スペシャルな進化(アドバンス)を遂げたマリオテニス――「マリオテニスアドバンス」:レビュー(1/3 ページ)
マリオ20歳の誕生日に「ゲームボーイミクロ」とともに発売された「マリオテニスアドバンス」。シリーズ4作目である本作は、ゲームボーイアドバンスというプラットフォームでいかなる進化、変化を遂げたのだろうか。
マリオ20歳、マリオテニス5歳
スーパーマリオブラザーズ生誕20周年記念ということで「HAPPY! MARIO 20th」というキャンペーンが展開されたのは記憶に新しいだろう。まさに誕生日である2005年9月13日には、新ハードである「ゲームボーイミクロ」、「ファミコンミニ スーパーマリオブラザーズ」(スーパーマリオブラザーズ20周年記念再販)、「ドクターマリオ&パネルでポン」、そして本作「マリオテニスアドバンス」が一挙に発売され大きな話題を呼んだ。
さて。スーパーマリオというキャラクターは20歳なわけだが、マリオテニスはいったい何歳なのだろうか。マリオテニスのバイオグラフィをさかのぼってみると「マリオテニス64」に突き当たる。ここにマリオテニスシリーズを列挙してみよう。
- 「マリオテニス64」 2000年7月21日発売
- 「マリオテニスGB」 2000年11月1日発売
- 「マリオテニスGC」 2004年10月28日発売
- 「マリオテニスアドバンス」 2005年9月13日発売
というわけでマリオテニス自体は5歳。マリオの歴史から見れば比較的若いタイトルだということが分かる。いずれも開発はキャメロット。そしてその中枢で指揮をとるのが高橋宏之氏と高橋秀五氏。「高橋兄弟」と呼ばれるお2人だ。高橋兄弟と言えばマリオゴルフシリーズ、モバイルゴルフなども手がけてきたスポーツゲームのプロフェッショナルである。本作には彼らが手がけた過去の作品と同様にスポーツゲームの楽しさがぎっしりと詰まっている。
AとB、ときどきR!
本作の基本的な操作は、極めてシンプルなもの。簡単な操作で奥深いラリーが楽しめる、というのがシリーズ共通の売りである。ベースはマリオテニス64の頃から変わっていない。Aがトップスピンショット、Bがスライススピンショット、A+Bでフラットショット。その他、AとBの組み合わせで強めのショットや、ドロップショット、ロブショットなどを打ちわけることが可能だ。
AとBのショットの違いさえ把握していれば(究極的には把握していなくても)ひとまずプレイすることはできる。初めてプレイしたひとでもかなり直感的に遊ぶことができるだろう。キーレスポンスは非常に良好で、コート内を右往左往しながらラリーを続けているだけでも楽しい。
加えて本作には、マリオテニスGCから導入されたスペシャルショット(以下、SS)という要素がある。マリオテニス64、マリオテニスGBは前述したシンプルな操作を駆使した熱いラリーが好評を博したのだが、マリオテニスGCではハードの進化に伴った形で派手なエフェクトのSSを利用した新たな駆け引きが加わった。その流れを汲んで本作でもSSの応酬が楽しめる。キャラクターごとに異なる効果を持つ超絶ショットを繰り出すことができるのだ。
これを出すためには基本的にはRを押しながらAもしくはBでショットしなくてはならないのだが、「そうさオプション」(「かんたん」「ノーマル」「テクニカル」から選べる)で「かんたん」を選択すれば、Rを押す必要がないので、その点初心者も安心だ。
マリオテニスGCでは、SSの存在が非現実的である点が賛否両論を巻き起こしたようだ。確かにリアルなテニスとはかけ離れたプレイになってしまう点は否めないが、SSに対するSS返しや、相手のSSの特性を理解したうえでの対処などが新しい戦略を生み出している点を個人的には高く評価したい。ただのテニスゲームではなくて“マリオテニス”というひとつのブランドとして、独自の面白さを追求している姿勢が感じられる。本作でもそれは顕著で、プレイヤーが使えるSSのバリエーションは「マリオテニスGC」以上。多彩なSSを存分に楽しむことができる。
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