その半面,高高度や低速での運動性に難点があり,良くも悪くもドイツのBf-109の好敵手であった。
さらに本機の後継機に,迎撃戦闘機として高高度性能を強化されたLa-7がある。
そのせいか,シルエットはどことなくSpitfireを彷彿とさせる。
その性能は,上昇力を除いては東部戦域の独軍戦闘機のそれをあらゆる面で凌駕しており,とりわけ低空では手強い敵となった。
搭乗員の質・量双方の向上も手伝って,ソ連空軍はその優位を確実なものとしていった。
エンジン周りと操縦席は装甲殻で厳重に防護されており,「空飛ぶ戦車」とも呼ばれた。
耐久力もさることながら前線での整備性も高く,損傷機の実に90%近くが前線での修理に成功している。
戦闘機の直援なしに作戦を実施できることを目指したため,高高度速度と防御火力に重点が置かれ,爆弾搭載量も米英の重爆撃機に決して引けを取るものではなかった。
しかしながらエンジンの出力不足と信頼性の低さから大規模な量産に移行されることはなく,戦略爆撃機としての組織的な運用はほとんどなされないまま終戦を迎えた。