会社に勤めているとさまざまな社内制度がありますよね。社員の満足度を上げ、働きやすくする上で重要な仕組みなのですが……言わせてください。
「めんどくさすぎる」ということだけは言わせてください。いや、もちろん助けられている部分もあるんですよ? 会社を適正に運営していくための制度であることは分かります。
でもとにかく手続きがわずらわしい──その筆頭が“経費精算”でしょう。
仕事で必要な備品などを購入する際には、まず許可を得る必要があります。購入を許可されたら上司に正式な承認をもらうという流れですが、承認者の上司が多忙でなかなか見てもらえなかったり、はたまた「もっと安いものはないのか」と差し戻されたり。もっとスムーズな制度があればいいのに……。
そんなことを考えながら日々を過ごしていたら、なんと「経費は社員全員誰でも決済できる」という革新的な制度を備えた会社の存在を知りました。
その名も2016年創業の「しろくま電力(ぱわー)」。環境にやさしいグリーン電力に特化し、個人と法人向けに電力を供給する電力会社です。
ということで、しろくま電力のオフィスに突撃! 人事チームの田端さんと廣井さんにお話を聞きました。
なんとなく、電力会社ってお固い会社っぽいイメージがあったんですが……そんな先進的な経費制度があるってホントかな?
──さっそくなんですが……「しろくま電力(ぱわー)」では「経費は社員全員誰でも決済できる」ってホントですか?
──お願いします!
──誰にお願いしてもいいんですか? 上司限定、とかではなく?
弊社は役職や年齢など関係なく、誰でも自由に意見が言える「フラット組織」なんです。そのため上司もおらず、社内コミュニケーションを円滑にするためお互いにニックネームで呼び合っています。田端は「たばさん」、私は「もりぞー」です。
──制度も組織も一般的な会社とはまったく違いますね。オフィスにおじゃましたとき、談話スペースの雰囲気が和気あいあいとしているように感じたのは、それもあるのかも。
──でも、どんなものでも対象になるなら、私だったらコンビニでお菓子とかを買っちゃうかも。それはちょっと自由すぎませんか?
上司という概念が存在しないため、誰かしら他の社員に承認をもらうという「だれペイ」ですが、ユニークなのは「承認者に責任がある」という点です。承認した人は「これが会社にとってプラスになる、会社にとって有意義な投資である」ということを説明できなければいけません。つまり判断能力が問われます。
──なるほど。好き勝手に申請することはできても、それが全部通るわけではないんですね。
「だれペイ」を使うのは、「必要だから」というより「投資として」という考えです。「会社に貢献するための投資」「社員のパフォーマンスを上げるための投資」という観点で、これは本当に費用対効果があるか? を自律的に考え、判断することが求められます。
──ちなみにもし私が、たばさんと超仲良しになったとしたら「だれペイ」の承認も通りやすくなるんでしょうか?
──残念です。そこはちゃんとしてるんですね!
社内には監査委員会も設置してあるので、そうそう変なことは起こりません。ちなみに社員それぞれに決済できる金額の上限が割り振られており、「特にいい『だれペイ』の使い方=会社にとって特に有意義な投資をした」と評価されたメンバーは決済枠の上限が増える仕組みにもなっています。
──お互いの信用と信頼があっての「だれペイ」なんですね。「自由には責任が伴う」というメッセージをしっかり感じる制度だ……。
──この「だれペイ」は、どういう経緯で生まれた制度なんでしょう?
弊社代表の谷本貫造(ニックネーム:かんちゃん)が導入した制度ですね。弊社は創業以来、社員が最大限のパフォーマンスを発揮するためにどうすれば良いか「自由と責任」についてとことん突き詰め、その結果として「だれペイ」のような制度導入に至っています。
経費とは「会社を良くするために発生するお金」つまり「会社を良くするための投資である」、というのが「だれペイ」の考え方です。社員の働く環境を整備できる、仕事のパフォーマンス向上につながるということは、結果的に会社への貢献につながりますから。
──「会社を良くするための投資」ですか。
──もし私が社員だったとして、「Nintendo Switch」を買ったら仕事のパフォーマンスが2倍になるからと「だれペイ」を申請したら通りますかね?
──えっ!? 絶対ない事例だと思って聞いてみたんですが、実際にあったんですか!?
「仕事が多忙で家族サービスが十分にできていないが、『Switch』を購入すれば家族が喜び、家庭の雰囲気がよくなる。家庭の雰囲気がよくないと業務のパフォーマンスに大きな影響があり、会社に損失がある」「自分が全力で仕事に取り組める環境を整え、成果を出すための“投資”なのだ」ということを論理だてて説明し、無事に承認を得ていました。
──承認してもらうために、その人はちゃんとロジックを提案したんですね。
ただ、仮に思うような成果が出なかったとしても、弊社には社員の挑戦を推奨する風土があるので、実現の可能性や投資効果があるかなどがしっかり考えられたうえで、「挑戦に値する」と思えるものであれば問題ありません。
──シンプルにうらやましい……。
──ニックネームがあったり、上司という制度がなかったり、しろくま電力(ぱわー)は社内の雰囲気がフラットでフレンドリーですよね。他にもユニークな制度はありますか?
──めちゃめちゃ楽しそう!
──大人になってひしひしと感じるのがこういうコミュニティの大切さなので、業務以外のことも楽しめる仲間ができる機会って、ホントにいいなと思いますね。
──ただ楽しそうなだけじゃなくて、「会社を良くするために発生するお金」「会社を良くするための投資」という考え方も一貫していますね。
──すごいビジュアルだ。日本生まれでもそうそう見ることはないけど、海外出身のスタッフの方はとくに喜びそうですね!
あとは最近だと、創業10周年を記念し、全社員を対象にした「オールしろくま感謝祭」という大々的な社内イベントを開催しました。「オール●●●感謝祭」というあのクイズ番組をモデルにし、個人やチームで会社にまつわるクイズ大会を本格的なセットで実現しました。
──運営側も参加者側も本気すぎる。
エネルギーと気候変動の最新トピックを紹介していく「エナシフTV」というチャンネルで、現時点で登録者数が16万人を突破しています。(※2026年6月時点)
──オフィスの入り口にYouTubeの盾があるなと思ってました……! 社員のチャレンジを応援する風土だからこそ、実りも多く生まれるんですね。
──誰でも経費決済できる「だれペイ」のお話に始まり、オリジナリティあふれる部活動や社内イベントなど、ただ楽しいだけではなく挑戦的・先進的な雰囲気を感じました。
そう言ってもらえてよかったです。本音を言うと、電力業界というのは長年の慣習や既存の枠組みもまだまだ強力に残っている業界です。そんな業界の中で新しいことに取り組もうとする会社ですから、どんどん“挑戦”をしていかなければいけないと考えています。
──心に響きました。最後にひとことお願いします!
イノベーションを起こそうとした時、今までと同じやり方では絶対に無理ですし、何か尖った要素というのが必要になってきます。 新しいものを生み出すにはそういうチャレンジ精神がないと成し遂げられないので、そういった土壌を「しろくま電力(ぱわー)」の社内で育んでいきたいと思っています!