既存のRPGへ投げかけた一石はどうなった?――「イリスのアトリエ エターナルマナ2」(1/4 ページ)
8年の歴史を持つアトリエシリーズの最新作、「イリスのアトリエ エターナルマナ2」がいよいよ発売になる。前作より、従来路線から大幅にシフトしたシステムを採用しているが、その中身はどうなっているのだろうか?
日本のRPGに一石を投じた“アトリエシリーズ”とは?
日本にRPGというジャンルが確立したのは遅く、今から20年ちょっと前の1983年頃。それまではアドベンチャーゲームが大流行していたが、国産初のRPG「ザ・ブラックオニキス」の発売と共に、大ブームが発生する。キャラを作成し、パーティを組んでダンジョンへ潜り、経験値を稼いで目的を果たす。プレイヤーは自らの姿を重ね、想像し、熱くなりながらプレイしたものだ。
そしてこの頃から、最終目的というのはいつも仰々しいものだった。ほとんどのタイトルが、何らかの世界を支配している悪の親玉を倒すのが目的で、現在発売されているRPGを見れば、これに当てはまるものばかりなのが分かるだろう。
そんな時代に一石を投じたのが、1997年に発売されたアトリエシリーズ1作目「マリーのアトリエ」だ。
“世界を救うのは もう飽きた”との衝撃的なキャッチコピーをひっさげ、錬金術をメインに据えた新感覚RPGとして登場。アイテムを選んで調合しながらイベントをこなし、4年でアカデミーを卒業するという物語に、数多くのプレイヤーが夢中になった。
それもそのはずで、従来のRPGにはなかった“アイテムとアイテムを選んで調合コマンドを実行すると、新しいアイテムが誕生する”ということが、プレイヤーを引きつけて放さなかったのだ。もちろん、これまでのRPGにも似たようなことができる作品はあったが、それらはあくまでもおまけレベル。「マリーのアトリエ」は、これをゲーム本編で耐えうるレベルにまで昇華させ、さらに巧みなストーリーをつけたのだ。
調合といっても難しいことはまったくなく、森や湖などで拾ってきたアイテムを2つや3つ選んで、調合コマンドを選ぶだけ。すると新しいアイテムが生まれるのだが、今度はそのアイテムと違う材料を調合すると、さらに新たなアイテムが誕生する……。この繰り返しがやみつきになり、大勢のプレイヤーを中毒にしていったのだ。
大ヒットしたアトリエシリーズはその後、移動できる範囲を広くした「エリーのアトリエ」、錬金術を教えるアカデミーが出来るまでを描いた「リリーのアトリエ」、未来に飛ばされてしまった少女が、錬金術を駆使して元の時代に帰る「ユーディーのアトリエ」、自分の住む村を、錬金術で有名にする「ヴィオラートのアトリエ」と、5作目まで同じ路線で続くことになる。
どれも基本システムは同じだが、調合できるアイテムが増えたり、各アイテムごとに品質や属性が設定されるなど、シリーズを追うごとに玄人向けへと進化していった。
やり込むのを得意とするプレイヤーには朗報だったものの、残念ながら初期のアトリエシリーズが好きだった人たちには難しくなってしまい、離れていく人も見られた。そこで従来の路線を大幅に変更し、調合システムを残しつつもRPG要素をより濃くしたのが「イリスのアトリエ エターナルマナ」だ。アトリエシリーズ初の男主人公クレインと、旅の途中で知り合った仲間リイタを中心に、天空都市レガルザインを目指す物語が語られるのだが、随所に新しい試みが取り入れられている。
そして、この路線を継承しつつ、さらに新要素を取り入れ遊びやすくなったのが、今回のタイトル「イリスのアトリエ エターナルマナ2」となる。
エターナルマナになり、生まれ変わったアトリエシリーズ
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