■OFPとは?
「オペレーション フラッシュポイント コールドウォー クライシス」は,昨年6月に発売(日本では7月末)された直後に世界規模で大ブレイクし,海外の主なゲーム誌の数々の賞を勝ち取った一人称シューティング(First Person Shooter)ゲームだ。製作会社がチェコ共和国のBohemia Interactive Studioという聞き慣れない会社である事も,色々な意味合いで話題となった。
分類上はアクションシューティング系に属するが,実は本作のキモは次々登場する敵を片っ端から打ち倒すシューティング的な爽快感からは程遠い。むしろその対極にあるといってよいだろう。
なにしろ弾数には制限があり,しかも敵味方ともに一撃で戦闘不能か即死という,限りなく“実戦的な”システムなのだ。このシステムは対テロ特殊部隊の活躍を題材にしたRAINBOW SIXというタイトルが初めて採ったものだが,当時のゲーマーやメディアからは賛否両論だった。しかし,カジュアルゲーマー層が敷居の高さを理不尽と捉える一方で,そのシビアさ故の緊迫感に麻薬的な魅力を感じたリアル志向のファン層からは熱狂的な支持を得た。
同ジャンルではGhost Recon,Delta Force,Counter-Strikeなどが有名だが,その多くは前出のRAINBOW SIXと同様の小規模戦闘がほとんどで,いわゆる“戦争”という大きな枠での現代戦を正面から扱ったものは本作が初めてだろう。このあたりの違いが,本作が「戦争シミュレーション」と呼ばれ,他のタイトルとは一線を画す所以といえる。
OFPの舞台設定は1980年代半ば,東西冷戦時代末期の緊迫した世界情勢が背景となっている。改革を推し進めるソビエト連邦中央政府に対し,戦術核兵器を切り札に反旗を翻したソ連軍部保守派と,その危機的状況を打開すべく軍事介入したNATO(北大西洋条約機構)の先鋒を努める米軍との激突を,戦争における最小単位,すなわち1人の兵士の視点で追ってゆく。
しかも本作の主人公は歩兵だけではない。ストーリーに沿った一連のミッションをクリアしてゆくキャンペーンでは,主力部隊を支援するため敵戦線の背後で暗躍する特殊部隊員,敵の機甲部隊の前進を阻止する航空隊パイロット,そして打撃力の中核を担う機甲(戦車)部隊指揮官も登場し,プレイヤーは時系列に沿ってそれぞれに与えられたミッションに挑戦するという欲張ったつくりになっている。
各キャラクターのミッションは相互に関連しており,各々がある時は縦糸,ある時は横糸となって壮烈な戦記を織り上げる。歴史の一大ドラマを目撃者達の視点から構築したシナリオの秀逸さも,このゲームの大きな魅力のひとつだ。
システム面では自由度の高さが最大の特徴だ。
プレイヤーは歩兵はもちろんのこと戦車・装甲車・自動車などの車輛に加え,ヘリコプター・哨戒艇・対地攻撃機までも操作できる。それらはマウスといくつかのキーで基本的な操作が可能で,コアなシミュレーションファンにとっては食い足りなさを禁じ得ないが,各兵器の挙動はなかなか"らしく"できており,手軽に雰囲気を楽しむには十分な内容となっている。
細かい事だが倒れた兵士や集積所から武器・弾薬を拾って再武装ができる事も,実はこのジャンルでは画期的な試みだった。そんな操作のとっつきやすさとミリタリー面のコダワリの深さ――なにしろAK47突撃銃でもバージョン(製造元)が違えば曳光弾(射手が弾道を把握しやすいように,燃焼しながら飛ぶ弾丸)の色も違うという凝りようなのだ――との絶妙なバランスも,幅広い層から支持された勝因のひとつなのだろう。
朝靄を蹴立てて街道を猛進する戦車部隊。それを迎え撃たんと,対戦車ロケットを手に繁みに潜む歩兵部隊。梢から突如出現して敵を蹴散らす攻撃ヘリ。弾幕をかいくぐって,敵地から負傷兵を回収する兵員輸送ヘリなどなど,これまで映画の中でしか存在しなかった名シーンの数々を,OFPではその主人公として体験できるのだ。
余談ながら本作のエンジンを基にしたシミュレーターを米海兵隊が訓練教材として採用しており,その事からも本作のもつポテンシャルの高さが覗える。
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