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“幻想”のミッシングリンクを埋めるべくして生まれた「ラプソディア」レビュー(2/2 ページ)

幻想水滸伝シリーズ最新作としての位置づけで登場した「ラプソディア」。ジャンルがRPGからシミュレーションRPGへと変わったため、戸惑っている人も多いのではないだろうか。そこで、幻想シリーズのファンではあるけれど、シミュレーションRPGが苦手だが大丈夫なのか? といった観点などから、実際にプレイして見てみた。

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その他の戦闘システムも充実

 その他の戦闘システムとしては、すっかり定番となった協力攻撃がある。最初は誰も知らないが、フィールドで特定のキャラが並ぶとフキダシとともに会話コマンドが表示され、実行することで覚えられる場合がある。一度覚えてしまえば、協力攻撃を行いたいキャラをフィールドに特定フォーメーションで配置すると、協力攻撃のコマンドを選べるようになるのだ。発動させれば、広範囲に渡って強力な攻撃を仕掛けることができ、多数の強敵を一度に倒せるため、とても壮快な気分になれる。

 ところが、常に協力攻撃が使えるとは限らないのが難点で、発動させるためには必要メンバー全員を一定期間、戦闘に参加させなければならない。この一定期間というのが今ひとつよく分からずじまいで、何度も酷い目に遭ってしまった。使えるようになると、メンバーがフキダシで教えてくれるのだが、シミュレーションRPGを苦手とする人のために、どこかに数値としてターン数などを表示してほしかったところ。


会話を交わさない限り協力攻撃は覚えない。余裕を見つけたら、積極的に会話をしたいところ

通常は一撃で倒せない敵でも、協力攻撃なら一発でフィールドから消し去ることができる。また、攻撃範囲も広いなどのメリットがある

協力攻撃発動の目安は、仲間の会話。このようなフキダシが出れば、協力攻撃の準備が整ったと言うことになる

 なお、会話を行っても協力攻撃を覚えなかった場合は、その2人の間の好感度がアップする仕組みだ。好感度が上がっていくほど、敵から攻撃された時にかばってくれたり、敵を攻撃したときはおたすけ攻撃として支援してくれるなど、仲間が協力してくれる。ピンチの時に護ってもらえたり、逆にあと少しで倒せるのに! と思ったときにおたすけ攻撃が入ると、思った以上にプレイヤーのやる気がアップする(笑)。

 残念なのは、会話をするだけでキャラの行動が終わってしまう点。戦いをうまく展開できないと、せっかく会話のチャンスが到来しても攻撃コマンドを優先して選んでしまうため、なかなか好感度を上げられない。似たような事としては、攻撃してからの移動が不可能というのも、ちょっと厳しい。その場で攻撃した場合は移動もできるようにしてくれれば、もう少し戦いが楽になったと思うのだが……。


どのような条件で発動するかは不明だが、会話を交わし好感度を上げていくことで、かばったり支援してくれる

 おもしろいのは、各キャラごとにフキダシで様々な事柄を説明してくれること。例えば、敵に攻撃カーソルを合わせたとき天使の輪マークのフキダシならば「オレはもうダメだ(攻撃を受けたら倒されてしまう)」という意味だし、味方に赤い十時マークが出れば「誰か回復してくれ!」といった具合。これにより、優先すべき味方や敵キャラがすぐに分かるので、いちいち細かなステータスをチェックしなくても良いのだ。なかなか優れたシステムで感心したのだが、時々キャラの順番を表示する部分にフキダシがかぶってしまい、見えなくなることがあるのには困った。回転させればいいと思うかもしれないが、フィールドは360度自由に回転できるわけではないので、見づらいステージがいくつか見受けられたのも残念。理由は不明だが、ひょっとするとキャラが緻密に描かれているからなのかもしれない。一番最大までフィールドを拡大すると分かるのだが、一人一人の動きがとても細かいのだ。ドット絵で描かれているわけではないにも関わらず、非常に暖かみを感じるキャラに仕上がっているのだから、ここは妥協すべきかもしれない。


味方のHPが少なくなると、赤い十時マークで助けてくれとフキダシが出る

アップで見ると、非常にきめ細かい動きをしているキャラたち。見るほどに愛情が湧いてくる?

シミュレーションRPGが苦手な人でもプレイできるか?

 ここまで様々な角度からチェックしてきたが、一番気になる“シミュレーションRPGが苦手だけれども、幻想水滸伝のファンとしては問題なくプレイできるのか?”との問いには、あまりこの手のゲームが得意でない人間の代表として「序盤を乗り切れれば大丈夫」という答えが、一番適切ではないかと感じた。というのも、プレイ開始後しばらくは経験値を稼げるような特筆すべき場所もなく、さらには一度クリアしたマップは2度プレイできないので、シミュレーションRPGが苦手な人はキャラの成長させ方を失敗すると、苦戦を強いられるかもしれないからだ。私も恥ずかしながら、4回目の戦闘でゲームオーバーになってしまったので、いかに理詰めで戦闘を行えるのかが重要になってくると感じた。オベル遺跡までたどり着ければそこで鍛錬できるし、モンスター退治が出来るようになったら再び稼げるので、これら要所まで進められれば難易度も随分と違って感じられると思う。

 また、この辺りになればプレイヤーも戦い慣れしているはずなので、ここから先は戦闘で躓くことはないのでは? というのが正直な感想だ。ただし、これまでとまったく違うジャンルに踏み込んだのだから、難易度を選ばせてほしかったというのはある。ゲームスタート時に質問事項を表示させ、シミュレーションRPGが苦手と答えたらキャラが成長しやすくなる仕組みを導入するなど、ちょっとした救済策が用意してあれば、序盤の印象もずいぶん違ったのではと感じた。


モンスター退治が出来るようになれば、お金や経験値を溜めやすくなる

 とはいえ、非常に気になるストーリーが展開されるため、経験値稼ぎもそこそこに先へ進みたくなってしまう誘惑も大きい。そこをグッと我慢して鍛えれば、先に進んでもそれほど苦労せず、物語に専念できるだろう。これまでのシリーズをプレイしているファンであれば、なおさら幻想水滸伝Vの前にクリアしておきたい1本に仕上がっていることは断言できる。何せ、序盤では意味ありげに罰の紋章が登場するのだから……。

 シリーズ5作目は発売未定となっているが、仮に年末発売なら3カ月、来年3月に出るとしてもあと半年あるので、その間にじっくりプレイしてクリアしてしまおう!


ストーリー序盤に登場する、罰の紋章。この後、物語にどのように関わってくるのか?
ラプソディア
対応機種プレイステーション 2
メーカーコナミ
ジャンルシミュレーションRPG
発売日2005年9月22日
価格7329円(税込み)
(C)1995 2005 KONAMI


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