディスエーブルビットをサポートする。
パウロスキ氏はPentium XEに対応するチップセット「Intel 955X Express」の概要についても紹介。FSBは1066MHzと800MHzに対応、DDR2-667のデュアルチャネルと4つのSerial ATAに1つのUltra ATA、8つのUSB 2.0をサポートする。
PCI Expressはx16と6つのx1拡張スロットを実装可能で、PCI Express x16についてはブリッジチップを利用することで2本のPCI Express x16スロットに差した2枚のカードが使えるようになると説明した。
加えてパウロスキ氏はマルチコアを採用することでパフォーマンスはどれだけ向上するかについても、具体的な数字を示して言及。デジタルムービーのフォーマット変換やデジタルコンテンツのレンダリングでは50%以上処理が高速化し、「複数の番組を録画しながらゲーム(Need for Speed 2)をプレイ」した場合でゲームのフレームレートが124%アップするとしている。
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