攻殻機動隊
STAND ALONE COMPLEX
Q:格闘もかなりキモチイイ。倒したときに一瞬止まるような動きが,敵を倒す爽快感を増しているように感じます。ここは最初から意図して制作されたんですか?
藤咲:バレットアクションのような動きはもともと企画書のなかであったんですが,実際にどうする,ということは全く決まっていなかったんです。でもある日,プログラマーが「スロー機能をつけました!」って勝手にやってました。邪魔だっていう声もあったんですが,最後の方にはこれで決まるとかっこいいじゃん,じゃ全部つけよう,みたいな感じでそのままに付けることになりました。
基本的に制作スタッフに伝えていたのは,「攻殻を実写で撮ったらこうなるんじゃ?」「ハリウッド版・ジョンウー監督・香港撮影」みたいなものを作りましょうということ。基本的には細かいこと抜きでゲームとして面白ければ,それでいて攻殻らしさが出ていればいいんじゃないかと思っていたので,あまり口出しはしていませんでしたよ。
Q:攻殻SACステージは臨場感もあるし,縦の空間を感じさせる,見上げる感覚のステージが多いですよね。
藤咲:開発当初に開発元のキャビアのスタッフと話していたら,「ただのFPSとかだと平面を軸にした水平線の戦いだけど,もう少し高さのある,空間を意識させる構成つくりにすれば『アニメの中にいる』気分を味あわせることができるんじゃないか?」という話になり,この形になりました。 ほとんどゼロからの設計だったんで,埠頭のシーンのために大井埠頭とか青海埠頭とか取材させてもらったり,散歩と称して4時間かけてコンテナ見に行ったり(笑),ダムを直接見に行ったりととにかく綿密な取材を重ねて制作しましたよ。
Q:一方のシナリオですが,これはもう純粋に攻殻SACの1エピソード,ですよね。人があって,行動があって,そして事件が起きる……という。
藤咲:そうですね。脚本チームも同じだし,“攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX”の名前を使っている以上,その流れで作っていくのが一番いいと思ったんです。ただし,僕の考えは「2時間スペシャル番組の攻殻SAC」であり,単純なテレビ版のゲーム化ではありません。
攻殻SACのテーマである“複合体の中の個”。物事は何事も人間の気持ちが初動になって動いていることが多いし,だれもが大きな流れの中の一個体である。その一個体が起こしたことが最終的にどう転がるか? というのを表現したつもりです。
Q:ちなみに,プロダクションI.G.社内や原作者の評判はいかがでした?
藤咲:最初は「本当にできるの?」と言われ続けましたが(笑),やってみる面白い,止まらないという評価を頂くことができました。とにかく今はホッとしてますよ。
作るんだったら士郎さんに対して恥ずかしくないものを出そうという意気込みで作りましたし,そうなったと思います。僕が思っている攻殻SACの一つの形だと信じています。
Q:難しい!という声もありますが?
藤咲:ハードルをあえて高くしたのは,素子もバトーも楽な世界に身を置いている人じゃないから,という意識を見せたかったからです。もちろん引いちゃう人もいるかと思うんですが,普通はロックオンなんかしてくれません。その中からぜひ何か感じて欲しい,という気持ちがありました。でも皆さん「やってみると面白い」と言ってくれます。だから詰まっている人はとにかく練習して頑張ってください(笑)。
Q:アニメでは「2nd」が放映されていますが,ゲームで続編はどうですか?
藤咲:正直やりたいですね。せっかくここまで作ったし,まだここから出来ることも多いと思うので(笑)。
Q:最後にプレイヤーにメッセージをお願いします。
藤咲:まずは,単純にゲームとして楽しんで欲しい。次に攻殻として感じて欲しい。男と女,“人間の情”を描いた「2時間スペシャルの攻殻SAC」の話をじっくりと味わって欲しいです。
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