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任天堂代表取締役社長・岩田聡氏 基調講演では何が語られたのか東京ゲームショウ2005――「TGSフォーラム2005」基調講演(1/2 ページ)

次世代機「Revolution」用のコントローラ“ゲームリモコン”を初公開し、大きな注目を集めた任天堂代表取締役・岩田聡氏のTGSフォーラム2005基調講演。岩田氏は2年ぶりの登壇となるが、今年の講演は「ゲーム人口の拡大に向けて〜ゲーム産業に今、何が必要か〜」と題し、ニンテンドーDSからRevolutionへとつながる任天堂の一貫したビジョン、ゲーム市場拡大への取り組みがそれぞれ語られた。

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 岩田氏はまず2003年の基調講演「ファミコンから20年〜ビデオゲーム業界の今とこれから〜」でゲーム産業の発展にはゲーム人口の拡大を目指す努力が必要であると述べたことを振り返り、続いて任天堂がこの2年間で行った取り組みとして「ゲームから離れてしまった人たちを呼び戻す」、「今までゲームをしなかった人を呼び込む」、「ゲーム熟練者、初心者でも楽しめる新しい商品を提案する」の3点からゲーム人口の拡大を目指した、と話した。

3つのターゲットに向けて任天堂が取り組んだもの〜「ファミコンミニ」「ゲームボーイミクロ」「ニンテンドーDS」「Touch Generations」〜

 ひとつめとなる「ゲームから離れてしまった人たちを呼び戻す」ための取り組みとして、岩田氏は「ファミコンミニ」「ゲームボーイミクロ」の展開について触れた。「ファミコンミニ」はゲームを楽しんでいた幸せな記憶を思い出すきっかけとして、また「ゲームボーイミクロ」は電車のなかでも気軽に持ち出して遊べるようなサイズを目指し、ソフト・ハードの両面からゲーム休眠層の活性化を狙ったと言う。

 ふたつめの「今までゲームをしなかった人を呼び込む」取り組みは、両手でボタンを操作するという従来のゲームインターフェースや高度で複雑化したゲームに対し、“もう敷居が高いもの”と捉えている人がいると考え、誰でも同じスタートラインに立って楽しめる、まったく新しい構造のゲーム機としてニンテンドーDSを開発したとした。

 そして最後に「ここが大変重要なことだと考えている」と氏が強調したのが、「ゲーム熟練者、初心者でも楽しめる新しい商品を提案する」という3つめの取り組みであるとして、その成果である”Touch Generations”=タッチジェネレーションと呼ばれる今までにない新機軸の作品〜「nintendogs」「脳を鍛える大人のDSトレーニング」「やわらかあたま塾」をこの春から集中的に投下した、とコメント。さらにこれら新機軸ソフトの購入データを分析して男女比率、年齢層、ハード牽引率、販売推移といったデータが従来のゲームとは異なる結果となったことを紹介し、結果として「ゲーム人口の拡大を実現できたという手応えを感じている」と結論づけた。


タッチジェネレーションと呼ばれる新機軸のニンテンドーDSソフトの購入者データを見ると、携帯ゲーム機市場は順調に拡大していることがわかる。岩田氏はこれらの分析結果から「任天堂のユーザー層拡大の取り組みはゲーム人口の拡大に寄与すると語った

“タッチジェネレーション”に続く任天堂のさらなる取り組み〜 2005年11月から全世界でスタートする“任天堂Wi-Fiコネクション”

 続いて、ゲーム人口の拡大のために力をいれるもうひとつの柱として“任天堂Wi-Fiコネクション”が2005年11月に全世界でスタートすることも発表された。対応ソフト第一弾はニンテンドーDS用「どうぶつの森DS」「スーパーマリオカートDS」の2作でその詳報は10月上旬に行うとしたが、「一切のセットアップ無しで接続できるようにし、経済的なハードルやネットにおけるコミュニケーション対処も万全を期す。価値あるイノベーショ

ンを実現したいと思っている」と大きな期待をかけているコメントを残した。


今年5月に概要発表された、任天堂のオンライン構想“任天堂Wi-Fiコネクション”。DSの無線LAN機能を使って手軽にインターネットで対戦やコミュニケーションを楽しむという、任天堂の次なる一手である

〜据置型ゲーム機でユーザー層の拡大に取り組む〜 次世代機「Revolution」のコントローラ“ゲームリモコン”

 次に岩田氏は、任天堂の次世代ゲーム機「Revolution」の話題へと話を移し、「任天堂が目指すものは(ニンテンドーDSでも)Revolutionでも同じ。現在の高度化したゲームの操作体系ではユーザ層の拡大は狙えない。DSのアプローチと同じだが、Revolutionでもゲームの初心者から熟練者まで触ってみたいと思わせるような新しい構造、誰もが同じスタートラインで楽しめるようなインタフェースの提案が最も重要だと考えている。そこでRevolutionは据置型のゲームコントローラは必ず“両手で握るものだという常識を考え直す”ところからはじめた」と説明し、コンセプトビデオを上映した。


公開されたコントローラは“ゲームリモコン”と呼ばれ、見た目はテレ ビのリモコンそのもの。片手で持つ事を前提にした形状で、サイズも非常に小さい

従来のコントローラと決定的に違うのが、「コントローラそのものを動かす」という直感的なプレイスタイルの提案だ。上映されたビデオではコントローラを剣に見立てて振りかざす、釣り竿のようなロッドアクションを楽しむ、タクトに見立ててオーケストラを指揮、ガンコントローラとして扱う……というように、現実感のある操作が可能になっている

十字ボタンなどのボタン入力を一切使わないゲームになると、従来のゲームと違い“コントローラを手にした時の意識や感触”が根本的に変わってしまうかもしれない。ビデオでは2つのコントローラをドラムのスティックに見立てた激しいパフォーマンス、歯科医の歯科ユニット(あのドリルのようなやつ)を操作するよう微妙な手つき、包丁やフライパン捌きが体験できる料理ゲームなどが提案されていた

ワイヤレス&片手操作がメインになることで、「ゲームはテレビの前で遊ぶもの」という従来のテレビと人間の“位置関係の制約”が外れ、ゲームを楽しむスタイル自体にも変化が。ソファに寝ころびながらでも自然な姿勢で楽しめるし、大勢で遊ぶ時はケーブルが邪魔になることはない。またアクションをはじめとした既存のジャンルのゲームでも、「ジャンプする」という行為がボタンを押すという行動から置き換わるだけで、そのプレイ感覚はまったく新しいものになる

「直感的に理解できる操作感覚」を実現したゲームリモコン 柔軟な拡張性を持たせることであらゆるゲーム体験を再現

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