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インタビュー

一歩先を行く「アフォーダンスデザイン」を意識したのがXbox 360プロジェクト「Xbox 360」(4/5 ページ)

12月10日に発売される次世代機Xbox 360。このデザインに日本人がかかわっていることは、ご存じの方も多いと思う。その当事者であるハーズ実験デザイン研究所の村田智明氏に、Xbox 360のデザインコンセプトなどについて話を聞いた。

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 わたしは最近「METAPHYS」というデザイン・コンソーシアムを立ち上げたんですが、そこでは「アフォーダンス(affordance)デザイン」を意識しています。いわゆる「ユニバーサルデザイン」では、分かりやすくするために文字を大きく書いたりしますが、それは嫌いなんです。ユニバーサルデザインの次を行くデザインでは、逆に文字は書かない。文字を書かないでどこまで人を“afford”(導くことが)できるのか。そこを目指さないといけません。

 Xbox 360に、ほとんど文字が描かれていないのはこのためです。くぼみを用意することで、(電源を入れるために)人は自然に手をそこへ持って行く。感覚的に分かるわけです。加えて、電源ボタンは何回もさわるから汚れやすいですよね。このため、ボタン部分は光沢処理をして、ふきやすいようにしています。アフォーダンスデザインを実践しているわけです。人が次にする行為をあらかじめ読んでおくのが、新しいデザインのあり方だと思いますね。

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 ちなみに本体以外のデザインはAstro Studiosの担当で、わたしはタッチしていません。コントローラーはどちらかというと、自然にできた形ではなくて、わざと作ったものになっているような感じがします。Xbox 360本体は自然にできあがった形、と理解していただいてかまいません。上下に金属のプレートを配置して、プレートの周りに布をはってテンションをかけると、くぼみますよね。ジャージニット系の素材だったら、すーっとシュリンクするはずです。Xbox 360は有機的でありながらも、自然な形になっているわけです。そこに非常にこだわりました。

 この発想は、海外では無理でしょう。オーバーデザインになってしまいます。そしてそうなると、日本人には鼻につく。微妙なところですが。

――そういえば、Xbox 360もそうですが、METAPHYSブランドの「HONO(電子キャンドル)」にしても、LEDを効果的に使われていますね。

村田 いまはだれでも対応していますが、もともとエンジニアなんで、デューティコントロール(注:LEDの消費電力をコントロールすること)とか、LEDは得意ですね。「ギミックインタフェース」と呼んでいるんですが、いままでのインタフェースじゃなくて、何かそこに“触感的な感覚”を入れ込むためには、LEDは非常に扱いやすいデバイスです。

 Xbox 360のリングオブライトでも、バリエーションとして、赤や青、黄、緑が同じ円の中で混じり合って光る、というものもあったんです。2つのコントローラーでプレイしているときに、たとえば黄色と赤が混じり合って、その中間がオレンジ色になっていたり、と。その案も有力だったんですが、コストの問題が大きくて、緑一色になりました。技術的にも難しかったですし。まんべんなく光らせようとすると、導光管のための奥行きが必要になるうえに、混ざり合うのも難しくて。モデルでは表現できたんですが。しかしモデルにはメカが入っていませんから、5センチくらいの導光管をそこでは使えても、1センチにも満たない実機のスペースには収まらなかったですね。ただ、最終形はこれでよかったと思っています。

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