アプリでは大混雑ですが、現実世界ではガラガラです。
99台のスマホを入れたカートを引く男性の姿を記録した動画がYouTubeに投稿されました。動画のタイトルは「Google Maps Hacks by Simon Weckert」。説明がなく一見すると理解しがたい動画ですが、Googleマップに仮想交通渋滞を作り出すアーティストの作品だったのです。
4分割された画面には、赤いカートに敷き詰められたスマートフォン、そのカートを引く男性を映した2つの映像が流れています。残りの2つの空間は白地で、映像は流れていない状態です。何かを表現しているようで、意味不明に見える映像ですが、白地だった2つの空間に車道の中央を歩く男性の姿とGoogleマップがそれぞれ映し出され、4分割の映像が関連していることが次第に分かってきます。

カートに詰まったスマホとそれを引く男性(画像はYouTubeより)

車道を歩く男性とGoogleマップ(画像はYouTubeより)
男性が歩みを進めるとともに、地図の中心に映る「Schillingbrücke」という橋の色に変化が現れます。道路が空いていることを表す緑色から、オレンジ色となり、最後には交通渋滞を意味する赤色へ変化しました。しかし分割された他の映像からわかるように、実際の道路は空いていて、交通渋滞などまったく起こっていません。この渋滞は、Googleマップがアプリの位置情報を取得することを利用して作られた仮想交通渋滞だったのです。

緑色で空いている橋(画像はYouTubeより)

橋は赤くなり、交通渋滞のように見える(画像はYouTubeより)

実際の道路は空いている(画像はYouTubeより)
動画を投稿したサイモン・ウェッカートさんは、ベルリンを拠点に活動するアーティスト。デジタルな世界を題材に作品を発表しています。動画のコメント欄では「これで意図的に交通渋滞を作りながらドライブすることができますね」「私が住む街の道路の8割で交通渋滞があるのは彼の仕業だったのでしょう」といった冗談が飛び交いました。