よみがえれ美しい思い出! 「タイトーメモリーズ下巻」で記憶の旅に出る(2/4 ページ)
懐かしいゲームが25本収録されている“タイトーメモリーズ”。先月の上巻に引き続き、今月は下巻が発売となる。今回は、この25本からいくつかをピックアップして、そのレビューを書いていこう。
収録作品を、当時を振り返りつつレビューしてみる
ここからは、いくつかのタイトルをピックアップし、時代背景などと共に見ていくことにする。なお、タイトルごとのレビューは、現在プレイすると……という観点で書いている。当時と現在のゲームを比べるのはムリがあるが、とはいえ初めてプレイする人には指標になると思われたので、敢えて記してみた。当時を知っている人には、よけいなお世話かもしれないが……。
スペースインベーダー
1978年、それまではブロック崩し程度しかなかったアーケードゲーム業界に、革命が起きる。あの、スペースインベーダーの登場だった。アップライト筐体に3つのボタンが配置されたそれは、すぐさま社会現象を巻き起こした。ブロック崩しに代表される“受け身”のプレイスタイルから、敵を攻撃して倒すという“攻め”へと転換したのが、大ヒットした理由だと考えられている。
筆者が初めてインベーダーを見たのは、近所の駄菓子屋だった。ほかでは100円だったかもしれないゲームが、ここでは50円程度でできたことが、そこへ通った理由だと記憶している。そこで、たった1つのテーブル筐体に群がる、数多くのプレイヤーたち。必需品は、その辺に置かれていたジュースの1ダースケースだった。これを椅子代わりにするだけでなく、テーブル筐体の左右に1つずつ積み、さらにその上に段ボールを乗せれば、どんなに明るくてもゲーム画面がくっきり見える。しかも目隠しにもなるので、非常に重宝したものだった。
そうして足繁く駄菓子屋に通い、名古屋撃ちやレインボーなどの技術を習得し、ハイスコアもマークできるようになった。とはいえ、飽きたのも意外に早く、興味はあっという間にギャラクシーウォーズへと移っていった……。余談だがこの年の3月、任天堂レジャーシステム(現任天堂)は、「コンピューターオセロ」というタイトルの、オセロゲームを発売している。
ゲームのルールは、画面内にいる55匹のインベーダー(侵略者)を、ショットを撃ってすべて倒すだけ。インベーダーは最初は右に動き、端まで着くと一段下がり左へ動き出す。こうして、最下段までインベーダーに占領されてしまうと、残機があってもゲームオーバーになってしまう。また、画面上部には時々U・F・Oが現れ、最初は30発、あとは15発ごとに撃つと300点が入るのだ。
面をクリアするごとに、インベーダーの初期配置が一段ずつ下がっていくので、どんどん戦いがつらくなっていく。テクニックとして、インベーダーが最下段まで降りてくると敵弾に当たらなくなることを利用した“名古屋撃ち”や、10点インベーダーを最後まで残すと見られる“レインボー”などがある。
改めてプレイしてみると、弾が単発でしか撃てなかったり、占領されると一発ゲームオーバーなど、シビアな部分が目立つ。逆に、だからこそ1ゲームごとに緊張感のあるプレイを楽しめたのではないか? そんな風に今更ながら感じた。もっとも、無限にコインを入れられてしまう本作では、緊張感を保つのが難しいが……。
バルーンボンバー
「ゲームセンターあらし」がコロコロコミックで大ブームを巻き起こしていた1980年、新しいゲームが登場した。地味な画面に映るのは、不気味な複葉機と風船爆弾。そして高射砲の自機だけ。風船を撃つと、ついていた爆弾が落ちてくるのだが、放置しておくと地面に穴を開けてしまうため、自機の移動範囲が狭くなってしまう。
当時は、その理不尽さをものともせずプレイしたわけだが、ゲームセンターあらしは更にすごかった。月面宙返り(ムーンサルト)12段撃ちを出して、風船→爆弾と立て続けに破壊し、点数を鬼のように稼いだ。実際にプレイすると、そんなスピーディなゲームじゃないことは一目瞭然なわけだが、この時はあらしを見て、素直にかっこいいと思ったものだ。ちなみに、同じ年には幻の名作、「ルパン三世」もデビューしている。どちらかといえば、ルパン三世にハマった記憶のほうが深いわけだが(笑)。
6つの風船爆弾が横1列に並び、右へ左へとゆらゆらしながら左右に移動していくのを、すべて撃ち落とせば1面クリアとなる。爆弾を撃てば風船ごと破壊できるが、それでは高得点は望めない。かといって、風船を撃った後に落ちてくる爆弾を逃すと、地面に穴が開いて移動範囲が狭まるため、どんどん不利になる。すべてを撃ち落とすつもりでプレイする必要があるのだ。
自機がやられない限り、面をクリアしても地面が修復されることがないため、先に進むほどつらくなるゲームバランスには疑問を感じるものの、爆弾を撃ち落とす時などは独特のスリルを感じてしまう。意外に熱いゲームなのだ。これで、3面ごとなどに地面が修復されれば、もう少し遊びごたえがあったかもしれない。
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