新しき血の導入――既存のイメージを覆した意欲作に思わず脱帽:「biohazard4」レビュー(2/3 ページ)
2005年1月27日にゲームキューブ版として発売された同名タイトルの移植作。PS2に移植するにあたり、様々な要素が追加された。今回のレビューでは、PS2版の新要素のみを取り上げるのではなく、「biohazard4」としてゲームすべての要素に注目してお届けしよう。「4」をまだ遊んでいない人、すでに「4」を遊んだ人それぞれにおくる、注目してほしい箇所も挙げておくので、ぜひ参考にしてほしい。
無防備な「アシュリー」を、高い知能を持った敵から守り抜く醍醐味
本作の主目的となっている大統領の娘「アシュリー」の救出。本編中では、アシュリーと行動を共にする場面もある。一緒に動かなければいけない時のアシュリーは、プレーヤーにとっては足枷のなにものでもない。敵は真っ先にアシュリーを連れ去ろうと近づいてくるためだ。
しかし、そのアシュリーを守り抜き、また多くの場面で共に力を合わせて先に進む時は、プレーヤーに新たな感覚を与えてくれるだろう。従来のシリーズではなかった、守り抜くという行動理念は、今までにない戦略を要求される場面もある。それらを越えた時の安堵感は、実際にプレイして感じ取ってもらうしかない。
また、本作に出てくる敵は、バイオシリーズでお馴染みとなっている「ゾンビ」ではない。うめき声を挙げていただけのゾンビと違い、武器を使い、知能もある。家に入ってもドアを開けて入ってこようとするだけでなく、ハシゴを使い2階の窓から入ってくる場合もあるのだ。敵の行動力はかなりのもので、最初のうちは圧倒されるかもしれない。いかに敵との駆け引きをこなし、先へ進むかが本作の攻略のカギとも言える。また、前述した通り、敵はアシュリーをさらう事を主とする場面もあるため、臨機応変に戦い方を変える必要性もあるのだ。アシュリーとの行動、新たな敵の行動力、これらを乗り切っていくことが「4」の醍醐味と言っても過言ではない。
レオンの目的である「アシュリーの救出」。武器を扱えるわけでもない無防備なアシュリーと行動を共にし、敵から守り抜いていかなければならない。しかし、一部の場面では、アシュリーにも頑張ってもらわなければ先に進めないことも!?
武器のカスタマイズをさせる試みと、セーブ回数に制限をつけなかった大英断
さらに多くの新要素が入っているが、大きなところでは「武器商人」と「セーブとコンティニュー」が挙げられるだろう。武器商人は本編中に手に入れたお金(Peseta)を使う事で、様々な商品を買う事ができる。ショットガンなどの武器も売っていれば、宝の地図やアタッシュケースなど特殊な商品も扱っている。お金を増やすには、敵を倒すか、マップ中に落ちているものを拾う、もしくはスピネルなどのお宝を売るしかないため、いかに効率よく買い物をしていくかが重要と言える。また、武器商人はカスタマイズもしてくれるため、どの武器の何を強くするかを考えていかなければ、すぐにお金が足りなくなってしまう。この辺も戦略性として考えさせられる部分だ。
そして、なんと言っても「セーブとコンティニュー」は、既存のシリーズと完全に一線を画すものになった。バイオシリーズと言えば、「インクリボン」というアイテムによって、セーブ回数に限りがあるのが常。そのセーブをどこで行なうかが、かなり重要な要素となっていたが、本作ではセーブ回数に制限はまったくない。タイプライターに近づき、調べるだけでセーブができるようなっており、何度でも可能だ。
また、レオンが倒れる、アシュリーが倒れる、アシュリーが連れ去られるなどの状況になるとゲームオーバーになるが、この時にコンティニューができるようになった。しかも、回数に制限がなく、コンティニューした場合はその直前の状態から始まる。これにより、生きるか死ぬかの極限を味あわされる部分が希薄になったのは否めない。セーブにしてもコンティニューにしても、回数がいくら増えても隠し要素に絡むペナルティーになるような事はなく、ただ記録として残るだけなのだ。あとは、プレーヤー自身に委ねられていると言える。
新要素として搭載された武器の「カスタマイズ」。一種類の武器だけに拘って強化するもよし、まったくいじらず初期状態のまま進めるもよし、プレイヤーの自由にカスタマイズできることで、遊びの幅を広く持たせている
セーブ回数に制限がなくなったのは、賛否両論あるのかもしれないが、個人的には賛成。本作のボリュームは既存のものよりも圧倒的に厚みを持っていることを考慮すれば、回数に制限を持たせてしまう事で、遊びの方向性がぶれてしまう可能性もあったかもしれない。また、イベントでのアクションや、強大な敵との戦闘も考えれば、今回の決断は正しかったと言えるだろう
既存のバイオシリーズを脱却した「4」をプレイすべし
この項では、シリーズ未プレイのユーザー、もしくは、過去のシリーズは触っているが「4」をまだ遊んでいない人への指標を書きたいと思う。まず、従来のバイオシリーズとは、確実に違うゲームになっている事を理解してほしい。
「ビハインドカメラ」と「フリーターゲット」という2つの大きな新機軸は、新たなバイオの楽しみ方を提供してくれている。今までと違い、自分の視界に近い視点から見えていない敵が、突然背後から襲ってくる恐怖を体験してほしい。また、音声をステレオで聞いていれば、敵の荒い息が右だけから聞こえてくるなどの視覚だけでなく聴覚も刺激する緊張感は相当なものだ。そのためには、ぜひヘッドフォンをしてプレイすることをオススメしたい。
「バイオシリーズは難しい」や「アクションゲームが苦手」という人にもぜひプレイをしてほしい作品。セーブ回数に制限はないうえ、コンティニューもできる。もし腕に自身がないなら、PS2版に新たに搭載された「AMATEUR(アマチュア)」ランクでプレイしてみるのもいいだろう。難易度はかなり低く設定されているが、ストーリーは変わらないので、「4」を存分に楽しめると思う。そして、過去のシリーズを遊んできた人には、絶対にプレイをすることをオススメする。新しいバイオハザードを存分に味わいつつ、「2」からの伏線を堪能してもらいたいと思う。また、バイオらしさは、間違いなく残っているので、テイストや雰囲気に関しては問題ないだろう。
「AMATEUR」ランクでプレイすると、最初からショットガンを所持している。その他にも、「敵の数が少ない」「敵の体力が低い」「回復アイテムが出やすい」「レオンの耐久力が高い」など、NORMALランクとの違いが見られる
PS2版専用モード「the another order」は、GC版「4」を遊んだ人こそプレイすべき
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