自由の終焉と暗黒の始まり――自らの手でサーガを完結させよ(3/3 ページ)
“スター・ウォーズのゲームに駄作なし”。映画の評価もさることながら、ゲームの分野でもスター・ウォーズはファンを裏切ることはなかった。「出撃! ローグ中隊」や「ギャラクティック・バトルグラウンド」など、コンシューマー、パソコンを問わず、幾多の良作をリリースしてきた伝統は、今回も健在だ。
映画ファンを喜ばせる映像や設定資料
“ジェダイになる”という憧れを、実に見事に再現している本作。だが、その魅力はゲーム性の部分に留まらない。ストーリーモードを進めることで、非公開の設定イメージ集や、DVDで見られるのは当分先になるはずの映画本編の映像が見られるようになるのである。映画では不採用になり、ゲームで陽の目を見たシーンや敵キャラクターは相当な数に上るので、これらの映像はファンアイテムとしても貴重だ。
原作ファンにも、そしてこれからファンになる人にも
ゲーム版「スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐」は、原作物のゲームとして、かなりのクオリティを誇る作品だと言っていいだろう。
ゲーム内容は敵を倒すという分かりやすいアクションに限定し、そのうえで多彩なアクションを可能にすることで、戦術のバリエーションを生んだことがひとつ。実は映画を見ればわかるように、ジェダイは戦闘機の操縦など、接近戦以外にもさまざまな能力を持っている。
現に、そうした側面を強化したシューティングゲームも過去に発売されている。だが、今回はあくまでジェダイの本道、すなわち“騎士であること”に徹している。これは“ジェダイになるという夢をかなえる”という最大目的に合致した判断といるだろう。
あらゆる技能に熟達したジェダイはたしかにすごい。だが、プレーヤーが憧れるのは、パイロットとしてのジェダイではなく、ライトセーバーを振るう、宇宙の騎士なのだ。
制作者はゲームをその1点に絞り込み、その代わり、それを徹底的に掘り下げた。そして、夢の部分と、ジェダイの技を修得することで難易度が下がるというゲーム性をリンクさせ、なりたい存在になるために努力をさせる、という極めて真っ正直なスタイルを取ったのだ。
こうした正攻法の手法は、ややシンプルすぎるかもしれないが、それだけにユーザーにとって極めて分かりやすい。何をすればいいかがすぐ理解でき、そしていろいろな方法でそれをクリアすることができる、これは、良作であるための不可欠な要因だろう。
スター・ウォーズという、熱烈なファンを世界に持つ作品でこうしたコンセプトを実行するのは、実はけっこう勇気がいることなのだが、そこはこれまでリリースされてきた関連作品群の出来がよかっただけに、作り手も自信を持って臨めたのだと思う。
設定画集やムービーなど、ファンにはうれしいオマケも見逃せないが、やはり最大の価値は、この作品がゲームとして優れていることに尽きる。原作物の中でも、非常にハイレベルの成功を収めたタイトルとして、本作はゲームファンの間に語り継がれる作品となるだろう。そう、まさに6部作を完結させた映画と同じように――。
スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐 | |
対応機種 | プレイステーション 2 |
メーカー | エレクトロニック・アーツ |
ジャンル | ジェダイ・アクション |
発売日 | 発売中(2005年7月9日) |
価格 | 7140円(税込) |
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