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時代と戦え!「ジョイメカファイト」ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ!」(2/2 ページ)

ゲイムマンです。レトロゲーム記事に多くのおたよりやリクエストをいただき、ありがとうございます。今回取り上げるゲームは、ペンネーム・グミグミさんのリクエストで、ファミコンの対戦格闘ゲーム「ジョイメカファイト」(任天堂)です。

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8ビットの限界に挑戦! 素早い動きと必殺技の応酬

 戦うキャラクターは全員ロボット。

 イーモン博士とワルナッチ博士が共同でロボットを製作していたのだが、ある日ワルナッチ博士がロボットを従えて世界征服を宣言。イーモン博士の元に残ったのは、関西へ修業に出ていたお笑いロボットのスカポンのみ。

 スカポンは仲間だったロボットと戦って彼らを連れ戻し、合計8体で、ワルナッチ博士のもとにいる、28体のロボットに挑むのだ。

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ワルナッチ博士の名前が“ワルモン博士”でないのは、「ツインビー」シリーズのワルモン博士とかぶるのを避けたのかもしれない。ちなみに「ジョイメカファイト」の発売当時、まさに「ウインビーアイドル化計画」が進行中だった

 それぞれのロボットには、4種類の必殺技がある(このゲームでは投げ技も必殺技に含めている)。

 ファミコンのボタンは、スタートとセレクトを除くと、方向キーとA、Bしかない。「ストリートファイターII」が方向キー+6ボタン、「餓狼伝説」が方向キー+4ボタンなのに比べて、圧倒的に少ないのだ。

 でも「ジョイメカファイト」では、少ないボタンを組み合わせて、ちゃんと必殺技のコマンドを成立させている。飛び道具のスピードも、方向キーで3段階にコントロールできる。

 ちなみに「ジョイメカファイト」では、ほかの格闘ゲームと違って、飛び道具同士が相殺しあわない。両者が飛び道具を撃ったら、すれ違ってそれぞれ相手に飛んでいく。

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必殺技のレクチャーをしてくれるモード。もし取扱説明書がなくなっても安心だ

 必殺技には派手なものが多い。飛び道具、対空技、連打系の打撃技、突進技といったところはひととおり網羅。一定時間無敵になる技や、透明になる技を使うロボットまでいる。

 手足が伸びる技が多いのは、腕や脚が描かれていないこのゲームならでは。ヒューマノイド(人間型)タイプでないロボットも何体か存在し、トリッキーな技を駆使する。

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ヒューマノイドでないロボットの例。こんなロボットたちも、ハードモードをクリアーすれば対戦で使える

 「ジョイメカファイト」を実際にプレーすると、動きもスムーズだし、対戦格闘ゲームとして、普通におもしろい。

 これがファミコンであることを忘れてしまうくらいだ。

 当時既に“過去のマシン”であり、性能的に見劣りしていたファミコンが、ピークに達したスーパーファミコンや、その先に控えている若いゲーム機たちに、技術力を駆使して真っ向勝負。

 非力なマシンで、何とか他機種の格闘ゲームと勝負しようという、がむしゃらな気概を見せつけた。「ジョイメカファイト」はそんなゲームだったように思う。

 今、若いファイターたちに交じって戦っているベテランのプロレスラーや格闘家……天龍源一郎選手とか、角田信朗選手あたりをほうふつとさせる。

 一時代を作った古参のファイターは、いずれ表舞台から姿を消すことにはなるだろうが、いつしか伝説となって長く語り伝えられる。

 ファミコンもまた然りである。

お笑いロボット・スカポン

 36体も登場するロボットたちの中で、私がいちばん好きなのは、このゲームの主人公、「スカポン」である。

 もともとお笑いロボットだったという設定のため、見た目もトボケているし、必殺技もユーモラスだ。

 格闘家やプロレスラーに例えると、ボビー・オロゴン、泉田純、菊タロー(初代えべっさん)といった選手に近いか。もっとも、泉田選手や菊タロー選手はタレントではないし、ボビー選手は格闘技でおもしろい技は使わないが。

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スカポンの技は、頭を飛ばす「コンナンイラヘン」、転がって敵に体当たりする「ローリングスカ」など。

 そのスカポンが、やむを得ない事情によって格闘ロボットに改造され、戦いの場に身を投じるはめになる。負けたらワルナッチ博士に世界を征服されてしまうという、重いシチュエーションでの戦いだ。

 実は私自身も、今書いている単行本がきわめてマジメな内容で、私のキャラと全然違うので悩んでいる。そのためかなり難航し、今年の春に完成する予定だったのが、いまだに完成していない。

 だから、今回「ジョイメカファイト」をプレーしてみて、スカポンの境遇には共感してしまった。さぞかし複雑な気持ちで戦っていたことだろう。

 それでもスカポンは、気負いとか悲壮感とかそういったものを、その表情からは微塵も感じさせない。こういう彼の姿勢は私にとって、たいへん参考になる。見習いたい。

 エンディングで、再びお笑いの世界に戻ったスカポンを見て、つくづく「良かったね」と思うのであった。

(C)1993 Nintendo

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