ついに発売された「街道バトル2」。その美しい映像と天候などの要素,さらに車の挙動の改善など,好評だった前作を大幅に上回るクオリティに仕上がっている。
納得のいく出来と胸をはる,同タイトルのディレクターである元気・板橋伸和氏と,プロデューサーを担当した元気・清水謙二氏に,「2」の魅力を聴いた――。
SBG:「街道バトル2」のメインコンセプトはどんなところなのでしょうか?
板橋:前作「街道バトル」の正常進化版だと考えてください。車の挙動の改善や実際のコースの作りこみなどに加え,前回できなかったことを盛り込みました。
特に,色んなプレイが楽しめ,チューニングや扱える車のクオリティアップといった“RPG的要素”も,意識して導入しました。
板橋:技術的には,グラフィック全体のクオリティアップがコンセプトでした。特に車の挙動や天候などの表現,さらにはコースのボリュームにいたるまで向上できたと思っています。
SBG:コースのお話が出ましたが,今回,阿蘇や赤城などが追加されて,さらにプレイしがいがあるタイトルになっていますね。コースの選定はどのように行われたのでしょうか?
板橋:前作ではコースが局地的で,日本全国のゲーマーが知っている峠ばかりではなかったんですよ。そこで全国から有名な峠を選択していきました。
清水:阿蘇のコースは,九州まで実際にわれわれが出かけて,地元の人に色々情報を聴き,「ここの部分を使おう」と決めていきました。
走っていて楽しいだけでなく,やはり風景なども独特なものがゲームには必要だと考えました。全コース,標識の位置に至るまで実際のコースとほとんど同じです。
板橋:そうそう,蔵王のコースは実際に冬の間はスキー場になっていて走れないのですが,「街道2」で架空の雪の蔵王を走って欲しいですね。
また,「街道」シリーズでは,珍しい長い直線も蔵王で楽しめますよ。
ほかにも箱根のコースは,前作よりも道の傾斜などをさらに実際のものに近づけています。最初のコースで遅い車しか使えませんが,そこはテクニックで切り抜けてクリアしてください。
確実にウデがアップするはずです。
清水:僕のおすすめコースは赤城かな? ドリフトを駆使して,ヘアピンを上手くクリアできたときの快感は最高ですね。
SBG:やはりそういうときは車の挙動は重要なポイントとなりますね。
清水:はい。今回,車体・サスペンション・タイヤ・地面とつながる車の動作やグラフィックを見直しました。
特に,荷重の移動に関しては,実際の動きにかなり近づけたと思いますよ。もちろん,車種によって,動きのデータは違います。
板橋:FFや4WDの車は早く(挙動データが)できたけど,FRはマスターアップギリギリまで調整してましたね。
清水:やはりどうしてもドリフトマシンというイメージがあるのですが,通常のグリップ走行のほうが早いときもある。
ましてや,「街道」は実在のコースを追及したゲームですから,グリップ走行でのバランスにも時間がかかったのです。
Genki Racing Project(GRP)のアドバイザーでもあるレーサー,谷口選手の意見なども参考にしましたね。
SBG:MRはどうだったのでしょう?
清水:MRは難しいですね。データだけみるとスピンしやすかったり。社内にNSXに乗っている者がいるんですが,「こんなに良く曲がらないよ!!」とか突っ込まれて大変でした(苦笑)。
SBG:さて,もう1つの魅力である「天候」の概念ですが……。
板橋:僕が,個人的に雪の上を走るのが好きなことで吹雪を導入しました(笑)。
というより,このゲームではたくさんの車を操ることができます。その中では4WDの車もたくさんある。 FRでドリフトを極めている人でも,1つの車種にこだわらず,4WDで楽しく雪上走行をしてほしいということもありました。
また,初めに言ったように,このゲームは進めていくと車をチューンアップできます。雪のコースで,スタッドレスタイヤの効果なども体験できますよ。もちろん,急ハンドルや音,挙動までこだわっています。
清水:雪のほかにも,嵐など,峠で起こり得る自然現象をすべて体験できるようになっています。
霧も単に画面が白くなるのではなく,霧の中から飛び出して目の前に真っ青な空が広がる美しさなどを再現できるようにしてあるんですよ。
ですので、ゲーム中では"曇り"として扱われていますが,つくり手としては"霧"という概念なんですね。
SBG:後追いスタート逃げ切りや先行逃げ切りという,初めて導入された勝負方法については?
清水:人気コミックなどでも,この勝負方法が分かりやすく,知られていると判断しました。ユーザーからのリクエストも多かったですね。
板橋:リクエストといえばサウンドも自由にサウンドを選択できるのも,今作の特徴です。
ユーザーによって,緊張のレースシーンをどんな音でプレイしたいかは,まちまちでしょうから,これは実現できて良かったと思いますね。
SBG:音やグラフィックにもこだわっていますよね。
板橋:夏の夕方にはヒグラシが,夜にはスズムシの声が聴こえますし,プレイヤーとは無関係の走り屋たちが遠くで競っている音もかすかに聴こえたりします。
また,雨や雪での走行音は,実際に僕らが雨の日の車に乗って収録したものです。わざわざこのために高級マイクを購入して(笑)まで,リアリティを追求したのです。
清水:前回できなかった“マジョーラカラー”が採用できたのが嬉しいですね。前回もほかのものが挑戦したのですが,光が変わっていく表現が納得できなかった。
今回は僕がプログラムを組んだんですよ。是非,このカラーで走行してみて欲しいですね。
また,峠の高低さがあってうねったコースでは遮蔽物も少ない所が多く,下のほうまで見渡せます。こうした作り込みも見て欲しいですね。
SBG:ありがとうございました。オススメしていたポイントをチェックしつつ,早速,プレイさせていただきます。
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・販売元:元気
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