桃太郎で行っとけ!「桃太郎活劇」:ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(1/2 ページ)
連載4回めにして、初めてのPCエンジンです。桃太郎シリーズ初のアクションゲーム、「桃太郎活劇」(ハドソン)を取り上げてみましょう。“誰でもクリアーできる”このゲームが、明日のゲーム界を変える、ヒントになるかもしれません。
「GENJI」と同じコンセプトを、15年前に実現!
去年の東京ゲームショウで、私がいちばん興味を持ったゲームは「GENJI」だった。
“買った人全員がクリアーできるゲーム”
岡本吉起氏は、このゲームについて、そう語っていた。
実際に発売されたときには、その部分があまり強調されていなかったのがちょっと残念。普段ゲームをあまりプレイしない人々に、大いにアピールできるポイントだと思うのだが。
TVCMも、鈴木史朗さんを起用したらおもしろかったのになあと思う。鈴木さんは「バイオハザード」のファンらしいし。
まあ、清原選手のCMも、あれはあれでインパクトはあったみたいだから、良かったのかもしれないが。
さて、かつて同様に“誰でもクリアーできる”ことを売りにしたアクションゲームがあった。
そのゲームに出てくるキャラクターと一緒に撮ってきたのが下の写真。
そう、私の後ろに写っているのは、おなじみ貧乏神。
というわけで、今週取り上げるゲームはこれだ!
PCエンジンで1990年に発売された、「桃太郎活劇」である。
桃太郎シリーズといえば、有名なのは「桃太郎伝説」と「桃太郎電鉄」だ。
昔話をベースに、コミカルなストーリーやキャラクター、親切なシステムで大ヒットした「桃太郎伝説」。
日本全国を舞台に、都市の名産品店を買って資産を増やしていくボードゲーム「桃太郎電鉄」。
「桃太郎活劇」は、桃太郎シリーズ初のアクションゲームだが、「伝説」、「電鉄」に比べて、かなりマイナーなタイトルである。
「桃太郎伝説」や「桃太郎電鉄」がシリーズ化され、特に「電鉄」のほうは現在でも新作が発売されているのに対し、「桃太郎活劇」は続編もなければ、他機種への移植もされていない。
でも、「桃太郎活劇」というゲームを振り返ることで、今のゲーム業界に必要なものが見えてくるのではないかと、私は思っている。
「桃太郎伝説」と「桃太郎電鉄」についてはいずれ、高松や佐世保にある桃太郎キャラクターの像とともに取り上げることにして、今回は「桃太郎活劇」をご紹介しよう。
貧乏神と猿で「貧乏が去る像」とのこと。おさい銭を入れてお参りしてきた
今回、この連載で初めてPCエンジンのゲームが出てきたので、PCエンジンというゲーム機についてもちょっと説明しよう。
PCエンジンは1987年、ハドソンが主体となって開発され、NECホームエレクトロニクスから発売されたゲーム機である。
CPUのクロックは7.16MHz、512色同時発色、スプライトは16×16ドットと、ファミコンより高い性能を持って登場。
翌年には家庭用ゲーム機初のCD-ROMドライブ「CDロムロム」を発売するが、「桃太郎活劇」はCD-ROMではなく、従来の「Huカード」(ヒューカード)で発売された。
1990年といえば、既に「イースI・II」や「天外魔境ZIRIA(ジライア)」など、CD-ROMを使ったゲームも発売されていたが、アクションゲームではまだまだHuカードが主流。
「桃太郎活劇」のコンセプトを考えれば、CD-ROMの大容量を使って、ステージ数を増やしたり、過度な演出を行なったりする必要はない。Huカードで正解だったと思う。
では「桃太郎活劇」について、詳しく見ていこう。
コンセプトは前述のとおり、“誰でもクリアーできる”こと。
パッケージにも、「かならずエンディング! ぜったいエキサイティング!」と書いてあり、それがこのゲーム最大の売りであることをアピールしている。
横スクロールのアクションゲームで、全8面から成る。
主人公・桃太郎の武器は刀で、振ると先端から“気合弾”が飛び、敵を倒せるようになっている。
ゲームスタート前に、「かんたん」、「ふつう」、「むずかし」いずれかの難易度を選ぶ。
かんたんモードには以下のような特徴があり、アクションゲーム初心者でも楽しくプレーできるように配慮されている。
- 穴に落ちてもノーダメージで戻れる(「ふつう」はダメージあり、「むずかし」は一発アウト)
- 宿に泊まれば、体力だけでなく技の使用回数も回復する。また宿代も安い
- 体力、技の使用回数の、最高値が高い
- 敵の弾のほとんどが、桃太郎の気合弾で相殺できる
- 桃太郎が倒されても所持金が減らない(「ふつう」は1/2に、「むずかし」は1/4になる)
誰でもクリアーできるゲームにするための工夫
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