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読んでるこっちが照れるだろ! 隣の女子にちょっかい出されて焦りまくる中2男子がかわいいマンガ「からかい上手の高木さん」虚構新聞・社主UKのウソだと思って読んでみろ!第28回

ところで席が隣っていうシチュエーションいいですよね。

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 ねとらぼ読者のみなさん、こんにちは。虚構新聞の社主UKです。

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コミケに舞い降りたラスボス。滋賀の地からネット越しにうらやましく眺めておりました

 この連載がきっかけでどんどんマンガ沼の深みにはまりつつある社主ですが、先週は夏コミの話題が気になるばかりの1週間でした。“ラスボス”小林幸子さんが降臨された記事がねとらぼでも紹介されていましたが、もう同人誌即売会の枠を超えたお祭りみたいなイベントですね。「こんなに暑い日なのにみんな楽しそうだな……」と社主も滋賀の地からネット越しにうらやましく眺めておりました。

 さて今回紹介する作品は「ゲッサン」(小学館)別冊付録「ゲッサンmini」にて連載中、山本崇一朗先生の「からかい上手の高木さん」(〜1巻、以下続刊)です。6月に発売されたばかりの本作、社主なじみの書店で見かけて「おっ、『ふだつきのキョーコちゃん』の人の別作品か」と手に取ったところ、帯にはこんなフレーズが。

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 「照れたら負け。」

 「となりの席の高木さん。いっつも俺をからかってくるけど、見てろ、今日こそこっちが恥ずかしがらせてやる!!」

 はい、買った! これはすぐに買いました。社主は「席が隣の男女」なシチュエーションマンガが大好きなのです。思い返せば本連載で紹介した「となりの怪物くん」や「藤代さん系。」もちょっと変わった隣の男子との出会いから始まる作品でした。

 とは言え、どちらも少女マンガなので、男子にとってなかなか感情移入しにくい部分があるのも事実。そういう意味で本作は社主待望の、男子を主人公にした「隣の席マンガ」だったというわけです。

隣の女子に連戦連敗 がんばれ、西片くん!

 主人公は、中学2年生の西片くん。毎日毎日、隣の席の女子・高木さんにからかわれてばかりの彼は、一度でいいから彼女をからかってやろうと奮闘するものの連戦連敗。西片くんが高木さんを恥ずかしがらせる日はやってくるのか。がんばれ、西片くん!

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隣の席の女子・高木さん、手強いぞ

 そんな1話完結の作品なのですが、「高木さんを恥ずかしがらせる」と言っても、そこはまだまだ中学生。紙を折りたたんで作ったバネを仕掛けたビックリ箱を開けさせようとしたり、怖い先生の授業中に変顔で笑わせてようとしたり、していることはかわいいものです。そして案の定、西片くん渾身の計画はいともあっさり切り返されてしまうわけで。ホントにがんばれ、西片くん!

 何としても一泡吹かせてやりたい西片くんですが、そもそも高木さんにどんなからかわれ方をされているのか。ここでひとつ、第2話「プール」からご紹介しましょう。

 クラスメイトが楽しく泳ぐプールの授業。それをうらやましそうに見学している西片くんと高木さん。手のケガで泳げなかった彼に向かって、高木さんはお腹をさすりながら「私がどうして見学しているか当ててみてよ」と挑発します。

 プールを休んで見学している女子……と言えばどうしても「アレ」を思い浮かべざるをえないわけですが、もちろん西片くんが堂々と言えるわけもなく……。そこで彼は気がつくのです。わざと「アレ」と答えるよう仕向けて、また自分をからかおうとしているはずだということに。いいところに気づいた、西片くん!

 からかわれ慣れしたあまり、言葉の裏の裏まで読もうと悩む西片くん。しかしここで高木さんは、ふと「男子って女子の胸ばっかり見るって言うし」と語りかけます。「ひょっとして胸が小さいことがコンプレックスだから……?」と、さらに西片くんを混乱させる余計な情報が入ったことで、もはや「デスノート」にせまる両者心理戦の様相を帯びます。

 炎天下のプールサイドで悩みに悩んだ挙句、西片くんが導き出した高木さん見学の理由とは。そして彼女本人から明かされるその答えとは。続きは読んでのお楽しみですが、やっぱり高木さんが一枚、いや六枚ほど上手だな、とうなってしまう結末。か、勝てるのか、西片くん?

社主にも「リアル高木さん」いました

 それにしてもなぜ西片くんは勝てないのか――。経験上実感している人も多いかと思いますが、この年頃って明らかに女子の方が大人なんです。しかも2人は、小学校気分が抜けない中学1年生でもなく、大人びてゆく中学3年生でもなく、その狭間の中学2年生・14歳。2人の身長は全く同じだというのに、心の成熟には大きな差があるわけで、当然からかいのレベルもワンランク違います。

 そもそも同級生なのに、西片くんが高木さんを「さん」付けで呼んでいる一方、自分は「西片」って呼び捨てにされている時点で、もはや両者の力関係は決定的な気もしますが、社主としては同じ男子として西片くんを全力で応援してあげたいところです。

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「高城さんて……もしかして……オ……オレのこと……」

 まるでキツネとタヌキの化かし合いのような単なるコメディに見えてしまいそうですが、そこはやはり少年少女という関係もあって事情はなかなかフクザツ。高木さんは西片くんを冗談半分でおちょくって楽しんでいるだけなのか、それとも実は彼に気があるのか……。一方の西片くんも、高木さんのことをどう思っているのか。どう思ってるも何も、まあ、傍から見ればまるわかりなのですが、そのあたりの気持ちがいまいち自覚できていないのも若さゆえ、ということで読んでいてニヨニヨしてしまいます。

 さて、妙に西片くんの肩を持つ社主ですが、これは単に同じ男子だからというだけでなく、作中に出てくるエピソードに思い当たる節がありすぎるのですよ。どの収録エピソードかは伏せますが、中学時代、彼と全く同じ経験をしたのです。つまり同級生に「リアル高木さん」が身近にいたわけで、読みながらふと当時の自分をしみじみ思い出したりもしました(ちなみにリアル高木さんは、その後結婚されて2児の母になった、と風の便りで聞きました)。

 かつて社主と同じような経験がある人にとっては、彼の気持ちが手に取るように分かるでしょう。リアル高木さんと高校進学で疎遠になってしまった苦い過去を味わった者として、西片くんには早く自分の気持ちに素直になってほしいと、老婆心ながら社主は願っております。また、そういう経験がない人にとっても、「もげろ!」などと言わず2人の距離感をぜひ楽しんでほしいです。

 それにしても、今こうして帯のコピー「照れたら負け。」を改めて見返しているのですが、これ、「照れたら負け。」なのって高木さんでも西片くんでもなく、ほかならぬ自分自身ですね。はい、完全に白旗です。

 今回も最後までお読みくださりありがとうございました。

(C)山本崇一朗/小学館 ゲッサン

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