ミストウォーカー坂口氏、ブルードラゴンおよびロストオデッセイの開発経緯などを語る:E3カンファレンスセッションレポート
E3のカンファレンスセッションに、ミストウォーカーの坂口博信氏と、マイクロソフトの丸山嘉浩氏が招かれ、坂口氏が開発中のXbox 360向けタイトルである「ブルードラゴン」と「ロストオデッセイ」に関するトークイベントが開催された。
E3では、プラットフォームホルダーやパブリッシャーの巨大なブース、最新ゲームハード、ゲームソフトの展示といった、トレードショーの部分が大きくクローズアップされることがほとんどだ。しかし、ゲーム開発者などを対象としたカンファレンスセッションも設けられており、華やかな舞台の裏では、真剣な議論が行われていたりもする。
そのE3のカンファレンスセッションに、ミストウォーカーの坂口博信氏と、マイクロソフトの丸山嘉浩氏が招かれ、坂口氏が開発中のXbox 360向けタイトルである「ブルードラゴン」と「ロストオデッセイ」に関するトークイベントが開催された。
セッションは、インタビュアーが坂口氏および丸山氏に質問する形で進められた。内容としては、ブルードラゴンやロストオデッセイの開発経緯、スクウェアから独立してミストウォーカーを立ち上げた経緯などといったものが中心で、先日日本で行われた「次世代Xboxプレビュー」の際に坂口氏が語ったこととほぼ同じような話題が中心だった。
例えば、ブルードラゴン開発初期では、キャラクターデザインの鳥山明氏と坂口氏の間で、ゲームデザインなどに関する考え方の食い違いが見られたが、鳥山氏から2つのアイディアをもらったことでゲーム自体が大きく変化し、非常に魅力のあるものに変貌したといったことや、鳥山氏から上がってくるデザイン画を見るたびに非常に大きな力をもらって、いいモチベーションで作業が進められているといったことが語られた。
また、ロストオデッセイに関しても、1000年も生きて悟りきった主人公が、日常のちょっとしたことに涙する、そういったこれまでのRPGにはない感動を与えるゲームに仕上げたいと語った。
映画制作の経験が非常に役に立っている
ブルードラゴンとロストオデッセイでは、Xbox 360の持つ非常に強力な描画機能をフルに活かした映像を実現するべく開発を進めているそうだ。とはいえ、ファイナルファンタジーシリーズのように、ムービーを多用するのではなく、なるべくリアルタイム描画を活用したいと考えているとのこと。
しかし、リアルタイム描画であるとはいっても、顔の表情を表現したり、キャラクターの仕草を再現する場合など、ある程度の”演出”的な操作も必要になってくる。そういった部分の作業を行う際に、過去の映画制作の経験が非常に役に立っていると、坂口氏は指摘した。
実際に、ロストオデッセイの開発現場には、映画ファイナルファンタジーの制作スタッフも加わっているそうで、特に表情やカメラワークなどは映画制作の経験のあるスタッフの力が欠かせないそうである。
ちなみに、坂口氏は全世界から非常に優秀な人材を、自らが直接会いに行ってスタッフに迎え入れるということもやっているそうだ。例えば、スクウェア時代には、マサチューセッツ工科大学で映像関連の研究を行っていた人物を、坂口氏自ら研究室まで会いに行って、スクウェアに引き抜いたといったエピソードも語られた。その人物は、ロストオデッセイの開発にも携わっているそうだ。
このときに、インタビュアーから、「映画の制作を行っていたときと、今マイクロソフトでゲームを制作しているときと、どちらがプレッシャーが大きいですか?」という質問をされたが、坂口氏は「マイクロソフトです」と即答していた。
もちろん、横にマイクロソフトの丸山氏がいたので、半分冗談といった雰囲気ではあったが、それでも「アメリカやヨーロッパなどの海外のゲームは、ここ数年で技術面だけでなく作り込みという部分でも非常に丁寧さが増して、すばらしいソフトが増えています。しかし、ブルードラゴンとロストオデッセイは、それら以上に丁寧に作るつもりです」とも発言し、その2作の制作には非常に力が入っていることをアピールしていた。
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