部活や恋愛にかける青春を味わってみないか!? 「涼風」アフレコインタビュー(2/3 ページ)
「週刊少年マガジン」にて好評連載中の人気コミック「涼風」のテレビアニメ放映が開始されてから早3カ月。全26話の折り返し地点をすぎたことで、出演者たちにはどのような心境の変化が生まれているのだろうか。インタビューを敢行し、その内面に迫った。
―― それではまず、第15話までの収録を終えられての感想をお願いします。
中村 あっという間に折り返しちゃったという感じですね。あまりに早すぎて、まだ自分では何もできていないような不安な気分になったりもします。やっと現場にも慣れてきたばかりなのに、もう残り11話しかないよって、焦りみたいなものもありますね。
三橋 私もほんとに早かったなというのが実感ですね。物語の展開も早いので、余計に早く感じます。大和くんに告白されて、振って、いつの間にやら違うところでどうのこうのみたいな話の展開が15話までに凝縮されていたので。ただ、やはり最初のころに比べると、私たち演じ手とキャラクターとがリンクしてきたような感じはありますね。だから最近はすごくいい雰囲気が出てきているし、残り半分、それぞれのいい部分も表現の中にたくさん出てくるのではないかなと期待しています。物語も最終回に向けてどう進んで行くのかというのも気になりますしね。
細野 私も全放映分の折り返し地点を迎えたということを聞いて、なんて早いんだろうと思いましたね。折り返し地点だと言っているのにこんなことを言うのもなんですが、まだ収録現場などで緊張してしまったりして慣れていない部分があって……。最後までにはどうにか雰囲気に慣れたいと思います。
―― 細野さんは本作が声優初挑戦ということですが。
細野 そうなんです。なので、今は日々勉強という感じです。ブースの中という特等席で先輩たちの演技を見せていただいているわけですから、呼吸の仕方とか間の取り方とか細かなところも見えるので本当に勉強になります。15話もアフレコをしていても、まだ毎回違う発見があるんです。みなさんのいいところを少しでも吸収していこうと、そればかり考えていますね。
―― 出演者の中ではどなたの演技が一番参考になりますか。
細野 やはり出番も多ので、中村さんと三橋さんの演技をよく見せていただきます。三橋さんだと「あっ」っていう何かに気付くようなリアクションが多いので、間の取り方がすごく勉強になります。中村さんの場合はテンションの変え方ですね。今までハイテンションで叫んでいたのに、パッと落ち着いた雰囲気を出してモノローグに入ったり。あれはすごいと思いました。
―― 本作の魅力はどのあたりにあると思いますか。
細野 等身大の高校生の恋愛の形がリアルに描かれているところでしょうか。好きって言われたら好きになっちゃったり、片思いをずっとしてきて言えなかったりとか、そういう気持ちはやっぱりみんなにあると思うんです。
中村 高校生だけだと思うんですよ。「告っちゃえよ」とか「まだ早い」とか、自分の中に溜め込んで告白できなかったりとか、片想いなのに実家まで追いかけて行っちゃったりとか。そういう恋の悩みが自分のすべてになってしまうのは、中学生でもなく社会人でもなく、子供みたいな純真な部分と大人の落ち着いた部分を持ち合わせている高校生だけだと思うんですよね。行動力とハートの両方を持っている時期だし。だから、そんな時代を経験してきた大人の方も、もちろん今現在の高校生が見て共感できる作品だと思います。僕もはじめて原作を手にしたときは、こんなことがあったななんて思いながら読みました。
三橋 それに、それぞれが全力で生きているところがいいんですよね。恋愛だけに片寄らず、部活とか学校生活に対する情熱というのも描かれているところがすごく素敵だなと思います。
―― 自らが演じるキャラの魅力はどのようなところにあるとお考えですか?
中村 大和の魅力は性格ですね。普段はすごくいい加減なんですけど、一度好きな子ができると、気に入られるためならなんでも一生懸命になれる。一直線、猪突猛進みたいな、そんな感じがすごく好きです。僕はそういうことができなかったので、大和の性格はすごく魅力的に感じてしまいますね。
三橋 涼風はすごくクールで気が強いイメージがあるんですけど、実際はものすごく弱い部分や女の子らしい部分を持っている。そのギャップにすごく惹かれます。人間らしいじゃないですか。気が強いだけに恥ずかしくて他人に見せられない女の子らしい部分がある。私自身も演じながら、そんなところが好きだなと感じることがあるんです。
細野 萌果のいいところは、やっぱり大和くんにどんどんアピールしちゃうところです。一見大人しそうなのに、恋に関しては大胆なところが素敵だと思います。女の子からアピールするのってすごく勇気がいることだと思うんですよね。特に萌果みたいに大人しい子は。それを乗り越えてアピールし続ける萌果はすごいなあって感心しちゃいます。
―― 今までで印象に残っているシーンはありますか?
中村 大和が萌果に告白するシーンは衝撃的でした。告白というか、大和は萌果に「付き合おっか」って言うんですけど、僕としては収録をしながらも「付き合おっか」ってなんだよって思いましたね。言われた方はどんな気持ちがするのかなって、思わず萌果の心配をしちゃいました。というのは、「付き合おう」ならいいんですけど、「付き合おっか」は僕の中で告白にふさわしい言葉ではないなと思ったんですね。やっぱ大和なのかなとか最近の高校生もこうなのかなとか、いろいろ考えさせられてしまうシーンでした。
細野 私も同じシーンが印象に残っています。でも、私が気になったのは言葉ではなくてその展開ですね。今までは萌果が迫っていたのに「まさか大和くんから!?」っていう驚きがありました。しかもキスをして告白されてしまうという展開だったので2度びっくりしてしまいました。
三橋 私が一番印象に残っているのは、涼風が大和くんの田舎で蛍を見に行ったシーンです。涼風のもどかしいセリフが……って、そこはまだ放映されてないのでぜひ楽しみにしてください。放映されているシーンで言えば、涼風が大和と遊園地に行くところですね。涼風がすごくかわいくて、本来の涼風はああいう感じの普通の女の子なんじゃないかなというのが垣間見えてすごくうれしかったです。
―― それぞれの役を演じるときに心がけていることはありますか?
中村 大和が口に出して言うセリフは、僕も素に近い状態で演じているので特に気にはしていないんです。でも、モノローグの部分は大和が心の中で語っているわけですから、自分の中で完結されているセリフなんですよね。だから、より気持ちを込めるようにしています。ただ、気持ちは入れるんですけど、声を抑えなくてはならないので、モノローグは特に意識して演じていますね。
三橋 涼風は大和に対してキツイ言葉を投げかけることがあるんですけど、私自身も言っちゃうタイプなのでキツクなりすぎて可愛げがなくなっちゃうことがよくあるんですよ。その部分は気をつけなくちゃいけないなと思っています。演じるときには「本当はそんなこと思っていないけど、つい口から出てしまった」っていう感情は必ず持つように意識しています。
細野 私はできるだけ画面の中に自分がいるようなイメージで演じるようにしています。気持ちが画面の中に入ってれば、萌果の本当の感情が素直に表現できるんじゃないかと思って。音響監督さんにも「心を大事にして」と言われるので、感情表現の部分には特に気を使っています。
―― 三橋さんの言葉に、私自身もキツイ言葉を言っちゃうタイプというような発言がありましたが、三橋さんと涼風の性格というのは似ていたりするんですか?
三橋 似ている部分は多いと思います。好きな男の子と仲良くなっちゃうと好きと言えないとか。今さら可愛くできないみたいなところはすごくよくわかりますね。あと他の人たちに対して強い自分を演じてしまうというか、しっかりしようと思っている部分はたぶん似てるかなと。
―― 大和は恋に対して盲目的というか、猪突猛進みたいな性格をしていますが、みなさんは恋に猪突猛進な男の子というのはどうなんでしょうか。
細野 いいと思います。あまりいきすぎないでほしいですけど、そのくらい思われているのは嬉しいことだと思いますよ。
三橋 そうですよね。あれだけ一途に思われていたらやっぱり嬉しいと思いますよね。でも、それが転じて他の人と付き合っちゃうのはどうかなと思いますけど。ただ、私自身はどちらかというと思っていてもそれを見せない人の方が好きなので、ああいう風にストレートにこられたらちょっと引いてしまうかもしれないなという部分はありますけどね。
―― 中村さんは同性としてどうですか。
中村 いいことだと思います。1人の人をそこまで好きになれるのは素晴らしいことですよね。でも、やりすぎはちょっとよくない。
―― ご自身はそういう感じではない?
中村 はは、どうなんですかね。
三橋 なんだその濁し方は(笑)。
中村 ちょっとだけあるかもしれないですね(笑)。
―― では逆に、萌果みたいな一途な女の子はどうですか。
中村 なんか気持ちいいですよね。萌果が大和に突然キスしちゃったっていう第13話みたいなことがあったら、そんなに意識していなかった女の子でも次に会ったときから絶対気になりますよね。
細野 その話はアフレコ現場でも大騒ぎ。
三橋 女性陣は“信じられない、それだけで好きになっちゃうの?”って。でも男の子は“いやあるでしょう”って、大討論ですよ。
中村 でも、今まで仲の良かった子が突然そんな風にしてきたら好きになっちゃいますね、僕だったら。
三橋 簡単だなぁ(笑)。
―― では、同性から見て萌果みたいな女の子はいかがでしょうか。
細野 自分がそんなに一途になったことがないので、そんなにアピールしてすごいなと感心してしまいますね。
三橋 私は好きになったら自分からどんどんいくタイプなので、萌果の気持ちはものすごくよくわかりますね。ただ、あそこまで大胆にはなれないですけど。あんなに大人しそうなのに、意外と大胆っていうのは男の子は好きなんだろうなという気はします。ね?
中村 だって可愛いもん。好きになっちゃいますよ、絶対!!
―― では、今後の展開で気になる部分はありますか?
中村 僕個人としては、やはり大和が気になりますね。萌果の思いが通じて、大和と萌果は付き合い始めたんですけど……。でもやっぱり大和は涼風のことが好きなままなんですよ。これから萌果と大和の関係はどうなっていくのかな、2人はうまくいくんだろうか。
三橋 私はどちらかというと涼風と萌果はどうするんだろうというほうが気になります。
細野 気になりますよね。今までもそんなに仲良く話しているシーンはないし、意外と涼風と萌果がしゃべる時ってものすごく緊張感があるんですよ。
三橋 仲良くやっていると思ったら結構敵対心むき出しなんですよね。この先ほんとにどうするんだろうと……。
中村 しかもその間に挟まれた大和はどうするんだろう。羨ましいですけどね。
インタビューは次ページに続く
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