「10億台売るのではなく10億人のユーザー獲得が目標」――ピーター・ムーア氏インタビュー(1/3 ページ)
Microsoft副社長で、マーケティングを担当しているピーター・ムーア氏にインタビューする機会を得た。そこで、Xbox 360発売に向けたマーケティング戦略や、競合ハードウェアに対する意識などについて話をうかがった。
ITmedia 10億人のユーザー獲得が目標とおっしゃっていましたが、どういった戦略で臨まれるつもりなのですか?
ムーア 確かに、10億人ユーザーを獲得したいと思っています。しかしそれは、ビデオゲーム業界全体の話をしているのです。
ビデオゲーム業界は、非常に狭い業界です。そのため、10億人のユーザー獲得は難しいように思われるかもしれませんが、我々はそれは可能だと考えています。地球上の人間のうち7人に1人という計算ですから。その人達に、ゲームはもちろん、デジタルエンターテインメントのすばらしい体験をしてもらいたいのです。
Windowsでは、すでに20億〜30億のユーザーを獲得しています。そう考えると、ビデオゲーム業界で10億人のユーザー獲得するということは不可能ではないはずです。私たちは、Xbox 360を10億台売ろうと考えているわけではありません。10億人のユーザーを獲得したいのです。
ITmedia 現時点までのXbox 360のマーケティング戦略を見ると、MTVを利用するなどといった部分からも、コアユーザーをターゲットとしているように思えます。ただ、10億人のユーザーを獲得するには、子供や女性、高年齢の方にも訴求する必要があるはずです。そういった部分の戦略はどのように考えていますか?
ムーア 日本ではMTVは厳しいようですが、北米などではMTVは非常に幅の広い層に見られているチャンネルです。実際に、常に2000万〜3000万の人々に見られています。ですから、ご指摘とは逆に、アピールする年齢層を広げるためにMTVを使ったのです。
ソニーのように、ロサンゼルスにプレス関係者だけを集めてこっそり発表する(筆者注:これは、ソニーのプレスカンファレンスを指しているのだろう)のではなく、私たちは消費者に対していちばんに見てもらいたかったのです。しかもMTVは146ヶ国で放送されていますので、我々の考えに合致していたわけです。
ITmedia Xbox 360は、2005年クリスマスシーズンに、北米、日本、ヨーロッパでほぼ同時に発売が予定されていますが、そのためにはある程度まとまった数のXbox 360を用意する必要があると思います。ただ、CPUやグラフィックチップなど必要となるパーツのほとんどが外部調達ですので、まとまった数を用意するのは難しいように思いますが?
ムーア 私たちは、IBMおよびATIと、過去2年間にわたっていい関係を築いています。今回、北米、日本、ヨーロッパで同時期に発売すると発表しましたが、私たちはできないことは言いません。IBMとATIとは、最大限の協力関係にありますから、数を用意するのは問題ないと考えています。
それについてはソニーも同じ立場だと思います。彼らも、IBMや東芝のファブを使いますし(筆者注:ソニーはプレイステーション 3用パーツのほとんどを自社ファブで製造できるので、この指摘は勘違いだろう)。ですから、外部調達でも大きな問題はないはずです。少なくとも、北米、日本、ヨーロッパで同時に発売するだけの数を十分に用意できると考えています。
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