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短期でなく、長期的な視野で日本市場に取り組んでいる――ピーター・ムーア氏インタビュー2006 International CES(2/2 ページ)

CES 2006で、Xboxのキーマンであるピーター・ムーア氏にインタビューする機会を得たので、HD DVDサポートに関することや、低調な滑り出しとなった日本市場に対する展望などを聞いた。

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前回の失敗は繰り返さない。日本市場はマラソンのように長期的な展望で望む

――アメリカやヨーロッパではXbox 360は非常に好調なセールスを記録しているようですが?

ムーア アメリカやヨーロッパでは、とても大きな期待を受け、過去に発売されたゲーム機でも例がないほどの売れ行きを示しています。需要に供給が全く追いつかないという状況です。そのため、Xbox 360を買い、店を出て駐車場まで歩いて行く間に、銃を突きつけられて奪われるという事件が起きているほどです。とにかく、ゲーム機の象徴になりつつあります。これは、iPodの場合と似ています。ニューヨークなどでは、白いヘッドフォンをターゲットとした強奪事件が多発しましたが、それは需要に供給が追いつかないほどiPodが売れたからです。もちろん、今後そのような事件が起きないように、我々はできる限り多くのXbox 360を出荷するように努力していきます。

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――それに対して、日本市場ではかなり苦戦しています。

ムーア やはり、本体と同時発売のタイトルが6本しか用意できなかったというのが大きな要因だと思います。特に、「DEAD OR ALIVE 4」の遅れは影響が大きかったでしょう。しかし、Xbox 360では長期に渡ったソフト供給体制を整えていて、坂口さんの「ブルードラゴン」をはじめ有力なタイトルが今後継続して提供されていきます。これは初代Xboxとの大きな違いです。確かに出だしは低調でしたが、今後に大いに期待しています。

――日本市場では、ある程度タイトルがそろう時期まで発売を見合わすべきだったと思うのですが、そういった選択肢はなかったのでしょうか?

ムーア 我々は、2005年にXbox 360をグローバルローンチ(世界同時発売)させるという戦略を取っていました。日本は非常に重要な市場ですから、戦略上日本での発売をずらすという選択肢はありませんでした。また、マーケティング的にも、年末商戦に合わせるということは非常に重要なことです。

 もともと日本では、12本の同時発売タイトルを用意することになっていました。結果的に6本となってしまいましたが、DEAD OR ALIVE 4が発売され、今後「ナインティナインナイツ」やブルードラゴン、「ロストオデッセイ」、その他有力タイトルがさまざまなパブリッシャーから続々登場してきます。日本市場では、短時間での成功を目指しているのではなく、長期的な戦略で日本市場に取り組んでいます。今後も日本市場に対して高い優先度で取り組んでいくつもりです。

――ただ、新ハードの滑り出しは重要ですし、そこでそのハードに対する印象が大きく変わってくると思うのですが?

ムーア アメリカでは、初代プレイステーションは発売後1年ほど非常に厳しい状況でした。しかし、「ファイナルファンタジー」シリーズや「Madden Football」などの有力タイトルが登場するようになると、一気に売り上げが伸び、現在のような状況にまで成長したのです。ですから、出だしが低調だったとしても、それですべてが決まってしまうわけではありません。今後、有力タイトルが登場してくれば、状況も変わってくると考えています。

 日本には、コナミやセガ、カプコン、バンダイ、ナムコなど、すばらしいパブリッシャーが揃っていますし、家電分野でも世界をリードしています。ですから我々は日本市場に対して敬意を払っているのです。もちろん、簡単に成功できないことは分かっています。しかし、ハードウェアは十分なものが用意できましたし、ソフトにも力を入れています。前回の失敗は繰り返さない。

――Xbox 360購入ユーザーからは、アメリカなどで発売されているタイトルを選別せずに日本でも発売してほしいとう声が聞こえてきますが?

ムーア 初代Xboxでは、「ワールドコレクション」という形で、シンプルローカライズで海外タイトルを発売してきましたが、販売チャートなどを見ると、上位を占めているのはほとんどが日本のクリエイターが製作した日本向けのタイトルです。海外のゲーマーと日本のゲーマーは、ゲームに対する嗜好が大きく異なっています。確かに、以前に比べると、「洋ゲー」に対するボーダーラインも低くなってきているように思います。しかし、やはりXbox 360では日本市場に合ったタイトルを供給するという点を重要視しています。



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