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裏技+ファンタジー「ドルアーガの塔」ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ!」(2/2 ページ)

今回取り上げるゲームは「ドルアーガの塔」(ナムコ)です。このゲームは、ファンタジー世界を舞台とし、エンディングが存在するというシナリオ、そして隠しアイテムを出さなければクリアできないというシステムを持つ、画期的なゲームでした。

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ファンタジーの世界をファミコンユーザーに披露

 王国の騎士・ギルの前に立ちはだかるのは、スライムやゴースト、ドラゴンなど、RPGでおなじみの怪物たち。

 ドルアーガの塔は、ファンタジー的な世界観が、日本で定着しつつあるさなかに、ファミコンに移植された。

 ファミコン版ドルアーガの塔が発売される半年前、映画「ネバーエンディング・ストーリー」が日本で公開され、大ヒットしていた。

 またTVゲームでは、「ウルティマ」、「ウィザードリィ」が作られてから4年。

 TVゲーム以外のゲームでは、テーブルトークRPGの元祖「ダンジョンズ&ドラゴンズ」(D&D)が、日本に入ってきた頃だった。

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主人公の「ギルガメス」という名前は、メソポタミア神話に由来するのだが、火を吐くドラゴンや魔法使いが出てきたり、アイテムに魔力を持った指輪や宝石があったりと、数々のフィーチャーはまさに“剣と魔法の世界”

 一般的なファンタジーRPGの世界観は、J・R・R・トールキンの小説「指輪物語」(映画「ロード・オブ・ザ・リング」の原作)の影響を強く受けている。

 「指輪物語」のような冒険を再現すべく生まれたのがD&Dであり、D&Dのプレイスタイルをコンピュータで再現すべく生まれたのがウルティマやウィザードリィである。

 その世界観は、後のコンピュータRPG、例えば「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」などにも受け継がれていったわけだが、ドルアーガの塔はそれらよりも先に、“剣と魔法の世界”の魅力を、ファミコンユーザーに披露したのだった。

 最も弱いモンスターがスライムだったり、人間型のモンスター(ナイトやメイジ)が出てきたりするところに、ウィザードリィとの共通点が見られる。

 ただ、“動いているときには、剣で切りつけても倒せない”スライムは、剣で切れないD&Dのスライムの特徴も受け継いでいるような気がする。

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色とりどりのスライム大集合。それぞれに特徴があり、呪文を唱えるスライムも多い。

 当時のゲームは最終面を終えると、最初の面にループするのが普通だったが、「ドルアーガの塔」では60階をクリアすればエンディングとなって、ストーリーが完結するというのも新鮮だった。

オリジナルシナリオが展開するゲームブック

 ドルアーガの塔には、1986年の「イシターの復活」(アーケード)を始め、「カイの冒険」(ファミコン)、「ザ・ブルークリスタルロッド」(スーパーファミコン)などの、続編や関連作品が作られている。

 いずれもドルアーガの塔同様、斬新なシステムで賛否両論を巻き起こした作品ばかりだ。

 最後に、私が個人的に好きな「ドルアーガの塔」関連作品を紹介しよう。

 東京創元社から出版された、ゲームブック版「ドルアーガの塔」(鈴木直人著)。「悪魔に魅せられし者」「魔宮の勇者たち」「魔界の滅亡」の3冊で構成されている。

 ギルがスライムやナイトなどを倒しつつ、上の階を目指すというのは原作どおりだが、途中にいろんなパズルが出てきたり、塔に住んでいる人々がいたり、塔から外に出るシーンがあったりと、独自のアレンジが盛り込まれている。

 中盤から、ギルに2人の仲間、魔法使いのメスロンと盗賊のタウルスが加わる。

 特にメスロンは、ビジュアル系バンドをほうふつとさせるルックスで、ゲームブックファンの間で大人気となり、後に彼が主人公のオリジナル作品「パンタクル」が作られた(現在、創土社から復刻されている)。

 ゲームブック版「ドルアーガの塔」では、「ギルが経験値を得て成長する」「ギルが同じ通路を行ったり来たりできる」(双方向移動)など、ゲームブックには珍しく、コンピュータRPGに範をとったシステムを採用した。

 通路の長さも細かく指定されており、それに従って地図を描くと、ちゃんと8マス×8マスの迷路が完成するようになっている。

 初期の3D表示型RPG(ウィザードリィなど)に近い、マッピングの楽しさが、ゲームブックで味わえるのだ。

 ファミコンゲームを題材にしたゲームブックは、1980年代後半に数多く発売された。

 元のゲームのストーリーをただなぞっただけで、出来のよくないものも少なくなかったが、中にはドルアーガの塔ゲームブックのような、原作とは違う魅力を持つ作品もあったのだ。

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