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任天堂代表取締役社長・岩田聡氏 基調講演では何が語られたのか東京ゲームショウ2005――「TGSフォーラム2005」基調講演(2/2 ページ)

次世代機「Revolution」用のコントローラ“ゲームリモコン”を初公開し、大きな注目を集めた任天堂代表取締役・岩田聡氏のTGSフォーラム2005基調講演。岩田氏は2年ぶりの登壇となるが、今年の講演は「ゲーム人口の拡大に向けて〜ゲーム産業に今、何が必要か〜」と題し、ニンテンドーDSからRevolutionへとつながる任天堂の一貫したビジョン、ゲーム市場拡大への取り組みがそれぞれ語られた。

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「直感的に理解できる操作感覚」を実現したゲームリモコン 柔軟な拡張性を持たせることであらゆるゲーム体験を再現

 ゲームリモコンは、上部に配された“ダイレクトポインティングデバイス”と呼ばれるセンサーにより直接的に画面の方向を指し示すことができるほか、画面との距離、ひねりなども検出できるデバイスとなっている。岩田氏は「ゲーム初心者の皆さんには直感的でわかりやすい、そしてゲーム熟練者の皆さんには新鮮で驚きが感じられる操作方法を実現したいと思っている。またビデオでは新しいプレイスタイルに向いたジャンルばかりお見せしたが、拡張コネクタを使うことでさまざまな拡張ができる」と話を続け、ゲームリモコンと同様に本体に同梱される「フリースタイルコントローラ」もあわせて公開された。 なお、Revolutionの特長のひとつ“バーチャルコンソールのゲーム(過去の任天堂ゲーム)”を遊ぶ時は、この拡張コネクタに従来のゲーム機を遊ぶための「クラシックコントローラ対応アダプタ」が用意されるとのことだ。


コントローラの形状は人差し指がかかるところにくぼみが設けられており持ちやすい印象。主操作となるコントローラ部分には十字ボタンの大きめのAボタン、Bボタンが配置され、中央には左からSTART、HOME、SELECTボタン、下にはb、cと刻印された2つのボタンと1〜4プレイヤーに対応したインジケーターが確認できる

拡張コネクタに接続する「フリースタイルコントローラ」には、アナログスティックとZ1、Z2ボタンが配置されている。つなげるとヌンチャクのような構えとなり、両手の位置関係が自由なコントローラとして使うことができる

フリースタイルコントローラを使ったゲームスタイルの一例。ゲームリモコン側を懐中電灯に見立てることで暗闇を照らしながら探索したり(「ルイージマンション」?)、FPSでは武器に見立てることもできる。説明するなかで岩田氏は「このフリースタイルコントローラで我々は新しいFPSのスタンダードを確立させたいと思っているし、「マリオ64」が3Dゲームの基本操作を定義したように、このコントローラで「ゼルダ」のようなゲームの操作がどう変わるか、またどんなアクションゲームが提案されるのか、私自身楽しみにしている」と期待を寄せた

 また会場では、任天堂社外からのクリエイターからとして、スクウェア・エニックスの河津秋敏氏、コナミの小島秀夫氏、あーマープロジェクトの堀井雄二氏からのビデオメッセージも上映された。


スクウェア・エニックス 河津秋敏氏「まず、片手で持てるというのは大胆なアイデアだと思った。予想していた以上に手首の動きやねじったときなどの身体感覚、ちょっとした動きが画面に反応する。作り手である我々のほうが、何を作っていくのか試されている感覚。そういう印象のほうが強いのかなと思っています」

コナミ 小島秀夫氏「やられたという感じ。まったく想像していなかった。非常になじみのあるもので新しかったという点で驚いた。コントローラを両手で固定してTVに向かって遊ぶということがファミコンから20年間変わらなかったけど、これが一気に変わる。リモコンというのは日常化しているものだし、驚きはあったけど手に持ってみて馴染むんですよね。これや!という感じを受けました」

アーマープロジェクト 堀井祐二氏「最初はびっくりした。確かにありそうだけど、なかったなという感じだよね。子どもがTVのリモコンをなんとなく触ってみて覚えていく、という感覚で触れると思う。任天堂さんはDSから始まって、最近さわるというゲームが多いけど、その発展形がレボリューションのコントローラなのかなと思った」

ゲーム開発者にも新たなチャンスが生まれる「Revolution」

 最後に、岩田氏は恒例ながらゲーム開発者に対し熱いエールを贈った。「新しい提案によって作られるゲームには、別の意味もあると思っている。次世代機は開発が大規模化し、要求される開発予算がどんどん大きくなっており、自分たちの規模では開発できないと疎外感を感じている開発者の方々は世界中にいるだろう。しかし、我々の新しいインタフェースであれば規模が小さい開発チームの方々にもアイデア勝負で画期的な商品を開発するチャンスはある。われわれ娯楽商品の作り手は、常に良い仕事、人を驚かせるたすための新しい試み、イノベーションが必要だ。我々の提案が人を驚かせることができなければ、人々はゲームに飽きる。ファミコンから20年経ち、ゲーム業界は技術革新によってユーザーに新しく魅力的な驚きを与え続けることができた。そしていま、任天堂はゲーム人口拡大の取り組みを通し、今後は今までとは異なる新しいインタフェース、大きなイノベーションが必要だと確信している。もちろんアイデアだけに頼るのではなく、初心者から熟練者まで満足してもらえるようなダイナミックレンジの広いゲームの提案も必要だ。世界に広がったゲーム産業を発展させるべく、今後も皆さんと力を合わせていきたいと思う」――ゲーム業界全体の発展を考える任天堂の真摯なビジョン、またゲームを愛する開発者としての立場を忘れない岩田氏の姿勢に対して会場からは多くの拍手が贈られ、基調講演は終了となった。

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