「お菓子の下に金貨があった」関西電力役員への金品、小判や金の延べ棒も 「悪代官かよ」とネット仰天

ただし悪代官はどっちだ問題が浮上。

» 2019年10月02日 16時39分 公開
[久我山徹ねとらぼ]

 関西電力(関電)の役員が福井県高浜町の助役から金品を受け取っていた問題で、関電は10月2日、記者会見を開き、金品には小判や金貨が含まれていたことを明らかにしました。金品は菓子など土産物の袋の底に見えないようにして渡されるケースが多かったといい、「悪代官かよ」とネットではあきれる声が広がっています。

フォト 大阪市内で会見する関電の八木会長(左)と岩根社長(ニコニコ生放送より)

 この問題は、関電の役員ら20人が、高浜原子力発電所がある福井県高浜町の元助役、森山栄治氏(故人)から多額の金品を受け取っていたというものです。

 第三者委員会の調査結果として関電が公表した報告書によると、元助役から渡されていたのは現金や商品券のほか、米ドルなど。中には「小判型」を含む金貨や金杯、金の延べ棒(500グラム)も含まれていました。調査報告書では、受け取った20人の氏名と金品の内容を公表しています。

フォト 金品を受け取った関電役員ら20人と金品の内容(調査報告書より)

 元助役は、「手土産」「昇進祝い」などとして、関電役員との面談や会食の席のほか、関電役員の自宅訪問や郵送などで金品を渡していたとのことです。

 その際、「菓子等の土産物の袋の底に見えないように金品を入れて渡されるケースが多く、昇進祝いの場合等は金品を包んで手渡されるケースもあった」とのことです。150万円相当を受け取った関電の岩根社長は、記者会見で、「お菓子なのかと思っていたら、下に金貨があって驚いた」と述べています。

フォト お菓子の下に金品が……(調査報告書より)

 関電の報告がネットに伝わると、「お代官さま、山吹色のお菓子でございます」「(お菓子の下に小判を見つけ)ほう、●●屋、おぬしもワルよのう」「お代官さまこそ」「わっはっは」──という時代劇の悪役あるあるシーンを思い浮かべた人は多かったようで、「『おぬしもワルよのう』は実在したのか」「現代版の悪代官」「この場合どっちが悪代官なんだ」といった感想がTwitterなどに次々に投稿されています。

 渡された金品の大部分は返却されていますが、一部は使われたものもあったということです。

フォト

返そうとすると「ワシを軽く見るなよ」と激高した元助役

 報告書によると、元助役は金品を渡す際に工事発注など個別の案件について要求をすることはなく、関電役員側も工事発注などで便宜を図った事実は認められたかったとしています。

 元助役が金品を渡す狙いについて、役員の1人は「多額の金品を相手に渡すことで自分を大きく見せようとしていた」「元助役が重視する『礼儀』の実践」「自分を中心とする人的ネットワークの維持」が狙いであり、「自己顕示欲の表れだった」と感じていたとのことです。

 関電役員の多くは金品の返却を申し出たものの、元助役は「お前、誰に向かって言うてんねん、そんなこと言わんと受け取れ」「なぜワシの志であるギフト券を返却しようとするのか、無礼者。ワシを軽く見るなよ」などと激高。報告書は元助役について「感情の起伏が大きく対応が非常に難しい人物」だったとしており、関電の役員と社員に対し「お前は何様だ」「お前なんかいつでも飛ばせる」といった暴言、恫喝を日常的に加えていたとのことです。

フォト 元助役(森山氏)は「無礼者」などと激高(調査報告書より)

 859万円相当を受け取っていた関電の八木誠会長は、元助役について、「高浜地域全体に対してしてこの方の発言力は大きく、われわれもこの方の協力を得ながら高浜発電所を運営してきた。この方の動きを非常に敏感に感じていたのは事実で、過剰に反応している面もあったのかもしれないが、この方の高浜地域における影響力は大きかった」と述べています。

 こうしたこともあり、関電の役員個々人が金品を直ちに返却することは「現実の対応上、歴代対応者が積み重ねてきた対応実績も踏まえると相当困難であったことが認められる」と報告書は指摘しています。

 会社での対応を求めた職員もいたとのことですが、「先輩や上司から個人で対応するほかはない」と指示された結果、金品全てに渡された日時をメモし、わざわざ貸金庫を借りるなどして対応した挙げ句、税務上の問題を指摘されて多額の出費を余儀なくされた担当者について、「むしろ同情さえ禁じ得ない」と報告書は記しています

 報告書は「早期に会社なり組織としての対応がなされるべきだったのは明白」と断じ、解決を個々人の判断に委ねてきたのは「関電の官僚主義あるいは前例踏襲主義の現れ」として非難を免れないと指摘。「事なかれ主義というべき会社の体質の問題」の改善と対策を急ぐべきだとしています。

 関電は新たな調査委員会の設置を発表。本件に加え、類似の事案などがないか、徹底的に調査し、信頼回復に努めるとしています。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/21/news189.jpg 「大物すぎ」「うそだろ」 活動中だった“美少女新人VTuber”の「衝撃的な正体」が判明 「想像の斜め上を行く正体」
  2. /nl/articles/2411/22/news014.jpg 川で拾った普通の石ころ→磨いたら……? まさかの“正体”にびっくり「間違いなく価値がある」「別の惑星を見ているよう」【米】
  3. /nl/articles/2411/22/news114.jpg 中村雅俊と五十嵐淳子の三女・里砂、2年間乗る“ピッカピカな愛車”との2ショを初公開 2023年には小型船舶免許1級を取得
  4. /nl/articles/2411/21/news027.jpg 大きくなったらかっこいいシェパードになると思っていたら…… 予想を上回るビフォーアフターに大反響!→さらに1年半後の今は? 飼い主に聞いた
  5. /nl/articles/2411/22/news032.jpg 「壊れてんじゃね?」 ハードオフで買った110円のジャンク品→家で試したら…… “まさかの結果”に思わず仰天
  6. /nl/articles/2411/22/news018.jpg 猫だと思って保護→2年後…… すっかり“別の生き物”に成長した元ボス猫に「フォルムが本当に可愛い」「抱きしめたい」
  7. /nl/articles/2411/22/news171.jpg なんと「身長差152センチ」 “世界一背が低い”30歳俳優&“世界一背が高い”27歳女性が奇跡の初対面<海外>
  8. /nl/articles/2411/22/news145.jpg 大谷翔平と真美子さん、「まさかの服装」に注目 愛犬デコピンも大谷家全員で“歩く広告塔”ぶり発揮か
  9. /nl/articles/2411/20/news027.jpg 「こんなことが出来るのか」ハードオフの中古電子辞書Linux化 → “阿部寛のホームページ”にアクセス その表示速度は……「電子辞書にLinuxはロマンある」
  10. /nl/articles/2411/22/news184.jpg 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  2. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  4. まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
  5. 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  9. ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  10. 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた