狙ってるのか、本気なのか。ゲーマーを震撼させる衝撃作:「高速機動隊 World Super Police」レビュー(4/5 ページ)
良作か、はたまた駄作か。これほどまでにその判断を右へ左へ揺さぶるゲームって、いったい何なのだ。いつまでも結論が導き出せないままに、とうとう最後まで遊んでしまうなんて……。
唐突さ、支離滅裂さが、不条理な笑いを誘う
発表当初からこの「高速機動隊」に関心を寄せた理由は、フォーメーションを駆使しながらのカーチェイスもさることながら、多彩な登場人物によって人間模様がどのように描かれるのかに興味があったから。ふたを開けてみれば、アメリカ編(レッドホーク)のシナリオ追加によって登場人物はさらに増えたが、人間関係はかなり淡泊。キャラクターデザインがよくできているだけに、これはもったいない。
そもそも、ストーリー展開があまりに唐突すぎて置いてきぼりを食うし、中盤からは何やらサイバーパンクな雰囲気まで漂わせ、あらぬ方向へと走り出してしまう。「光天」だの「ボロゴーブ」だのと、集団や組織がポンポンと出てくるものの、その実態や関係性がほとんど語られないままに話が進むので、もう何が何だかわやになる。
それ以上に、隊員たちの支離滅裂な会話が鮮烈なインパクトを醸し、本来ならシリアスな場面のはずが吹き出さずにいられなくなる。このゲームをプレイしていると、そんな迷場面、迷台詞の数々に幾度も遭遇すること必至なので、ブリーフィングは飛ばさずに全部見るべし、である。
また、ミッションを進めるにつれてチームに配属される隊員たちも増えていくが、アメリカ編での登場シーンは特にすごい。
ユン:新しい隊員が配属になったわよ。
アイリーン:よろしくね。
ベルマ:みんな、よろしくね!
バーナード:バーニーと呼んでください。
あっさりしすぎ……。いやいや、もうちょっと語り合おうよ。どういう経緯で隊員に志願したのかとか、何が得意かとか。安易に恋愛要素などを盛り込んでほしくはないが、せめて隊長(プレイヤー)と隊員たちとの信頼関係の構築を描くなり、それがゲームの展開にも何らかの形で作用するなどのひねりがほしいと思う。
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