9月1日は「防災の日」。地震、台風、豪雨などの自然災害が発生しやすい日本では、防災対策に関する情報も多く発信されています。会社や学校だけでなく個人でも「水や食料などを備蓄している」「避難用セットなどを準備している」という人は多いはず。

 でも……その防災対策、あるものを見落としていませんか?

 それは……

 「正露丸」でおなじみの大幸薬品が行った「災害時のトイレ防災に関する意識調査」では、「地震や台風などの災害時を想定したときに不安に感じること」の1位が「トイレが使えないこと(約66%)」という結果に。

 そしてさらにドキッとするのが、災害時のトイレ事情を不安に感じている人がこんなに多いにもかかわらず、実際に非常用トイレを備蓄できている家庭は約41%、携帯用トイレを持ち歩いている人はわずか約4%にとどまるという結果でした。

 老若男女、誰でも毎日することになる「トイレ」。その重要性は理解しているはずなのに……他の防災対策と比べて対策をしていない人が多いようなのです。

 この調査を実施した大幸薬品は、「ラッパのマークの正露丸」などの常備薬を通して、家庭に「備え」を提供してきた会社。防災の日に合わせて、視点を防災に広げ「トイレの備え」について発信する取り組みを行っています。

 取り組みのひとつとして8月31日から、大阪府の御堂筋線なんば駅および梅田駅構内にて、「非常用トイレ」を壁面から剥がして持ち帰れるピールオフ広告が展開されています。

防災トイレを備蓄していない「59%」側のギモン

 こんにちは。ライターの野田せいぞです。さきほどの調査結果にあった、「トイレを備蓄していない」59%側の人間でもあります。

 トイレかぁ……。準備できてないなあ。

 でも水と食料は、それなりに備蓄してあるし、「なんとかなるか」という気持ちもあります。

 ……。

 うん。なんとかなりそうな気がしてきた。

パッパラパッパ~(だめだよ)

なに……? ラッパの音?

パッパラパッパ~(水と食料と同じくらい、非常用トイレは、災害備蓄の最初に準備してほしい……)

あ、あなたは誰?

コト……

こんにちは。備え・防災アドバイザーの高荷です!

ぼ、防災のプロ!?

はい、防災のプロです

すごい!(目の前に防災のプロがいるなんて、めったにないチャンスだぞ……! 色々と気になってることを聞いてみよう!)

高荷智也さん(備え・防災アドバイザー)
「自分と家族が死なないための防災」をテーマに、地震・水害・パンデミックなどの自然災害から、銃火器を使わないゾンビ対策まで、堅い防災を分かりやすく伝える活動に従事。防災系YouTuber・Voicyパーソナリティとしても活躍中。大幸薬品「ラッパのマークは備えのしるし」プロジェクトにも監修として参加。

【疑問1】非常用トイレって、本当に絶対必要?

そもそも、非常用トイレって絶対に必要なんでしょうか? 水や食料みたいに「絶対に必要!」というイメージはありませんでした

非常用トイレは、災害時に健康で文化的な生活を送るためには絶対に欠かせません! 

そんなに大事!?

水や食料は、備蓄がなければ「そこにない」で終わりますが、トイレがなかったとしても、生理現象を止めることはできません。限界が来たら、トイレ以外の場所でも、どこかにぶちまけるしかないんです

ぶちまける……。それはできる限り避けたい未来ですね

限界が近いのにトイレが見つからない。あるいはやっとの思いで見つけたトイレが「断水」「使用禁止」だったとして、どこまで耐えられるか想像してみてください

ぶちまけてしまっただけで命を落とすことはなくても、精神的ダメージは大きいですよね……

物資が足りない災害時、一度汚れてしまった場所をきれいに戻すのもとても大変です。そうなると「終わりの始まり」のようなもので、衛生環境が一気に悪化していきます

そう聞くと、災害時はなるべく「トイレに行かない」方がいいのかなと考えてしまいますね

「我慢すればいい」という考えはすごく危険です!! トイレを我慢したり水分摂取を我慢したりしていると、脱水症状やエコノミー症候群の危険性が高まります。命に関わる重大な問題です

そ、それは怖い……!

避難所で「不衛生なトイレにはなるべく行きたくない」とトイレを我慢した結果、エコノミー症候群になってしまうケースが実際にあるんです。また足腰に不安のある高齢者の方が、避難所のトイレ利用を我慢しようとして、水分や食事を控えてしまうといったケースもあります

トイレが自由にできないって、想像以上に危険だ……。トイレができないことより「トイレに行かないようにしよう」と行動が変わってしまうことが危険なんですね

その通り。「トイレを備える=トイレを我慢しなくていいようにしておく」ことは、生活だけでなく命を守る防災対策でもあるんです!

【疑問2】浴槽に水をためておけばいいのでは?

非常用トイレがなくても、断水に備えて浴槽に水をためておけば、便器に流して使えるのでは?

排水管に問題がなく、水を流してよい状況なら使えます

よっしゃー!

ただ、一般的な水洗トイレは1回流すのに5〜8リットルほど必要です。浴槽に200〜300リットルためても、使えるのは20〜30回程度。家族で住んでいたら、1日2日しか持たないかもしれません

え! 計算すると、それだけしか使えないんですね

しかも、断水している状況下での貴重な水です。他の用途でも使うでしょうし、貴重な水をトイレのためにジャブジャブ使えるか……と考えてしまうのも自然ですよね

でも我慢すると体調に悪いし、流さなければ衛生的に……

さらに、大きな地震の後に水で流すことには注意が必要です。特にマンションでは、ぱっと見わからなくても、地震で排水管が壊れてしまっている可能性もあります。もし断水していなくても、排水管の安全が確認されるまでは非常用トイレを使って、排せつ物は流さないほうがいいですね

なるほど……

【疑問3】避難所でトイレを借りればいいのでは?

自宅のトイレが使えなくなったら、近くの公共施設や避難所の仮設トイレを借りようと思っていました

うーん……それだけを当てにするのは厳しいかもしれません

え!?

すべての避難所に、十分な設備が確実にあるとは限りません。また大規模な災害が起きて避難所を設置するとなった場合、安全を確認して、場所を確保して、仮設トイレを組み立てて……と準備があるので、災害が起きた瞬間から仮設トイレが現れるわけではありません

でも、トイレにいつ行きたくなるかは分からないですよね……

設置までも時間がかかりますし、設置されても大行列になるかもしれません。限界が近い状態で「あと1時間待ってください」と言われても、無理ですよね

眠いとかお腹空いたとかなら、少しくらい我慢できますけど、トイレは絶対に無理です

ですよね。それに仮設トイレの数も、基本的には避難所の収容人数に合わせた数になっているはずです。自宅で避難生活を送る人が「トイレだけ貸してください」と来ても、すぐには使用できない可能性があります

「避難所に行けば何とかなる」ではなく、自宅で備える必要があるということですね

【疑問4】外出中に大災害に遭ったら……トイレはどうすれば?

もし外出中に災害が起きて、電車やエレベーターに閉じ込められた場合、トイレはどうすればいいのでしょうか?

携帯トイレ(非常用トイレのコンパクト版)を持っていれば、最悪の場合でも用が足せます

やったー!

ただし、一人きりなら使えても、周囲に人がいる状況で本当に使えるかは別問題です

たしかに……。他人でも友達でも、やっぱり抵抗がありますね

少しでも抵抗感を和らげるアイテムとして、防災用のアルミブランケットや、透けない素材のレインポンチョなどを持っていると、目隠しとして使うことができます。外出時の防災対策をより完璧にするなら、携帯トイレと一緒に持っておくのがオススメです!

それでも、もしエレベーターで初デートの相手と一緒だったら……使えないかも

それは究極の選択になりますよね。ただ、持っていなければその選択肢すらありません。まずはお守りとして、携帯トイレ1~2個を常に持ち歩いていると安心だと思います

わかりました!

【疑問6】使用後の袋はどうすれば? 何回分あれば安心? 

そういえば、使用後の非常用トイレってゴミとして出せるのでしょうか?

一般的には、おむつと同様に燃えるゴミとして扱われることが多いです

それなら安心して捨てられますね!

ただ、断水するような大災害が起きた際には、ゴミの収集も止まることが多いです。大きなゴミ袋にまとめて、ベランダや庭、浴室などに置いておく流れになると思います

使う回数だけでなく、使用済みの袋を置く場所まで考えておく必要があるんですね!

目安では、トイレの回数は1人1日5回。自宅に備蓄するなら3日分で15回、1週間分なら35回分あるとよいと言われています

多いような、少ないような……

実際、1日5回は「最低限の数」です。先ほども言いましたが、回数を我慢しようとすると体調を崩す可能性があります

「我慢しなくちゃ」と思わなくていいように、多めに備蓄しておいた方が安心ということですね!

その通り! 自宅備蓄なら余裕を持たせて、1人につき50回入りを1箱、可能なら100回入りを1箱用意するのがおすすめです

水や食料の備蓄と同じように、非常用トイレもストックしておくべきですね

まさに「入口と出口」を同じ量にしておくことが大切です。「トイレの備え」はついつい見落としがちなので気をつけましょう

【疑問7】ゴミ袋やおむつで代用できる?

非常用トイレがない場合は、他のもので代用はできるんですか? 

家にあるゴミ袋を便器にかぶせて使うことはできます

よっしゃー!

ただ、凝固剤がないと中身はそのままになります。なので、穴が開かないように縛り、恐る恐る保管することに……

……本当に最終手段という感じですね

しかも袋が足りなくなれば、何回か同じ袋を使わざるを得ないといった状況にもなり得ます

想像するだけで嫌になってきた……

なので、ゴミ袋にダイレクト作戦はあまりおすすめではありません

では、おむつはどうでしょうか?

おむつは余分なパーツが多く、ゴミのかさが大きくなります。また普段おむつを使っていない人なら、やはり精神面への負担も無視できないですよね

確かに、大人になっておむつで用を足したことないから精神的に辛くなりそうです

なので、おむつをトイレ代わりとして使えるのは、乳幼児や高齢者など、普段からおむつを使用している方に限ると考えたほうがよいでしょう

他にあると便利なグッズはありますか?

断水していると手洗いができないので、アルコール除菌シートや手指消毒剤も一緒に備蓄しておきましょう。またお腹の調子を壊さない対策として、カセットコンロがあると、食べ物に火を通せるので食中毒のリスクを減らすことができますよ!

全部揃えます!

話を聞く前は、非常用トイレは「あると便利なもの」くらいに考えていました。でも、備蓄を始めるなら真っ先に用意したほうがいいくらい、メチャクチャ重要なものだったんですね

そういう人は多いと思うので、今回伝えられてよかったです

非常用トイレ、さっそく備蓄しようと思います!

よかった……!

パ~パパッパッパ~

 こうして高荷さんはラッパの音と共に、どこかへと去っていった。

【実際に体験】非常用トイレを使ってみよう!

 ということで、家に初めて非常用トイレをお迎えすることができました。

 もしものときに使えるか不安なので、予行練習として1度使ってみようと思います!

 初めて非常用トイレを開封しましたが、意外とシンプルなんですね。これなら誰でも使えそうです!

 やることは……「黒いビニール袋を広げて便器に被せ、凝固剤を入れるだけ」です。

 ただ、今回は予行練習だったので落ち着いてセットできたのかもしれません。限界が近い状況では冷静さを失っているので、焦って袋を破いてしまったり、取り付けが甘くて外れてしまったりする事故も起きそうです。寝起きでボーっとしていた、停電していて暗いなどの状況でも、ミスが起きそうな気がしました。

 自宅にいて大地震が起きたら、トイレに非常用トイレをセットする。用を足したら、その流れで次の非常用トイレをセットする。この流れを徹底しておくと安心ですね。

 セットした非常用トイレに、今回は練習なので水を入れてみました。すると……?

 水を入れた結果がこちら! カチーンと固まりました。

 正直、凝固剤で本当に固まるのか? と疑心暗鬼でしたが、しっかりと固まって感動しました。これなら捨てやすいし、袋が破けて漏れてしまうといった大惨事は免れそうです。凝固剤だけでも販売しているので、非常用トイレとは別に用意しておくとさらに安心できそう。

 屋外への避難時など、便器が使えない場合は、段ボールなどに取り付けて使うこともできます。組立式の段ボールトイレや、踏み台としても使える簡易トイレも販売されているので、自家用車などへの備蓄はそういったものと組み合わせてもよさそうです。

 ということで「非常用トイレ」は実際に使えるのか不安でしたが、やってみると意外と簡単でした。

 ただ、一度も使ったことがないけど災害時に初めて開封! となったら、焦って失敗していたかもしれません……。備蓄しておくことはもちろん、実際に使えるように準備しておくことも大切だと感じました!

大幸薬品の「ラッパのマークは備えのしるし」

 「正露丸」などの常備薬を通して、家庭に「備え」を提供してきた大幸薬品。2025年に創業80周年を迎えたことをきっかけに、「ラッパのマークは備えのしるし」というプロジェクトを立ち上げ、日常の備えの見直しを啓発する取り組みを進めています。

 大幸薬品が発信している情報を見て、これまであまり考えてこなかった「トイレの備え」について考えるきっかけをもらいました。

 水や食料と同じくらい、必ず確保しておきたい「トイレの備え」。皆さんもぜひこの機会に見直してみてくださいね!

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