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3画面マルチ環境の「GT4」で感じる次世代ゲームの方向性ゲームレビュー(5/5 ページ)

ゲームの質だけでなく、PS2の能力を活かした機能が詰め込まれた最新ドライブシミュレータ「グランツーリスモ4(以下GT4)」。今回は、その機能の中でも最も環境構築が難しいマルチモニタプレイを検証してみた。

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リッチな画面情報が生み出す強烈なゲーム体験


リプレイ画面のダイブモードも驚異の臨場感。写真では細長すぎてその迫力が伝わりにくいが、リアルで見ると通常のワイドテレビ3台ぶんに映し出されているため「今まで見たことがないインタラクティブな映像」として見たものを釘付けにさせる。映画で最も横長サイズであるシネラマもかなわないほどの迫力だ

 さすがにこのマルチモニタ環境下のGT4という強烈に贅沢な環境を実現できる人はまだそう多くないと思う。が、それでも今回の体験で期待できることがある。それは、次世代のテレビゲームはファミコンが登場して20年以来の大きな「ゲームプレイ体験の質的変換」が近い将来起きる可能性があるということだ。

 その理由は、テレビ業界のフォーマットがここ10年で一気に新しく塗り替えられるからである。日本国内では1953年から開始された従来テレビの解像度はインターレース表示で640×480ピクセル表示(もちろん実解像度はさらに低い)が限界だったが、今後切り替わるHDTVの場合はインターレース表示の1920×1080ピクセル(1080i)。その情報量は6倍以上にも跳ね上がる。

 これはただ画面が綺麗になるというレベルの話ではなく、今回のマルチワイド画面の解像度640×3=1920ピクセルの表現が生む左右方向への広がりをもフォローできてしまうことを意味する。

 ちなみに、すでにMicrosoftのビル・ゲイツ会長は、Xbox後継機で「HD(高品位画質)の出力機能を備え、すべてのソフトをHD対応にする」とアナウンスしている。このことからも、次世代ゲーム機は(そしてその対応ソフトも)まず間違いなく全機種HD対応化されるはずだ。

 もちろんXbox2、PS3(という名前になるであろう)をはじめとした新型ゲーム機の世代は、現行テレビとHDが共存するためゲーム環境が一変するわけでははない。

 しかし、いずれ固定ピクセル化が進みプログレッシブ表示の1920×1080ピクセル(1080p)が主流になるであろう将来のフルHDTVに対応する次々世代ゲーム機は、間違いなく今回の「マルチワイド環境のGT4」と同じクオリティのゲームがデフォルトで遊べる時代になる。テレビゲームのHD化はただ画面が「よりリアルに美しくなる」という単純な意味ではなく、明らかに従来と異なるゲーム体験を約束してくれるはずだ。

 最後に、今回のようなモードを実験的に用意していることからもわかるようにGTの開発スタッフ達は間違いなく「未来のゲーム像」を見据えて数々のトライアルを行なっている。今まで国内外から多くの「ポストGT」を狙う作品がリリースされているが、そうしたライバル勢を真っ向に受けながらヒト・モノ・カネを一点に注ぎ込んでいるからこそ、全世界で戦える一線級の日本産ソフトが誕生しているのだ……ということを知りながら遊ぶとGTシリーズの凄さが改めて実感できるはずだ。


 とまあ将来的なゲーム像を最後に語ってみたが、実際にこれらを手軽に体験するにはまだまだ時間はかかるだろう。しかし、アーケードゲームの世界ではすでに「F355 Challenge」をはじめ3画面モニタを使ったドライビングゲーム作品がいくつかあるものの、これだけの環境をいま40万円で手に入れることができてしまうというのはある意味”破格”である。

 GT4にはさまざまなクルマの遊び方が詰め込まれているが、もし「ニュルブルクリンクや鈴鹿サーキットを走り込むための特訓用シミュレータ」として楽しめる人ならば、今あえてこのマルチモニタ環境をそろえてみるのも悪くない。


F1GPの舞台として知られるモナコ公国コート・ダジュールのリプレイ画面(上は全景、下はそのアップ)。スタンドを埋め尽くす観客がいるホームストレートから急勾配が続くコースのアップダウンが判別できるだけでなく、モナコの美しい景観が3画面ワイドでしか味わえないことがよくわかるだろう。ホームシアター環境における大画面ワイドとはまったく違った”異次元のプレイ感覚”が得られるこの究極の環境。「TVゲームの進化」を考えるうえで機会があればぜひ体験してほしいもののひとつだ
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