シリーズものだからこそ、既存ユーザーは気になるもの:「イース -ナピシュテムの匣-」レビュー第2回(2/2 ページ)
イースは日本のRPGゲームの中で燦然と輝く金字塔を打ち立て続けている人気シリーズ。もちろん、従来のファンも非常に多い。完全にブランドとして成立しているイースだが、愛好家にとってはPS2版はどのように映るのだろうか。
過去のイースも忘れない
「イース」はシリーズものなので、最新版はまだプレイしていなくても、過去のイースを愛しているため、思い入れが強い人も多いだろう。こういったユーザーが懸念することは一つだけだ。それはアクション部分。過去の作品では、「イース3」を除いて、体当たりがメインの攻撃手段だった(イース3は横スクロールアクション)。
――イキナリ“立体表現”で自由にジャンプして敵に攻撃を与えることができるのだろうか?――。
こう考える人も少なからずいることは間違いない。スーパーファミコンなどに移植されている「イース5」でもジャンプはあったものの、今までの体当たりの延長でしかなかった。
しかし、これに関しては心配無用。「イース -ナピシュテムの匣-」では、むしろ今までのイースよりもアクション部分はシンプルになったとすら言える。
2D表示での体当たりアクションでは、どうしてもポジションをいかに作るかが大事になるのだが、3Dになればジャンプという回避手段が出てくるのでピンチになりにくい。
実際に全てのシリーズを遊んでいる人間には分かるのだが、感覚的には「3」に極めて近い。アクションが難しいという懸念は当たらない。むしろ、過去のイースの楽しさを知っている人間にこそお勧めしたい。
操作体系は全く異なるにもかかわらず、イースを遊んでいる気分になることができる。それほど考え抜かれ、バランス調整を行っている。もちろん、宝箱をあけたときの例の曲も同じなので、安心してアドルとして冒険して欲しい。
逃げることなく、緊急回避にも使えるアクションがジャンプ。タイミングもそれほどシビアではないので、使いこなして華麗に闘おう。もちろん画面のようにジャンプすることなく逃げてしまってもいい。この自由度の高さがアクションゲームの醍醐味だ
過去に様々なプラットフォームで登場している人気シリーズだけに、開発や移植の際にはかなりのプレッシャーがあっただろう。過去の作品を超えなければならない、それでいてイメージを崩してもいけない。こういった悩みやジレンマに立ち向かい、克服していることはプレイすればすぐに分かる。本作品は紛う事なきイースそのものでありながらも、新しいステージに足を踏み入れている。
今までイースを知らなかった人はアクションRPGの王道を知るために購入するだろう。そして、過去に体験している人間にとってもすばらしい選択肢になっているはずだ。
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