新しき血の導入――既存のイメージを覆した意欲作に思わず脱帽:「biohazard4」レビュー(1/3 ページ)
2005年1月27日にゲームキューブ版として発売された同名タイトルの移植作。PS2に移植するにあたり、様々な要素が追加された。今回のレビューでは、PS2版の新要素のみを取り上げるのではなく、「biohazard4」としてゲームすべての要素に注目してお届けしよう。「4」をまだ遊んでいない人、すでに「4」を遊んだ人それぞれにおくる、注目してほしい箇所も挙げておくので、ぜひ参考にしてほしい。
新たな「恐怖感」を与えるための、シリーズとしての斬新さ
バイオハザードシリーズの最大の特徴は、なんと言ってもプレーヤーに与える「恐怖感」。この恐怖を味あわせるために、従来のシリーズでは様々な手法が用いられてきた。しかし、過去のシリーズはシステムが完全に同じ流れを踏襲しており、その部分を不満に感じ、または慣れる事ができずにシリーズを遊ばずにいた人も多い事だろう。
シリーズの大きなポイントとしては、「敵はゾンビを中心とした異形の者」、「マップ内は固定カメラ(例外もあり)による移動」、「セーブ回数の制限」などが挙げられる。今作「4」は、それらを含めシリーズのシステムを一新し、かつバイオらしさを失わせないという意欲作となった。それらの要素を紐解いていこう。
システムは新しいものを取り入れたが、ストーリーは「baiohazard2」の流れを汲んでいる。主人公は「2」と同じく“レオン・S・ケネディ”。他にも“エイダ”など、「2」に出てきた人物が登場する。写真は“ルイス・セラ”。本作で初登場となる人物
視界を狭める「ビハインドカメラ」による緊張感
最大の変更点とも言えるのが「ビハインドカメラ」の採用。レオンの背後から映す一人称視点は、シリーズの流れを変え、新しい操作感覚を与える事になった。この「ビハインドカメラ」により、後述する「狙い撃ち」のシステムが活きる事になる。「ビハインドカメラ」は、常にレオンの背中が見えているうえ、画面上下が切れていることによって視界がかなり限られている。これにより、敵がどこから出てくるかわからない「不安感=緊張感=恐怖感」を得ることができる。
「視界を狭めて緊張感を煽る」というのが、制作側の狙いだとすれば、これは間違いなく大きな効果を出していると言えるだろう。見えてない位置から襲われる事により、今までのシリーズとは違った感覚の怖さを味わえる。また、この「ビハインドカメラ」によって、操作感覚も従来のシリーズとは一線を画す事となった。
今までカメラアングルが切り替わるため、操作が難しいと感じていたユーザーには敷居が低いかもしれない。また、ネットワークゲームの浸透により、FPS(ファーストパーソン・シューティングゲーム=一人称視点のゲーム)に慣れているユーザーにも、入りやすいと言えるだろう。逆に一人称視点に慣れていない人や、アクションゲームの苦手な人には取っ付きにくい印象を与えるかもしれない。しかし、ゲームをプレイしていれば、自然に慣れる事ができる。
画面上下は常に切れているため、見える範囲に制限がある。この制限による緊張感は、プレイをしないと味わえないだろう。また、ワイドモニターに対応しているので、設定を変えれば通常より広く見ることが可能で、より臨場感を与えてくれている
「フリーターゲット」で敵を狙い撃つ爽快感
前述の「ビハインドカメラ」の搭載により、敵を倒すための「オートターゲット機能」は排除された。そのため武器を構えると赤いレーザーポイントが表れ、プレイヤー自身が自由に照準を合わせる「フリーターゲット」になっている。従来のシリーズならば、新しい部屋に入った時に武器を構えるとオートで敵方向へ向いていたが、今作ではそのような事がないために、どこに敵がいるのかわからない恐怖感があるのだ。「フリーターゲット」になった事により、より正確な射撃が要求されるようになり、敵が近づいてくるのに照準が合わない時などは、今までになかった焦燥感を醸し出すことになる。
「フリーターゲット」の最大の特徴として、“自分で狙った場所を撃つ事が可能”という事が挙げられる。これにより、敵の頭部などの急所を意識的に狙う事ができ、より戦略的なプレイができるようになっている。敵の足を狙い撃ちし、相手を足止めしている間に横をすり抜けるなどといった方法や、こちらに気付いていない遠くの敵を狙い撃つ事も可能。この「フリーターゲット」によって、従来のシリーズになかった新たな緊張感と爽快感を与えてくれている。
敵が近づいてくる時に、頭部に照準を合わせ、ギリギリまで引き付けて最大の威力にした弾丸をぶちあてるのは、“爽快”の一言に尽きる。シリーズ同様、弾数に限りがあるので、いかにピンポイントで撃つかが、攻略のカギになってくる。しかし、すべての場面で落ち着いて狙い撃てるわけではないので、臨機応変に対処
「アクションボタン」で、自由度を高めた操作感
通常、コントローラでできる操作は、従来のシリーズに近いものになっている。ナイフはその都度武器を持ち帰る事無く、L1ボタンを押すことですぐに出す事が可能と、かなり利便性が向上した。しかし、今作では「アクションボタン」を搭載した事により、さらに多くの操作をする事が可能となっている。従来のシリーズならば飛び越える事のできなかった柵や、窓などがボタン1つでアクションできるようになったのだ。
これは、どこでもできるのではなく、決まった場所に近づく事によって、画面下部に可能アクションが表示される。その場でボタンを押せば、その状況に応じたアクションを起こせるというわけだ。この操作によって、移動時のストレスが軽減され、敵との戦いにおいても新たな戦略性を生むことになった。このアクションボタンの搭載は、コントローラにそれぞの操作を割り当てていないことで、複雑な印象はまったくない。さらに、操作の幅を広げているため、かなり大きくゲームの快適さとプレイの楽しさを与えてくれた。
イベントシーンなどでは、アクションボタンによる操作を行なわなければいけいない場面もあり、気の緩む瞬間が無くなった。従来のシリーズと違い、イベントシーンでも、コントローラを手放す事無く、常に画面に集中する事が必要になる。しかし、その緊張感は、今までのシリーズでは味わえなかったものだ
無防備な「アシュリー」を、高い知能を持った敵から守り抜く醍醐味
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