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ビジネスとエンターテインメントの両立「三國志」ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(1/3 ページ)

シミュレーションゲームはプレー時間が長い。光栄(現・コーエー)の「三國志」を取り上げようと思ったが、プレーしているうちに1日、2日……。原稿を書く時間も少なくなったが、暇を見つけて赤壁まで行ってきた!

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赤壁へ行ってきた!

 今回取り上げるのは、光栄(現・コーエー)の「三國志」。

 この連載では毎回、そのゲームにゆかりの深い場所(多少こじつけもあったけど)で撮った写真を掲載してきたが、今回は何と、あの赤壁まで行って撮ってきた。

 Wikipediaによると、赤壁といっても、孫権・劉備連合軍が曹操軍を破った赤壁と、後年、蘇軾(そしょく)が「赤壁賦」を作った赤壁は、違う場所らしい。

 で、私が行ったのは、そのどちらでもなく……、

 長瀞(ながとろ)ライン下りで有名な、秩父赤壁である。

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紅葉の見頃と祝日が重なったので、この日は観光客が多かった。秩父鉄道長瀞駅からすぐ

 このように、秩父の岩肌にも“赤壁”という名前がつくくらい、三国志は日本に深く根づいている。

 中華街にある「関帝廟」というのは、三国志の関羽と関平、周倉をまつったものだし、「三顧の礼」「危急存亡のとき」など、三国志に由来する故事成語も多い。

 新しいところでは、安達祐実さんとスピードワゴン井戸田さんが、おつき合いするきっかけの1つになったという話もある。

 三国志が日本人に知られるようになったのは、吉川英治氏の小説や、横山光輝氏のマンガなどによるところも大きいのだろうが、コーエーの「三國志」をきっかけに、三国志を知った人々も多いだろう。

 ちなみに私は、NHKの人形劇から入ったクチだが、やはり本格的にハマったのはゲームから。

 人形劇は途中からしか見ていなかったので、ゲームに出てくる呂布とか袁紹とか太史慈とかが、どんな人だったのだろうと興味を持ち、岩波文庫の「完訳三国志」を全巻読んだ。

コーエーにはスーツがよく似合う

 「三國志」は、中国の古典文学「三国志演義」(三国演義)に登場する君主の1人となって、他の君主たちと中国の覇権を争うゲームである。

 単に他国と戦争するだけではなく、領国を経営して、武将や兵士を雇ったり、兵糧や武器を買ったりするための資金を捻出しなくてはならない。領民の信頼を得られなければ、多くの資金を得ることもできないし、下手すると領民が反乱を起こすことすらある。

 政治や経営にたずさわる人の中にも、“民がいてこその政治家”“顧客や社員がいてこその経営者”ということが、感覚的に理解できない人もいるようだ。「三國志」や「信長の野望」をプレーすると、民の信用を得ることがいかに大切か、自然と身につくようになる。

 コーエーのゲーム、特に“歴史三部作”(三國志、信長の野望、蒼き狼と白き牝鹿)は、エンターテインメントでありながら、同時にビジネスのにおいがする。

 実生活で役立つソフトでありながら、エンターテインメントとしても優れている。この2つの要素を両立させるのは、なかなか難しいことだと思うが、これらのゲームは無理なくそれを成し遂げている。

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スタート時の時代設定を5通りから選べる。これは董卓が実権を握った頃。反董卓連合軍は有名無実化し、各地に小さな勢力が点在する状態

 そういえば、コーエーというメーカーは昔から、「ゲームメーカーなのに、普通の会社っぽい」気がしていた。「コンプティーク」誌で得た知識(しかもうろ覚え)なのだが、昔からコーエーには社訓があり、社員はスーツを着て仕事をしていたらしい。

 通常、私はメーカーの人が、ゲームショウなどファンと接する場で、スーツでうろうろしているのを見るのがあまり好きではない。“ハレ”(非現実、祭り)の世界から、“ケ”(現実)の世界に、いきなり引き戻されるような気がするからだ。

 でもコーエーなら別段、気にならない。むしろ、スーツであってほしいとすら思う。

 昔から、普通の会社っぽいことがコーエーというメーカーのキャラクターであり、またそれが、コーエーのゲームのイメージとも、よく合っていると思うのだ。

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