INDEX
MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)シリーズの集大成にして映画の世界興行収入1位の記録を塗り替えた大ヒット作『アベンジャーズ/エンドゲーム』が、8月7日に先行デジタル配信をスタートしました。皆さんももう3000回観たことかと思います。

© 2019 MARVEL
ねとらぼ編集部でも公開当時から「エンドゲームすごかった」「今までついてきてよかった」「アベンジャーズロスがひどい」と話題をかっさらったこの作品。しかし「MCUをどこから観ればいいのかわからない」「キャラが多くてよくわからない」といった理由でまだこの最高の映像体験をできていないという人がいるのも事実です。
そこで今回は編集部のMCU好きがアッセンブルして、未視聴勢にいかにMCU、そしてエンドゲームがすごいかを熱く語るプレゼン大会を開催してみました。この記事を読めば君もアベンジャーズです。
チーム「MCU好き」
福田瑠千代

映画を観るためだけに地方遠征するレベルのねとらぼ編集部屈指の映画好き。MCUはアイアンマンの評判の良さを聞いて観始め、『アベンジャーズ』第1作のタイミングで完璧にハマる。
好きなMCUキャラ:キャプテン・アメリカ
好きなMCU作品:『キャプテン・アメリカ/ウインター・ソルジャー』『スパイダーマン:ホームカミング』『マイティ・ソー バトルロイヤル』『アベンジャーズ/エンドゲーム』他多数
フクヤマ

『アイアンマン』からずっとMCUを追いかけ続けている生粋のファン。スピンオフ作品や原作事情にも精通している。
好きなMCUキャラ:アイアンマン、マイティ・ソー、アントマン
好きなMCU作品:『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』『エージェント・オブ・シールド』
たろちん

『キャプテン・マーベル』公開時にたまたま劇場に行ったのをきっかけに、過去作を一気見して急速にファンになる。ハマりたてのためやたらとMCUの話をしたがり若干煙たがられている。
好きなMCUキャラ:アイアンマン、スター・ロード、アントマン
好きなMCU作品:『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』
チーム「未視聴」
山下ラジ男

特撮ヒーロー好きだがMCUは未視聴。キャラの特徴などはなんとなく知っている。
マッハ・キショ松

アニメと美少女ゲームのことだけを考えて生きてきた。MCUのことはマジで何も知らない。
そもそもMCUって? アベンジャーズって何?

今までMCU1作も観たことないんだよね?

まずMCUってなんですか?

思った以上に何も知らなかった

やりがいがありますね

MCUは「マーベル・シネマティック・ユニバース」の略です。要するにマーベル・コミックスの映画の世界を描いたシリーズのことです


字が下手だ

字が下手

うるさいよ。マーベル・コミックスってアイアンマンとかキャプテン・アメリカとかいろいろなキャラがいて、歴史も長いのですごい数の話が描かれてるわけですよ

同じキャラでも違う作家が違う話を描いてたりする場合もあります。この辺りは日本の漫画と少し違うアメコミの文化ですね

それだとどこから読んだらいいかわかんなくないですか?

そう。それを映画シリーズとして1つの統一した物語を作ろう、ということで始まったのがMCUです

なるほど

その第1作が『アイアンマン』。これがアメリカで大ヒットしたことでハルク、マイティ・ソー、キャプテン・アメリカといったキャラの映画化にもはずみがついて、ついに全員集結するのが第1作目の『アベンジャーズ』なんです!

「アベンジャーズ MovieNEX」より TM & © 2012 Marvel & Subs.

1人で単体映画の主役張れるヒーローたちが全部出ちゃう! 熱い!

ス○ロボじゃん!

仮○ライダーの春映画だ!

自分の知ってるもので例えるな。「日本よ、これが映画だ。」ってキャッチコピーも話題になって、この辺りから日本でもアメコミファンの枠を超えてMCU人気が定着していったみたいです

当時は貧乏で映画館に行くお金がなかったから観てない……

悲しい話をするな

で、その第1作『アベンジャーズ』からラスボスポジションとして登場していたサノスとついに決着をつける、というのが今回の「エンドゲーム」なわけです

最高でしたね……

完璧な集大成だった……

知ってる人だけで余韻に浸るのやめてもらっていいですか
MCUの「キャラ愛」がすごい

じゃあ順番に「エンドゲーム」をオススメする理由を語っていきましょう。といってもエンドゲームのネタバレはできないのであえてこう言うと……MCUってすごく「キャラ推し」になっていく映画だと思うんですよね

わかる。福田くんは誰が好きなの?

僕はキャプテン・アメリカ、キャップが好きなんですけど最初は正直「この盾持ってる星条旗のおっさんに魅力があるのかな」って疑問だったんですよ

「キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー MovieNEX」より ©2013 MARVEL.

確かに服とかダサいですよね

第1作の舞台が40年代の第二次世界大戦中だからですね。そのへんのダサさとかは作中でもいじられるんですけど

キャップことスティーブ・ロジャースは元々すごく愛国心が強くて「戦争に行ってアメリカのために戦いたい」って言ってるんですけど、めちゃくちゃ病弱なので全然兵士にしてもらえない。でもあるとき軍の開発した特別な血清を打つことで超人的な肉体を手に入れて、キャプテン・アメリカとして国のために戦うことになるわけです

ホントにアメリカのキャプテンなんだ

その経緯も見世物にされちゃったりとかいろいろ切ないんです。で、戦いの末にキャップはある事情で長い眠りについてしまうんですが気が付いたらなんと現代なんですよ。それで「君があの伝説の英雄のキャップか。アベンジャーズに入ってくれ」って

だからタイトルが『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』なんですよね

仲間も失って何も知らない時代に飛ばされてそれでも真っ直ぐな心でアベンジャーズのリーダーとして戦ってる。キャップの単独作はそういった喪失とか敵対とか「孤独」が描かれることが多くて、どんどん愛着が湧いていくんですよ

あの盾の人、そんな重い過去があったのか……

ちなみにたろちんさんとフクヤマさんの推しは誰ですか?

僕は『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のスター・ロードさん。こっちはキャップと真逆のお調子者的なキャラで悪いこととかもするんだけど、なんだかんだ情に厚い部分もあるみたいな。宇宙を冒険してるのに地球の古いポップスが好きっていう設定もいいのよ

中央がスター・ロード 「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー MovieNEX」より ©2014 Marvel

好きそう。僕はヒーローじゃないけど、トニー・スタークと一緒に最初のアイアンマンスーツを作るインセンっていう科学者が1番好きです

すごい渋いところを

ちなみにアベンジャーズだと誰が一番強いんですか?

その話、しちゃいますか……

まあよく言われるのはソーとかキャプテン・マーベルですかね。生身で宇宙行けるし

アイアンマン、キャプテン・アメリカと共にアベンジャーズの「ビッグ3」と呼ばれるマイティ・ソー 「マイティ・ソー バトルロイヤル MovieNEX」より © 2018 MARVEL

魔術使えるドクター・ストレンジとか超能力がやばいワンダとかもわりとチート級です

へー、アイアンマンじゃないんだ。よくわかんないけど「鉄だからめっちゃ強いだろ」と思ってた

アイアンマンもすごい強力なスーツで戦うんですけどスーツが無いときは普通の人間っていうのがちょっとネックで……

そんなこと言ったらホークアイは弓がめちゃくちゃ上手いだけの生身の人間だぞ!

そしたらブラック・ウィドウだってめちゃくちゃ身のこなしのすごい生身の人間じゃないですか!

なんか知らない人のことで揉め始めた……

強さ議論するとこうなるから……。でもそういう設定的に格差があるようなところもしっかり共闘できるように描いているのがMCUのすごいところなんですよ

ちゃんとした大人の意見だ

で、そんな感じで論争が起こるくらい1人1人しっかりキャラ付けされたヒーローたちが、いよいよ総結集して最後の戦いに挑むのが「エンドゲーム」なんです

そんなの絶対面白くないですか? 笑って○いともの最終回じゃん

タモリのピンチにさんまやたけしが駆けつけて……

自分の知ってるもので例えるな

しかも主役級のキャラがそれだけ出てくるのに、キャップの相棒のファルコンといったサブキャラにもめちゃくちゃグッとくる見せ場があったりするんです。この各キャラを大事にしている愛情の深さがMCUの大きな魅力だと思います
MCUは「ギャグとシリアスのバランスの良さ」がすごい

キャラでいうとMCUは敵キャラも魅力的なんですよ。特にボスのサノスはすごくカリスマ性があります

上がサノス「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー MovieNEX」より© 2019 MARVEL

そもそもそのサノスとアベンジャーズってなんで戦ってるんですか?

この世界には「インフィニティ・ストーン」っていうすごい力を持った石が6個存在するんです。MCU作品のあちこちに出てきてシリーズ全体のキーアイテムになってるんですが、サノスはそれを集めようとしているのでアベンジャーズと敵対するようになると

その石を全部集めると龍が出てきて願いをかなえてくれる?

知ってる話で例えつつちょっと合ってることを言うな。龍は出ないけどそれくらいすごい力を持ってます

サノスというのは簡単に言うと全宇宙の人口問題について考えてるおじさんなんです。「このままだと資源が枯渇する……そうだ、石の力で全宇宙の生命を半分にすればいいんだ!」っていう狂人なんですよね

やべーやつだ

「エンドゲーム」の前作にあたる『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』はこのサノスが石を集めて願いをかなえちゃう話なんですよ

えっ、アベンジャーズ負けるの!?

負けるし半分死にます

だから皆「おいおい、エンドゲームどうなるんだ」ってそわそわしながら待ってたんです

でもサノスなりに本気で宇宙のことを考えて行動してるってのは確かなんですよ。コミックだとちょっと動機が違うんですが、MCUのサノスは私利私欲のために戦ってるわけじゃない

敵なのに「サノスの言うこともちょっとわかるな〜」ってなるんだよね

「インフィニティ・ウォー」のサノスはすごいエモいんですよ。強いし賢いし非情なように見えて実は本気で葛藤をするシーンもあって、めっちゃ表情豊か。そういうさまざまな困難を、強い信念を持って乗り越えた完璧な悪役との戦いが描かれるのが「エンドゲーム」なんです

それもう実質サノスが主人公なのでは?

実際「インフィニティ・ウォー」製作の初期段階はマジでサノスを主人公にしてたって話もあります

あとですね、こうやって説明してるとシリアスな話に聞こえるかもしれないですけど、MCUはギャグとシリアスのバランスが非常にいいんですよ

へー。急にアベンジャーズが野球始めたりするんですか?

50回あるアニメの捨て回かよ

重い話のあととか戦いの最中とかでもちょっとしたユーモアをまじえてくるから全然飽きないんだよね

そのあたりの緩急は本当に見事ですよね

だから「エンドゲーム」もシリーズ最長の3時間1分ある作品なんですけど、体感時間としては1時間40分くらいだったんです。製作側も意図的にそうなるようにねらってるらしくて

まさに絶望の底からアベンジ(復讐)する、っていうテーマとしてはすごい重い作品なのに、振り返ってみるとギャグシーン多いんです。ソーとかハルクとか

全然ボケなそうな人たちなのに

ちゃんとシリアスな見せ場もあるからキャラ崩壊までいってないんですよね。結構大胆にボケるんですけど

ハルクがめっちゃ早くスイカ食べるとか?

それは俺が監督でも止めるわ
エンドゲームは「連続ドラマ」を観てきた人へのご褒美がてんこ盛り

MCUのすごいところってそれぞれ単体の映画でありながら、「連続ドラマ」としての面白さを表現してるところなんですよ。「エンドゲーム」はその集大成として全部観てきた人へのご褒美がてんこ盛りなんです

ほう

もちろん普通に観ても基本的なストーリーとか熱いシーンとかは楽しめるんだけど、実はそれが「アイアンマン第1作のあれだ!」ってなったりとか、過去作の伏線回収みたいなのがすごいんですよ。それこそ小ネタレベルも含めて

だから例えば「アベンジャーズ」シリーズ4作しか観ていない人とMCUシリーズ22作全部観た人だと「エンドゲーム」の印象は全然違うものになると思うんですね。なぜなら全部観てると3時間ご褒美の洪水だから

めちゃくちゃ人と話したくなりますよね

でも「22作全部観ろ」って初心者にいきなり言うと重くないですか?

まさにそれで入れなかったです

だからですね、これはファンには絶対「いやいや」って言われると思うんですけど、逆に「エンドゲームから観る」っていうのもアリなんじゃないかと

いやいや

それはないわー

早速めちゃくちゃ言われてる

そういうガチ勢の態度がMCUの入り口を狭めるんだよ!

オタクとはそういうものなので……

なぜこういうことを言うかというと、僕は1作前の『キャプテン・マーベル』を観て本格的にハマったんです。それまでも『アベンジャーズ』とか数作をつまみ食いで観たことはあったんだけど

「キャプテン・マーベル MovieNEX」© 2019 MARVEL

結構珍しい入り方ですね

キャプテン・マーベルは「なぜアベンジャーズというチームを作ることになったか」っていうエピソード0的な時系列の話でもあって。そういうことだったんだー、とか思ってあらためて『アイアンマン』から見直していったら、話のつながりをすごいスムーズに理解できたんです

なるほど

MCUって連続ドラマの性質があるのでこれまでは「次回作に続く」的な余韻を残して終わってたんですね。でも「エンドゲーム」は集大成なので1番熱いし盛り上がるし話の着地点も見事なんです。だから1作だけ観る、というなら「エンドゲーム」だけ観てハマったら最初から観ていくと「エンドゲームのアレ、実はこことつながってたのか!」っていう逆伏線回収的な楽しみ方もできるかなと

確かにまず1作だけ観ればいいって言われると入りやすいのはありますね

じゃあ『アイアンマン』観ます

俺が熱弁した意味はなんだったんだ

「1作だけ観るなら」論争もいろいろありますよね。『アントマン』や『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』はそれほど前後のつながりが深くないので単体でも観やすい

僕は『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』か「インフィニティ・ウォー」推しです。「シビル・ウォー」は初登場ヒーローも多い上にアベンジャーズ同士の対立を描いているので、各ヒーローのバックグラウンドとかもわかりやすいですし

スパイダーマンやブラックパンサ―などがMCU初登場した「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ MovieNEX」© 2017 MARVEL

じゃあ「シビル・ウォー」観ます

自分の意思とかないのかよ

でも「最初にエンドゲームを観たらどういう感想になるのか」は確かに気になるかも

わりと貴重なサンプルではありますよね

序盤の絶望感と衝撃、中盤のコミカルとシリアスをまじえながら盛り上がっていく展開、そして最後のカタルシスって単体映画として観ても見事だと思うんだよね

シリーズ最大級の戦いが描かれる「アベンジャーズ/エンドゲーム MovieNEX」より © 2019 MARVEL

そう言われると早く「エンドゲーム」観てみたい

じゃあ「エンドゲーム」観ます

自分の意思とかないのかよ
この映画を観れば君もアベンジャーズだ!
というわけで、次回は「マーベル初心者がいきなり『エンドゲーム』を観たらどうなったか」の記事をお届け予定です。一体どんな感想が飛び出すのかお楽しみに。

Movie NEXは9月4日発売 © 2019 MARVEL
『アベンジャーズ/エンドゲーム』は8月7日より先行デジタル配信中。9月4日にはMovie NEXが発売予定です。