「絶対に“すばらしい体験”のできるタイトルが登場します」――J・アラード氏インタビュー(1/3 ページ)
「Xbox Live」やXNAを担当するだけでなく、技術的な部分にまで造詣の深いJ・アラード氏。アラード氏のインタビューはいつも非常に楽しいのだが、ここE3 2005の会場でも興味深い話を聞くことができた。
ITmedia ソニーのプレイステーション 3のスペックが発表され、任天堂のRevolutionの概要も一部発表されました。それらについてどのような感想をお持ちでしょうか?
J・アラード 私は、TVゲーム業界にとって、非常にエキサイティングなタイミングに入ったと考えています。我々は、TVゲームを楽しむユーザー数を増やしたいと考えています。
そのため、同様のハードウェアが登場してくることは非常によいことであると思います。ただ、ソニーが発表したシステムの内容に関しては、やや大げさな部分もあって、誤解を生む部分があるのではないかと感じています。
ITmedia 誤解を生むというのは、どういった点でしょうか?
J・アラード ゲームシステムにおいて、ハードウェアが占める割合はそれほど大きくないと思っています。プレイステーション 3は、ハードウェアは非常に高度で洗練されたものだと思います。
しかし、そのハードウェアを活かすのはソフトウェアであり、オンラインサービスなども含めたサービスです。つまり、ハードウェア、ソフトウェア、サービスの3つが揃ってこそ、システム全体が力を発揮するのです。そして、Xbox 360では、ハードウェア、ソフトウェア、サービスともにソニーを打倒できると考えています。
ITmedia 任天堂がRevolutionで行おうと思っているネットワークサービスは、「Xbox Live」のサービスと比べてどこが違うと思われますか?
J・アラード 任天堂が行おうとしているネットワークサービスがどういったものなのか、詳細な情報はありませんので、どこが違うかはわかりません。
しかし、オンラインがこれからのゲームにとって大切になるということは私たちと同じビジョンですので、そのビジョンを共有してくれるというのはエキサイティングなことだと思いますし、それを携帯ゲーム機にまで広げようとしているという部分もすばらしいことだと思います。
ITmedia ただ、方向性の違いはあると思うのですが?
J・アラード それは経験だと思います。私たちは、ネットワークサービスに関しての経験があります。そのため、オンラインコミュニティをどうやって構築していくか、ということに関してのノウハウがあります。
任天堂は、まずマルチプレーヤーの段階からはじめて、オンラインコミュニティという部分までは踏み込まないのではないかと思います。それに対して我々は、グローバルなオンラインコミュニティを形成する仕組みもありますし、ボイスチャットやビデオチャットも可能ですし、マーケットプレイスのようなものもあります。そのあたりが違いではないでしょうか。
ITmedia これまでXbox Liveは、クローズドのネットワークサービスとして提供されてきましたが、スクウェア・エニックスの参入によって、Xbox Liveだけでなく、スクウェア・エニックスのネットワークサービスである「PlayOnline」という別のサービスにも接続されることになります。このように、他のネットワークサービスとのジョイントといったことは、今後も新たに追加されていくのでしょうか?
J・アラード Xbox Liveというのは、我々がプラットフォームを用意することで、全てのパブリッシャーにネットワークサービスを簡単に使ってもらおうというコンセプトで始まりました。
しかし、Electronic Artsやスクウェア・エニックスは、深いネットワークの経験がありますし、自分たちでネットワークインフラも構築していますし、セキュリティの意識も十分に高いものを持っています。そのため、そういったパブリッシャーとは、パートナーシップという形でやっていきたいと思います。
我々のインフラを利用した方がベストという場合には我々のものを、パブリッシャー独自のインフラを利用した方がベストという場合にはそちらを利用する、という形になるわけです。
また、他社のインフラを利用したネットワークサービスを利用する場合でも、Xbox Liveの無料会員である「Xbox Live Silver」レベルであれば、MicrosoftにXbox Liveの利用料を払わずに、パブリッシャー側の課金のみを払えば利用できるようになります。この方式はMMORPGなどで有利な方式になると思います。
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