堅実な基本設計と大馬力エンジンが可能にした重火力と優れた防弾性能で,太平洋の制空権奪回の立役者となった。
徹底した生存性の追求は損失比率19:1(敵機19機の損失に対し,ヘルキャットの損失が1機)という驚異的な数字に昇華し,多くの撃墜王を輩出する成果につながった。
全周視界型風防や層流翼など,以降の戦闘機の常識となる新規軸が盛り込まれたが,一方ではエンジン出力と重量の比が高く,直進させるにも慣熟が必要といわれた。
アメリカを象徴する,まさに荒馬。
映画『メンフィス・ベル』にはじまり,戦争名画の材にもしばしば取り上げられている。
B-17によるドイツ昼間精密爆撃戦略はあまりにも有名で,迎え撃つルフトヴァッフェ(大ドイツ空軍)と凄惨な死闘を繰り広げた。
耐久性のみならず,防御火器は50口径機関銃を全周に計12門装備しており,死角はほぼないとなってよい。
史実でも“ノルマンディー上陸作戦”前夜の夜間空挺降下や“マーケット・ガーデン作戦”に投入された。
本機の活躍は,昨年日本でも放映されたTVドラマ,『バンドオブブラザーズ』が緻密に描写している。