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スペシャルな進化(アドバンス)を遂げたマリオテニス――「マリオテニスアドバンス」レビュー(3/3 ページ)

マリオ20歳の誕生日に「ゲームボーイミクロ」とともに発売された「マリオテニスアドバンス」。シリーズ4作目である本作は、ゲームボーイアドバンスというプラットフォームでいかなる進化、変化を遂げたのだろうか。

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ストーリーだけじゃない。充実の各モード

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 ストーリーモードによるキャラ育成がメインだと言える本作だが、その他のモードもなかなかの充実ぶりだ。まずは「エキシビション」。うれしいのは最初からマリオ、ピーチなどのキャラクターが使えること、そしてSSのありなしなど、細かい設定ができることだ。SSを駆使した非現実的なテニスを好まない人なら、ここでSSなしのシビアな試合を堪能できるだろう。またエキシビションステータスを見ると、誰が誰のどのレベルに勝ったが全て確認できる。全キャラ最高レベル制覇を目指してみるのも面白いかもしれない。

 マルチプレイによる4人対戦は今回試すことができなかったが、4人でプレイするのは面白い、というのはマリオテニス64、マリオテニスGCで十分に経験しているので、今度チャレンジしてみるつもりだ。気をつけたいのはニンテンドーDSだと通信ケーブルによるマルチプレイができないという点。ゲームボーイアドバンス、ゲームボーイアドバンスSP、ゲームボーイミクロを用意する必要がある。

 「SPゲーム」という項目は、ストーリーモードのわりと序盤で追加されるもの。ストーリー中にクリアしたミニゲームはここにどんどんストックされていく。手軽に各ミニゲームを楽しめるので、ちょっとした時間を潰すときなどに重宝するかもしれない。

 「テニスじてん」はマリオテニスGBにもあったが、本作でも健在。テニスに関するありとあらゆる用語が網羅されている。ボリュームはかなりのもので内容もきめ細やか。じっくり読めばテニスへの理解が深まり、プレイの楽しさをよりいっそう味わえるだろう。

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ファンゆえに、思うところあります

 マリオテニスファン歴5年の筆者としては、かなり満足度の高い本作ではあるが、ファンであるが故に残念に思う点もいくつかあった。

 前述のシリーズ発売日一覧を見ていただくと分かると思うが、マリオテニスGBはマリオテニス64の直後に発売されている。当時は「64GBパック」を使った連動機能があり、マリオテニスGBで育てたアレックスやハリーをマリオテニス64でもプレイできるというのが売りのひとつだったのだ。

 しかし今回はどうだろう。マリオテニスGC発売から約1年が経過し、ようやくファン待望のアドバンス版登場。マリオゴルフシリーズはゲームキューブとゲームボーイアドバンスの連動があったので、テニスだってGBAケーブルによる連動ができるだろう、と期待していた筆者にとって、本作の“連動なし”は少々残念だったと言わざるを得ない。

 また、ジュニアからアイランドオープンまで、人間キャラがかなりの人数登場する本作において、基本的に打ち負かした相手がエキシビションで使えるようになる、というのは楽しいことなのだが、「ちょっと人間キャラが多すぎる」と思ったのも確か。それよりもマリオ側のキャラをもっと増やしてほしかった、というのが率直な要望だ。

 個人的にマリオテニス64などでキノピオを愛用していたので、キノピオにはいてほしかったし、ワルイージがいるのにワリオがいないなど(これはまあドンキーコングとクッパとかぶるので止むを得ない気もするが……)気になる点は多々ある。

 わがままかもしれないが、プレイ中のポーズ機能もぜひつけてほしかった。携帯ゲーム機のタイトルである以上は、いついかなるときでも中断できるような配慮がほしい。外に持ち出してプレイしていると、まさに今いいところ! というときに移動しなくてはならなくてミスってしまったことが何度かあった。

 一部のSSトレーニングが異様に難しいのも気になった。確かにあまりにも簡単すぎれば作業になってしまうので、さじ加減というのは本当に難しいところだとは思う。それにミニゲームにもよるのだが、難易度の高さに辟易してしまうケースは間違いなくあった。何らかの救済措置があればよかったのに、というのは甘い考えだろうか。

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魅惑のマリオテニスを持ち歩こう

 とまあ、そんなわけで個人的に残念に思った部分もあるにはあったが、私見としては「ゲームボーイアドバンスのスポーツゲームとしてはかなりトップランクに位置する良ゲー」だと認識している。

 マリオテニスGBではグラフィックもさることながら操作の快適さにおいても、とてもではないがマリオテニス64のクオリティを再現できるはずもなかった。しかし本作は、マリオテニスGCのあのSSも含めたテニスアクションゲームとしての楽しさ、快適さをアドバンスで再現することに成功している。もちろんグラフィックスのクオリティではマリオテニスGCに大きく譲らなければならないが、ゲームボーイアドバンスソフトとしてはベストな質を提供できていると思う。

 加えてSS収集という要素が独自の彩りを本作に与えている。マリオテニスGCでも見たことのないような多種多様なSSが揃っており、それらを自由にセットできる楽しさはシリーズの他タイトルでは得難いものである。

 クリアもしたし、かなりたっぷり遊んだように思うが、まだまだやり込もうという気になる。この“やみつき度合い”はマリオテニス64の頃から変わっていない。マリオテニスGCもさんざん遊んだが、それでもたまにニンテンドー64を引っ張り出してきては、マリオテニス64を遊んでしまう筆者なのである。要するに基本的なシステムだとか気持ちよいレスポンスだとかアクション部分がしっかりできているのだ。自他ともに認めるスポーツおたくだという高橋兄弟だからこそ成し得た爽快なテニスゲーム。ただのテニスではない、マリオテニスだからこそ味わえる楽しさが、本作には濃縮されている。

 ゲームボーイミクロの登場によって再び活況を取り戻すのではないかと言われているゲームボーイアドバンス市場において、アクション好きスポーツゲーム好きならぜひチェックしてほしいタイトルだ。魅惑のマリオテニスを持ち歩こうじゃあありませんか。

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(C)2005 Nintendo/CAMELOT


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