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意外と自由気ままだし闇の権力もないよ! 生徒会のリアルな姿をほのぼの描くマンガ『ふたり生徒会』

「虚構新聞・社主UKのウソだと思って読んでみろ!」の第84回。生徒会に「優等生集団」イメージ持っていた人、これが彼らの実態だ!

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 ねとらぼ読者のみなさん、こんにちは。虚構新聞の社主UKです。

 みなさんの中学・高校時代、母校の生徒会がどんなことをしていたか覚えていますか。たぶん覚えている人は少ないのではないでしょうか。

 社主も中学時代、全委員会を束ねる生徒会のトップ・生徒会長を務めていたこともあって、自分の生徒会体験を周りに話すことがあるのですが、一般的に「真面目な優等生集団」という印象が強いのか、「意外にフリーダムなんですね」と驚かれることも多いです。

 さて、今回はそんな生徒会の実態をほんわかと扱った良作をご紹介。小学館のマンガサイト「サンデーうぇぶり」と「読売中高生新聞」にて連載中の『ふたり生徒会』(〜2巻、以下続刊/原作:ゆずチリ、作画:かとそん)です。

ふたり生徒会 ゆずチリ かとそん 虚構新聞ふたり生徒会 ゆずチリ かとそん 虚構新聞 『ふたり生徒会』1、2巻(試し読み)(C)ゆずチリ かとそん/小学館

経験者もうなずく“リアルな生徒会”像

 「マンガの中の生徒会」と言うと、なぜか校長をしのぐ強大な権力を持ち、ともすれば生徒の生殺与奪の権利を握るほどの闇組織になっていたりもしますが、本作の生徒会は生徒会長兼書記兼会計兼庶務の渡清士郎くん(中2)と副会長の水谷涼子さん(中1)の2人しかいない、小さな小さな生徒会。上級生の引退で、題名通り2人だけになってしまった生徒会の活動を描いた一話完結のほのぼのマンガです。

 ストーリーの多くは、思い付いたら即実行、裏表のないストレートな性格の渡くんが学校生活を良くしようと、水谷さんと一緒にいろいろな生徒会活動に取り組むというもの。持ち主不明になった傘を雨の日に生徒に貸し出す「レンタルアンブレラシステム」(これは大成功)、親しみやすい生徒会を目指して考案したウサギのゆるキャラ「キクサギ」(意外にも定着)、「当たり付き生徒会新聞」(うーん……)などなど、「とにかくやってみよう!」という、何とも中学生らしい施策の数々は本当にほほえましい。

 生徒会や生徒会長って「闇の組織」ほどではないにせよ、中を知らない人からは「権力の中枢」だと勘違いされることも多いですが、そんなことは全くありません。もちろん生徒代表として入学式や卒業式のあいさつ、ボランティア活動など行事への出席という目立つ仕事もありますが、実際には職員室に何度も通っては教師と交渉したり、他の委員会に仕事をお願いしたり、行事のために備品を手配したり、学校生活を良くするために校内を駆け回る縁の下の力持ちに徹する場面の方が多いのです。

ふたり生徒会 ゆずチリ かとそん 虚構新聞 当たり付き生徒会新聞を作る渡くんと水谷さん。生徒会の仕事って多くは地味なんです

 また、生徒会室に何に使うか分からないガラクタがたくさんあったり、本来の活動と何も関係ないくだらない遊びをやったりしている本作のエピソードの数々は、経験者が知る生徒会の実像にかなり近いので、生徒会に対して「偉そう」とか「優等生集団」とか思い込んでいる人にこそ、ぜひ本作を読んでほしいです。

副会長の水谷さんがかわいすぎる 丁寧に描かれる“思春期の始まり”

 さて、そんな等身大の生徒会を描く本作もう1つの見どころは、「みじゅ谷さん」こと副会長の水谷さん。本連載では常々クールなメガネ女子に弱いことを公言していますが、彼女もまたたまらなくかわいい

 たまには断ってもいいのに毎回渡くんの提案に乗っかる律儀さと言い、ツッコミもこなせる学年2位の才女なのにいまだにサンタクロースを信じてる純粋さと言い、どう考えてもいい子に決まってる。恥ずかしがり屋にもかかわらず渡くんの「一日生徒会長」という提案に乗っかって、全校生徒の前で自分の名前を「みじゅ谷」と噛んだ話(第17話)が個人的な決定打でした。

ふたり生徒会 ゆずチリ かとそん 虚構新聞 がんばれ! みじゅ谷さん!!

 渡くん&水谷さんというコンビあってこその作品ということは重々承知したうえで、それでもやはりみじゅ谷さんのかわいさに目が行ってしまうところに己の罪深さを感じずにはいられません。2巻の帯の感想欄に「渡の発想がとにかくおもしろいです。水谷さんのつっこみもおもしろいです。二人のコンビは本当にすごいと思います。」と書いた中1女子に「よこしまな目で読んで申し訳ない」と土下座したい。

 しかし土下座スタイルを維持したままあえて開き直りますが、本作は水谷さんが成長していく物語として読むこともできると思うのです。

 最初の頃は「第2生徒会室」という名のかまくらで会長と2人並んで座ったあと「なんかはずかしくなっちゃった」と軽く感じるだけだった水谷さんが、活動を続けるにつれ、メガネの私とコンタクトの私のどっちが良いかを会長に尋ねて「何言ってんだ私!!」と赤くなって慌てるほど、次第に渡くんのことを意識するようになっているわけです。ヘタな少女マンガよりずっとキュンキュンですよ、これは。

ふたり生徒会 ゆずチリ かとそん 虚構新聞 水谷さんの小さな変化にキュンキュンですよ

 以前本連載で紹介した『からかい上手の高木さん』(関連記事)のように思春期ど真ん中な作品は、胸をかきむしりたくなるほど痛痒い感覚にもんどり打って倒れるレベル。ですが目の前の少女が思春期に入っていく過程を描いた本作は、社主のような擦れた大人には痛痒いを通り越して尊くすらあります。

 10代の読者に向けて描かれているので、もちろん同世代の中高生におすすめですが、歳を重ねるにつれてこういう尊い気持ちを忘れてしまった大人こそ読むべき作品ではないかとも思うのです。

 いつまでも2人の掛け合いをほほえましく眺めていたいところですが、物語は新聞連載に合わせて現実時間が経過しているため、3年生になった渡くんは2巻収録の文化祭をもって会長を引退。そして次巻でついに卒業を迎える渡くんと水谷さんに「その瞬間」が来るのを心の底から楽しみにしつつ、今日はこのあたりで筆を置きたいと思います。

 今回も最後までお読みくださりありがとうございました(土下座)。

(C)ゆずチリ かとそん/小学館

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