暴力と犯罪がはびこる暗黒街は変装パラダイス:「ビートダウン」レビュー(4/5 ページ)
たとえ主人公の刺々しいルックスが相容れられなくとも大丈夫。服装から顔つきまで、容姿は何もかも思いのままに変えられる。バイオレンスとダーティーな世界観ばかりが取り沙汰される「ビートダウン」だが、実は変身願望をとことん満たすゲームだった?
変装のおもしろさがターニングポイントに
全般的に暴力描写が強めに感じられることや、プレーヤーキャラへの愛着がわきにくいところが私にとってはネックになり、序盤は必要最小限の戦闘にとどめた消極プレイに終始していたが、“変装”のおもしろさに目覚めるや、ようやくエンジンが掛かり始める。
このゲームにおける変装は、警察やマフィアから発見されにくくすることが本来の目的。画面上には、警察とマフィアに正体がばれる危険度がパーセントで表示されていて、派手に動き回るほどその危険度は増してゆく。そして、これが100%の状態では確実に相手に見つかってバトルになる。それを回避するべく、別の服に着替えるなどして敵の目を欺くというわけだ。
画面左上のパーセントで示された数値が、警察やマフィアから発見される危険度を示している。この数値が100%になると、路上で出くわしただけでも有無を言わさず戦闘になる。また、警察の数値が100%の状態では、警察官がパトカーで駆けつけて逮捕しようとすることも
この変装関連の凝りようが、とにかく並外れている。まず、街の古着屋などで手に入る服が驚くほど多種多様で、トップとボトムをそれぞれ自由に組み合わせた着こなしができる。アクセサリーショップでは、帽子やサングラス、ネックレスなどが手に入る。さらには、理髪店で髪型を自由に変えられるほか、病院や診療所では顔の整形やタトゥーを入れることまで可能。これらを組み合わせれば、もはや元の面影など微塵もなくなるほどに別人へと変身できてしまう。
プロレスゲームのエディットモードにも近いが、衣服などのデザインやモデリングがどれもハイクオリティで、しかもこれだけ膨大なアイテムの組み合わせがありながら、よくキャラクターのビジュアルが破綻しないものだと感心させられた。
いろいろな服を着せてみたい……。これがモチベーションとなって、「ネゴシエーション」→「金を奪う」を繰り返し、アイテム購入の資金作りに精を出す。また、店で売られているアイテムの種類を増やすには、ほかのキャラクターから情報を聞き出さなければならないとわかり、「ネゴシエーション」→「情報を吐かせる」も多用。さっきまで人目を避けるように行動していた私のレイヴンは、突如、人が変わったように暴れん坊になってしまった。こういうのめり込み方をしたときの自分は、きっと傍目から見ても怖いだろうな、と思う。
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