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レボリューションのコントローラにはまだ秘密がある――「ゲームデザイン・テクノロジーの今と未来」国際シンポジウム「インタラクティブ・エンタテインメントの歴史と展望」:(2/3 ページ)

12月2日、京都の立命館大学衣笠キャンパスにおいて開催された「インタラクティブ・エンタテインメントの歴史と展望」の第2部では、「ゲームデザイン・テクノロジーの今と未来」と題して任天堂の宮本茂氏やコナミの小島秀夫氏が登場した。

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 インタフェースの変化は次のスーパーファミコン(以後、スーファミ)にも起きる。ボタン2つから一気に6つに増えたのだ。しかし、あくまでも宮本氏の中では十字キーとA、Bボタンでしかなく、XとYボタンはその名称からも別グループと差別化しているという。また、スーファミ開発当時、アーケードで人気を博していた「ストリートファイターII」の影響もあり、より複雑化していくコントローラに抵抗する意味もこめ、LとRボタンはあえて上部に付け、手をそえて使えるようデザインされた。宮本氏曰く「人は意外と慣れます」ということらしい。

 スーファミでは回転するCellが加わったことにより、LとRボタンを使うことで「マリオカート」であったり「F-ZERO」のように、十字キーと組み合わせることで、自分の体感でさらに右へ、さらに左へという入力をデジタルに分けることができるようになった。これを使わない手はなかったのだそうだ。ちなみにバーチャルボーイを例に出し、左右に十字キーとABボタンを配置するチャレンジをしたが、広がらなかったと残念がる。

 さらにニンテンドー64では、3Dを本格的に使うゲームのためにインタフェースがデザインされることになる。どうしても360度自由に動ける入力が欲しいと、Cユニットと呼ばれる、カメラをまわすことにも使えるもうひとつの十字キーのようなものが取り付けられた。さらにコントローラ中央にアナログスティック、その裏側にZトリガーが配置された。スタートボタンも1つとなりすっきりさせたが、なぜか残された十字キーについては、「過去のユーザーを捨てきれない任天堂の“いさぎわるさ”を表している」と茶目っ気を見せてくれた。

 だんだん複雑になるコントローラに対して、ゲームデザインもより複雑化していく。過去のユーザーには、より新しいことをやって楽しんでほしい、しかし、新しいユーザーにも遊んでほしい……。このような葛藤から、コントローラそのものも、過去のものを捨てないように、はじめて遊ぶ人にはできるだけシンプルに理解してほしい、という悩みが広がっていったと宮本氏。

 ゲームキューブでは、Aボタンを大きく強調、それだけで楽しめるゲームデザインを推奨。LRボタンにアナログ機能も取り付けられている。また、ゲームボーイアドバンスを4台繋ぐゲームボーイコネクティビティ機能にもチャレンジしている。

 やはりどうしても複雑すぎるインタフェースに、原点に返ろうとはじまったのがニンテンドーDSのプロジェクトだった。ニンテンドーDSは、「nintendogs」の例を挙げるまでもなく、今までゲームに関心を示さなかった女性層などを取り込んだ。それというのも、ペン入力や音声識別、ワイヤレス通信など、インタフェースをダイレクトにわかりやすくした点が最大の効果を生んでいる。犬をペンで撫でることができ、呼びかけると反応が帰ってくる。通りすがり通信による他ユーザーとのコミュニケーションも斬新だった。

 ペン1本で遊べるということも、やはりそのうち「慣れる」もので、現在さまざまなゲームデザインに訴求している。

 こうした試みは次世代機・レボリューションの特徴とも言える、リモコン型のコントローラへと引き継がれる。第1部で岩谷氏が予測するビデオゲームの将来像とは異なりますがと前置きをし、任天堂はお茶の間にビデオゲームがあるという前提のもと、そこに何があったら楽しいのか、また家族全員が触る可能性があることから、普段使い慣れているリモコンという形を採用したと説明する。このリモコンに接続する追加インタフェース“ヌンチャク”などにより、既存のゲームもより遊びやすく、かつ新しい取り組むことができるのではないかと提案する。

 「実はこのリモコンには、まだ秘密があるのですが、それは来年公開ということで(笑)」と、いたずらっ子のように笑いながら宮本氏はリップサービスする。ここまで言うからには、なにかしらのサプライズが隠されているに違いない。ヌンチャク以外の追加インタフェースや、存在だけは明かされている既存のコントローラに近いインタフェースなのか……。想像はふくらむばかりである。

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