“幻想”のミッシングリンクを埋めるべくして生まれた「ラプソディア」:レビュー(1/2 ページ)
幻想水滸伝シリーズ最新作としての位置づけで登場した「ラプソディア」。ジャンルがRPGからシミュレーションRPGへと変わったため、戸惑っている人も多いのではないだろうか。そこで、幻想シリーズのファンではあるけれど、シミュレーションRPGが苦手だが大丈夫なのか? といった観点などから、実際にプレイして見てみた。
RPGからシミュレーションRPGへと変化した、シリーズ最新作
幻想水滸伝シリーズといえばPS初期から連綿と続く、コナミを代表するRPGだろう。1作目の出来の良さが口コミで広がり、瞬く間に大作RPGの地位を占めた作品で、FFやドラクエと比べると後発ながらも、その丁寧な作りがユーザーに受けている人気の秘密だろう。また、仲間が108人も登場するので、必ずお気に入りのキャラが存在する点に加えて、練られたシナリオも高い支持を受ける一因と思われる。
そんな幻想水滸伝シリーズだが、1・2作目はドット絵だったものも3作目から新たな可能性を模索してポリゴンでの描写になり、雰囲気が大きく変わった。その4作目が出たのが昨年だったが、1年とちょっとで早くもシリーズ最新作が登場した――それが本作「ラプソディア」だ。とはいえ、これまでのシリーズがRPGだったのに対し、今回はシミュレーションRPGとなっており、必然的にシステムが大きく様変わりしている。ここでは、その辺りがどう影響しているのかを中心に、シリーズをこよなく愛する筆者がレビューしていくことにしたい。なお、幻想水滸伝シリーズが気になっていたけれど、まだプレイしたことがなかったという人は、PSP用として幻想水滸伝I&IIが発売されるので、それを後からプレイするのもお勧めだ。
シリーズのプレイヤーには、違和感のないシステムやアイテム
ゲームをスタートさせると、最初に幻想水滸伝IVのデータを読み込むかどうかを聞かれる。前作をプレイして仲間が108人集まっているという人は、クリアデータでなくてもいいのでロードすれば、IV主人公とスノウを仲間にすることができる。データを持っている人は、忘れずに読み込ませておくといいだろう。
全体的な流れは、街やキャラバンなどで準備をしつつ、戦闘シーンに突入して戦いに勝利し、時々発生するイベントをこなしながらストーリーを進めていく、といった感じになる。戦闘前の準備段階では街のお店に出向くことができるが、ここで売っているのは、本シリーズのファンにとっては見慣れたもの。いつもの“おくすり”や“特効薬”、さらには封印球などもあるので、これまでプレイしてきた人ならば、何も見なくてもすんなり効果が分かるだろう。このようなところで、幻想水滸伝のシリーズタイトルをプレイしているんだなぁ……と、しみじみ感じてしまった。もちろん、武器もこれまでのシリーズ通り、鍛冶屋で鍛えることで強力になっていくシステム。先に進むほど、武器をより上位レベルまで鍛えることができる。
その中で、これまでになかったものとしては、ギルドと噂話がある。ギルドでは仕事を請け負うことができ、クリアすると報酬と後述するスキルポイントがもらえる。楽なものから一筋縄ではいかないものまで様々な依頼があるので、達成できそうなものから選んでいくのがいい。ただし、受けた依頼の目的を達成しても、ギルドに報告をしなければ完了したことにはならないので、忘れずに出向こう。最初、それに気づかないまま進めてしまい、いつまで経っても報酬が入らない! と勘違いをしていたので、皆さんは忘れずに……。クリアした時点で、報告を促すイベントが起きれば、そのような事にもならないと思われるだけに、ちょっと残念だった。
もう一つの噂話は、訪れた先々の街で人々に話を聞くコマンド。話を聞かないとイベントが発生せず、シナリオが進行しないということもあるので、街に行くたびに忘れず実行しておきたい。
こうして街で出来ることを一通り済ませたら、キャラバンのコマンドを選ぶ。これは俗に言うキャンプで、ここではパーティメンバーの装備やスキルを変更することができる。スキルは幻想IIIで初導入されたシステムで、各キャラごとの得意技のようなもの。これら“クリティカル”や“パリング”などのスキルを、いくつか装備させることで、戦闘時に特定の能力を発揮できるのだ。ただし、最初のうちは覚えられるスキルの数も少なく、スキルレベルも最低ランクのE止まり。パーティメンバーが増えたりストーリーが進むと、より数多くのスキルを覚えられるだけでなく、スキルレベルの上限もD、C、B……と上がっていく。スキルのレベルアップや新しいスキルを覚えるには、スキルポイントを使えばいい。こうして準備が整ったら、いよいよ戦闘となる。
本作オリジナル戦闘システムは、シミュレーションRPGファン向けか
戦闘シーンの基本ルールは、オーソドックスなシミュレーションRPGと同じ。ただし、ターン制ではなく、素早い順に行動が回ってくるシステムを採用している。順番は、画面上方にキャラアイコンが表示されているので、これを見ながら作戦を立ててキャラを移動することになる。マス目はヘックスではなく、こちらも一般的な四角形で構成されている。このフィールドを舞台に、敵との戦いが繰り広げられる。
最初に表示される勝利条件を満たせばマップクリアとなり、敗北条件を満たすとゲームオーバーと、ルールは至ってシンプル。幸いなことにゲームオーバーになっても、特定マップ以外は“あきらめない”を選択することで、その戦闘で得た経験値はそのままに、仲間やアイテムはリセットされた状態でリトライできる。シミュレーションRPGが苦手な人間にとっては、非常にうれしい配慮だろう。
本作独特のシステムとしては、属性が挙げられる。これは、シリーズお馴染みの紋章に由来するもので、全キャラが火、水、雷、土、風どれかの属性を持つ。さらに戦闘中、通常のシミュレーションRPGなら魔法に例えられる紋章か、アイテムにある“×の陣の玉”(×には、5つの属性のどれかが入る)を使うと、地面に属性をつけることができる。すると、地面と属性が同じキャラであれば、その上で待機するとHPが回復し、苦手属性のキャラならばHPが減ってしまう。これは敵味方共通で、属性を如何に上手く利用するかが、戦いを勝ち抜くためのポイントとなっている。
と書いたのだが、残念ながら自分で利用することはあまりなかった。敵は、戦闘が始まってすぐぐらいに地面属性を自分たちに有利なものへと変更するが、パーティがそんなことをしていても敵は寄ってきてくれないので、戦いに行かなければならない。一度エンカウントすれば攻撃を繰り返すため、地面属性を変えている暇がなかった。シミュレーションRPGをプレイし慣れていない人には、難しいシステムではないのかな? と、個人的には感じたのだが……。
一応、フィールドには属性ごとのエレメントが配置される場合がほとんどで、これらは敵であるにもかかわらず攻撃してこない。代わりに、移動した地面を自身の属性に変えていくので、これをささやかに活用した程度だった。逆に、普段からこの手のゲームを遊んでいる人ならば、このような細かい部分にまで気を配りながら戦いを展開していくのがおもしろいはずなので、かなり歯ごたえのあるシステムだと思う。ある意味、詰め将棋に近いものがあるのかもしれない。
とはいえ、全般的な戦闘システムに関しては、序盤に懇切丁寧に説明が行われるため、理解できないと言うことは絶対にない。マニュアルを読む必要が全くないぐらい、解説が充実している。むしろ、誰にでも分かるように説明しているのだから、有効活用できない私が悪いだけなのだろう。
その他の戦闘システムも充実
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