「爆破」から中身を守れる段ボールは存在するのか!?

 引っ越しやネット通販で買ったものの配送など、私たちの生活には欠かせない存在である「段ボール」。軽くて便利だけど“しょせん紙”と侮ってはいませんか?

 今回紹介するのは、段ボールの製造・販売を手掛ける企業「サクラパックス」。段ボール設計技術で世界一の賞を受賞したこともある超実力派の会社なのですが、なぜか「爆破」や「実弾射撃」といった無茶な方法による「段ボール三番勝負」でその技術力をアピールしています。なんてぜいたくな技術の無駄遣いなんだ。

技術力はガチ

 目標は、さまざまなシチュエーションにおける衝撃から「社長の大好きなワインボトルを絶対に守る」こと。その日からサクラパックスの技術者による段ボール研究の日々が始まりました。果たして世界トップクラスの技術者たちは社長の無茶振りに応えられるのか!?

以下、「慎重に運べばいい」というツッコミ禁止

第1試合「VSヘリコプター」

 三番勝負の初戦は「段ボールVSヘリコプター」。上空100メートルの高さからワインを落とし、それを無傷で守る段ボールを作るという挑戦です。通常の配送でそんなことが起きたら大事故すぎる。

ありえないシチュエーションを提示されて困惑する技術者のみなさん

 段ボールの本来の用途において、サクラパックスの技術者たちが想定していたのは40センチから90センチといった高さからの落下。会社の屋上を使った落下テストでも15メートルの高さまでしか出せず、100メートルという高さは完全に未知の領域です。今までとは全く違う緩衝材の設計が必要になってきました。

「落とす」ことを前提にした形状

 そこで彼らが生み出したのが「ロケット型」の段ボール。ロケットの先端部分が落下の衝撃を引き受けて潰れることで緩衝材になり、中央部に入ったワインボトルは衝撃から守られるという発想です。逆に考えると、100メートルの高さからワインボトルを守る以外の目的では使えなさそうな段ボールをわざわざ開発してしまったとも言えます。こんな謎企画なのに挑戦者側がガチだ……!

なぜかかっこよく見えてくる不思議

 カウントダウンとともに、段ボールロケットに入ったワインボトルをポイッと投下。わずか数秒でロケットが地面に叩きつけられます。世にも奇妙な“ワインのスカイダイビング”。完全に衝撃映像なんですが大丈夫なんですかね……。

すごい高さ
ドゴオッ!!!!!
まさかの無傷

 社長が自ら段ボールを開けると……なんと中のワインボトルは無傷! 段ボールのすごさを見事に証明しました。っていうか、サクラパックスの技術者さんたちがすごいぞこれ……!

第2試合「VS爆破」

 続いての挑戦は、まさかの「爆破」。前回同様、ワインボトルを入れた段ボールの下に起爆剤を仕込み、爆破するそうです。「紙は燃える」っていうの、結構最近の人類の間だとメジャーな事実だけど大丈夫そ?

力強すぎる2文字

 社長は「サクラパックスのパッケージ技術があれば大丈夫」と自信満々。社員たちはこっそり「絶対無理だろ」と本音をこぼしつつも、緩衝材の構造に工夫を凝らし、中の瓶に炎や衝撃が伝わらない梱包を設計します。

本音が出ちゃう人もいます
爆破の衝撃が直接伝わらない構造を考案

 挑戦の場所は、特撮ヒーローもののロケでおなじみの栃木県岩船山。特撮でしか見ないような爆炎に包まれて、上空10メートルまで吹き飛ばされる段ボール。外側は焼け焦げ、ヤバそうな黒煙もあがっています。文字通り火力が高すぎる……!

どう見ても「おしまい」の見た目
でも無事

 ところが、中のワインボトルはまたしても無事! こちらの頭の中は「普通そうはならんやろ」という感情でいっぱいになります。もしかして段ボールって爆破しても大丈夫なのか……?(※サクラパックスの段ボールは特殊な訓練を受けています。真似しないようにしてください)

第3試合「VS拳銃」

 最後の挑戦は「段ボールで銃弾を防ぐ」というもの。とうとう武器が出てきちゃったよ!

多くの映画やドラマに登場する強力な威力を持つ人気の銃で撃ちます。段ボールを

 日本では実弾が撃てないため、この検証のためだけにタイを訪れるという気合いの入れっぷり。何がサクラパックスをそこまでさせるんだ……?

迎え撃つ段ボールも強力に

 技術者たちが切り札として用意したのは「SLPボード」という強化段ボールの一種。一般的な段ボールの10倍の強度を持つ特殊な段ボールで、重量物の梱包に使われています。SLPボードくんもまさか銃弾を受け止めさせられるとは思っていなかったでしょうね……。

「社長自ら拳銃を構え狙いを定めたとき」に使える画像です
が……駄目っ……!

 さすがに銃弾ともなると、強化段ボール1枚のみでは防げず、ワインボトルは粉々に。5枚、10枚と重ねて検証を続けますが、無情にも銃弾は全てを貫いてワインボトルを破壊してしまいます。そしてやたらと射撃精度が高い社長は何者なんだ……!

サクラパックスの願いを無慈悲なまでに撃ち抜く社長

 そして、ラストチャレンジとなった25枚での挑戦。

 銃声が響いた次の瞬間、ワインボトルが……割れていない!?

やったか!?
25枚目ギリギリで銃弾を止めることに成功

 なんと25枚目の段ボールが最後の最後で銃弾を受け止めてくれていました。段ボールが25枚重なれば銃弾も防ぐことができる。実生活ではなんの役にも立たないけどなんか話したくなる知識とともに、三番勝負は見事段ボールの勝利で幕を閉じました。

開発の裏話を社長に聞いてみた

 そもそもなぜこんな無茶な検証を実施したのでしょうか? 企画の裏側をサクラパックスさんに聞いてみました。

段ボール業界は若者への認知度が低くて、弊社の採用活動でも、他の業界へ就職が決まった方から内定辞退されてしまうことがあるんです。でも、段ボールってネット通販などで誰もが毎日目にする身近な存在で、色々な可能性を秘めているんです。なので「段ボールってこんなに面白くて、すごい可能性があるんだぞ!」ということを若い世代にも知ってほしくて、「VS段ボール」というチャレンジ企画をスタートしました。

試作の数はこの「VS落下」が一番多かったです。最初はワインボトルの全面を覆う緩衝材を設計したのですが、それだと過剰梱包になってしまうという問題がありました。「瓶の中で一番強度があるのは底面だ」という気付きから、落下方向をコントロールして底面から着地させるアイデアが出て、最終的には「ロケット型」という形に辿り着きました。本番までには「これなら緩衝材の使用量を減らしても絶対に大丈夫」と確信が持てる仕上がりになっていました。

実は爆破の威力や火力がどれほどのものか、最初は全く想定がつかず……火薬の情報収集から始まりました。爆破の衝撃を逃す構造だけでなく、吹き飛ばされた箱が地面に落ちるときの落下衝撃、そして防炎対策など、未知の課題が最も多かったのがこの「VS爆破」です。本番での不安が一番大きかったという意味では、この対決が3つの中で一番大変でした。

銃弾との対決はある意味シンプルでした。「パンクチャー試験」という段ボールの突き刺しに対する強度試験があるんですが、それに相当する強度がもっとも高い素材を選定して、あとは重ねるだけでした。何より大変だったのは実際に試験ができる場所がタイのチェンマイにしかなかったことで、準備と移動に苦労しましたね(笑)。

高すぎる技術力と全力すぎるユーモア

 サクラパックスはこれまでも、段ボールの可能性を追究する企画「段ボール研究所」や、「もしも世界に段ボールがなかったら」というifを描いたユニークな動画など、段ボール愛に溢れた発信を続けてきました。今回の「VS段ボール」シリーズも、そんな同社の魅力が詰まった動画となっています。

 また、サクラパックスの公式X(旧Twitter)では「VS段ボール」の新たな挑戦相手を募集するキャンペーンも(現在は終了済み)。世界屈指の技術力を斜め上の方向に注ぎ込んだ対戦が、今後もまた見られるかもしれません。

 業界屈指の技術力を誇りながら、それを惜しみなくエンタメにも昇華させる熱意と遊び心を持ったサクラパックス。ぜひ今後も注目してみてください!

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