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10月14日から販売チャネルを拡大して全国で販売開始となる、ロッテの完全新作ハードグミ「KAZITTE!(カジッテ)」。独特な声色のマーモットが「カジッテ! カジッテ!」と連呼するWebCMやトレインジャック広告などでも注目を集めています。うわさによると、今までにない“新感覚ハードグミ”らしいのですが、いったい何が新しいの? そもそも、グミの開発ってどんな風に行われるの……?
この記事では、そんな気になる点を、商品開発に携わった研究員の方やマーケティング担当者の方に突撃取材してきました。
ハードな食感×ジュワッと広がる果実感
10月14日からの全国発売に先駆け、9月16日よりコンビニエンスストアと駅売店で先行発売がスタートした「KAZITTE!」。 フレーバーは「グレープ&マスカット」と「ミカン&レモン」の2種類で、最大の特徴は“噛みごたえ抜群のハード食感”と“口いっぱいにジュワッと広がる果実感”です。
“ロッテならではの知見”が生かされまくった商品といっても過言ではないグミらしいのですが、その開発の舞台裏とは……? ロッテ・チューイング研究部キャンディ研究課の大畠菜摘さんとマーケティング本部キャンディ企画課の豊田直弥さんにお話を聞きました。
後発だからこそ、グミ戦国時代に「新しいハードグミ」を作る
大畠さん: 商品の開発はなんと言ってもコンセプト次第です。まずはマーケティング担当からコンセプトを出してもらい、そのコンセプトに合ったグミを開発していく、という流れが多いです。
「KAZITTE!」の開発にあたり、チューイング研究部の大畠さんがタッグを組むことになったのは、同じ部署で4年半商品開発を担当してからマーケティング本部に移った豊田さん。
豊田さん: 近年、グミ市場は右肩上がりな一方、ロッテははっきり言って“後発組”です。レッドオーシャンの中で何ができるのかを突き詰めていった結果、見えてきたのは「大人がグミを買っている」──そしてその中でも、仕事中に噛んで気分転換できて、腹持ちもよい「ハードグミが伸びている」ということが分かってきました。
そして、徹底的なマーケティングを経てロッテが照準を定めたのは、社会人女性による“自分のための消費”でした。
豊田さん: これまで人気のハードグミは「かっこいい・屈強そうなデザイン」「コーラ味やソーダ味などのドリンク系フレーバー」が中心。グミなどのお菓子を買うのが好きな女性は多い一方で、女性がより好む傾向にある「フルーツ系フレーバー」に特化したハードグミはまだ少ないと分析したんです。
仕事中の小腹満たしとして、大人から人気を集める「ハードグミ」。しかしその中で、「女性ユーザーがより好みそうな」「フルーティーな風味・果実感」に特化したグミは意外と少ない──そこを突くような、新しいハードグミ作りへの道がスタートしました。
グミの定説を覆す挑戦、グレープだけで250回の試作
しかし、「果実感を存分に感じられるハードグミ」を開発するには大きな課題がありました。硬い食感を追求すればするほど、味わいが出しにくいのです。
これは食品業界では常識ともいえる壁だそうですが、マーケティング本部はその定説を覆す「ハードな食感&驚くぐらいの果実感のグミ」という難題をオーダー。これを受けて大畠さんの挑戦が始まりました。
大畠さん: 内心「何言ってんだ」と思いながら開発がスタートしましたね……。
そして、最初のターゲットフレーバーに選ばれたのはグレープでした。
豊田さん: なんといっても、「グレープ味」は譲れないと思いました。日本では、フルーツ系のお菓子や飲料の中でもグレープ味が広く親しまれています。特にグミの売り場においては、各社のブランドの最も定番のフルーツとしてグレープが一丁目一番地として展開していることが多く、フルーツ系グミとして認められるためには、絶対に乗り越えなければいけない最初の壁だと思いました。
大畠さん: 「グレープ」と一言で言っても、いろいろな“グレープ”の像があります。通常の商品開発での試作は多くても30点〜50点程度なのですが、「KAZITTE!」に関しては、グレープ味だけで100点を超えましたね。全てのフレーバーを合わせると最終的には400点以上試作し、1回の試食で20点以上食べ比べることもありました。「KAZITTE!」全体の方向性を定めながらグレープ味の調整も行っていたので、とにかくグレープの開発が一番大変でした。
大畠さん: ただ、「グレープ味を作る」「果実感を再現する」という理由から、経費で高級なブドウをいっぱい購入できたのはうれしかったです(笑)。ここぞとばかりに、シャインマスカットなど高級な品種や珍しい品種のブドウを購入させてもらって、研究のために試食しました。
豊田さん: そうだったの?(笑)
大畠さん: でも、面白いことに「リアルな果物に近いグレープ感」を目指すほど、逆に「お菓子に求めるグレープ感」は物足りなくなっていく……ということが分かったんです。最終的には、約1年かけて本物とお菓子のちょうど中間といえる、理想的なグレープ味に落とし込むことができました。
また、試食は午前中に行うことが多く、昼食前に大量のグミを口にするため「正直お腹がいっぱいでご飯を抜くこともありました」と大畠さん。トータルの開発には約2年を要し、常にグミと一緒の日々を過ごしていたため、チームメンバーからも「またグミ出してきたよ」と驚かれるほどだったといいます。
しかし、大畠さん自身が無類のグミ好きということで「毎日1袋は他社のグミも含めて食べていました。それでも作るたびにおいしくなっていく商品に愛着が湧くので、嫌になることはなかったですね」と笑顔で話していました。
ロッテの得意分野! こだわりの「果実感引き立て製法」
また開発では「ハード食感なのにフルーティー」を実現するため、香料メーカーとの綿密なやり取りも行われました。「食べ始めはこんな味わいにしたい」「この成分をもう少し増やしてほしい」といった細かい調整を重ねて、ようやく理想に近い香りを実現したのだといいます。
独自の噛みごたえを生み出す形状については「小腹満たしというテーマもあったことから、女性でも一口で食べて頬張れること、どこを食べても同じ食感になることなどからキューブ状にすることとしました」と豊田さん。
硬すぎると果実感が出にくくなるため、“カジれる硬さ”という絶妙なラインを追求しつつ、香り・食感・原料のバランスを最適化し、ハードグミでも果実感をしっかり感じられるように「果実感引き立て製法」を確立したといいます。
豊田さん: ロッテって、かなり“味のバランス作り”が得意だと思うんです。特に「噛みはじめは硬いのに、だんだんフルーティーさを感じる」というところは、チューイングガム開発の知見も大いに活かせる部分でした。だからこそ「KAZITTE!」の開発には大きな期待を寄せていましたね。
「最高のミカン」を信じろ
また、食感や味わいだけでなく、フレーバーのチョイスにも背景がありました。
豊田さん: 仕事中に食べる、飽きずに食べられるというコンセプトがあったので「2種類のフレーバーのアソート」ということも決めていました。「グレープ&マスカット」以外の候補として、私は「オレンジ」味をオーダーしていたんですが、なぜか大畠から届いたのは「ミカン」味でした(笑)。
大畠さん: はい、ミカンこそ自信作だとプッシュしました!
豊田さん: 最初は「ミカン? なんでミカン?」と思ったのですが、私は研究チームが一番の味のプロだと信じていますから、大畠からの「自信作のミカンです」という言葉を信じました。
大畠さん: 確かにオーダーはオレンジで来ていたのですが、色々と研究した結果、ミカンがとてもおいしくできたんです。定番から外れてはいけないと思っていたのですが、「ミカンはギリ王道でしょう」と、プッシュしました。今では私の一番のオススメです。
1日持つグミが欲しい……こだわりの「80グラム」
「KAZITTE!」のターゲット層イメージは、働く社会人女性。実際にオフィスで働く女性たちにヒアリングを行ったところ、こんな声が返ってきたといいます。
「お腹が空いてもすぐにコンビニへ行けない。1袋で1日持ってほしい」
「40〜50グラムだとすぐ食べきってしまう。でも100グラムだと多すぎる」
そこで採用されたのが、1日持つ”80グラム”という絶妙なボリューム感。小腹を満たしつつも、持ち運びやすく食べ切りやすいバランスを目指したそうです。
こうして完成した「KAZITTE!」。大畠さんも豊田さんも「カジった瞬間の驚きに注目してほしい」「ひとかじり目に全力をこめているのでぜひカジって確かめてみてほしい」と口をそろえます。
噛みごたえと果実感の両立に挑んだロッテの新ブランド「KAZITTE!」は、全国のコンビニ・スーパーなどで順次発売中。新感覚ハードグミをカジって気分転換してみてはいかがでしょうか。
【番外編】極めた人によるグミの開け方
入社前からグミ大好きで、自社のグミ開発中も飽きることなくさまざまなグミを食べていたという“グミ好き界隈”の大畠さん。グミ好きがよくやるという「パッケージの開け方」を教えてくれました。
パッケージの裏からカッターで、表側までは切れないように、裏側のみに薄く切れ目を入れていきます……。
うまく切れれば、表側のパッケージは傷つけずに開封成功! グミコレクターの皆さんは、こうやって開封することでパッケージを美しく保管するのだそうです。グミへの本気度に脱帽です……!
(Kikka)